カテゴリ:気密測定
---------- [10]試験方法(5)測定手順 測定に入る前に、建物が2章10節の(1)に示す条件であることを確認し、 記録する。 また、外皮の概略を図面で確認するとともに観察し、記録する。 a)試験装置の設置 試験装置の設置場所は、建物の気密性に影響しないような外皮の開口部とし、 できるだけ小さな窓などを選択する。 外部に微風速がある場合は、風下側の開口部に設置し、風の影響を避けるようにする。 試験装置の排気口と開口部の接続は適切なふさぎ部材を用い、隙間があれば、 テープなどでシールし気密にする。 なお、送風機、流量測定装置などの装置が分離されている場合は、その接続について も気密にする。
b)気温の測定 室温の測定位置は、正しい室温を測定するために日射や暖房機の放射の影響を 受けない場所とし、測定室のほぼ中央部とする。 外気温の測定位置は、外皮の近くで、日射の影響を受けず、風通しのよい場所 とする。また、室温及び外気温は、試験前後において測定する。 c)圧力差の発生 圧力差は、送風機を流量調整器によって徐々に回転させ、室内空気を屋外に排気 して減圧(減圧法)することによって発生させる。 d)圧力差の測定 圧力差の測定のためのチューブ先端は、圧力差を正しく測定するために室内に あっては測定時の試験装置の送風の影響を受けにくい場所に設置する。 設置箇所は原則として室内外とも1か所とする。 ただし、次の点に留意する。 ・3階建てのような高い建物や内外温度差が大きい場合の建物内の圧力差測定の 位置は、上下圧力分布の中世帯近傍とする、また、測定の正確を期するためには、 建物内の測定対象空間の圧力差の分布は、内外圧力差の10%以内であることを 確認することが望ましい。 ・風などによって建物の各面や上下に圧力分布があるような場合は、建物の外周面 における平均圧力差となるような測定をすることが望ましい。 ・共同住宅、長屋などの1住戸を測定する場合の外部圧力測定位置は、ベランダ などの外側とし、手すりなどの物陰にならないような場所とする。また、隣接 する住戸は外気とみなせるように窓を開けた状態にする。なお、測定の正確を 期するためには、建物外皮の外側にある小屋裏や床下又は共同住宅、長屋など の隣戸の空間の圧力を測定することが望ましい。 e)圧力差測定器(差圧計)のゼロ点の確認 圧力差を測定する前に、チューブをはずして圧力差測定器の差圧のゼロ点を 確認する。 圧力差測定器(差圧計)など電子機器は、電源投入後10分程度は安定しない ので、十分に暖機運転をしてから測定に入るようにする。 f)試験前後の室内外の圧力差の測定 測定前に試験装置の整流筒などの開口部をふさぎ、試験前の室内外の 圧力差(△P0)を30秒間以上測定する。そのときのデータ数は10以上とし、 平均圧力差が±3Pa以内であることを確認し測定に入る。 測定終了後、再び室内外の平均圧力差を測定し、試験の前後で±1Pa以上の差 がある場合は測定をやり直す。 なお、圧力差ゼロ調整を行うことができる測定装置にあっては、ゼロ調整後に 測定に入ることができる。 この場合であっても、測定終了後に室内外の平均圧力差を測定し、試験の前後 で圧力差が変化していないことを確認する。試験の前後で±1Pa以上の差がある 場合は測定をやり直す。 試験前の圧力差(△P0)は、真の圧力差(△P)を求めるために補正値として 使用する。 g)圧力差(△Pm)と通気量(Qm)の測定 通気量は、送風機の流量調整器によって圧力差を変えて、圧力差の測定範囲 をほの等間隔となるように5点以上測定する。圧力差の測定範囲は、 通常10~50Paとする。微風速ある場合は、風の影響を小さくするために 30~70Paの高めの圧力差で測定する。 圧力差の測定は、安定した状態の平均値とし、1Paまで読み取る。また、 各圧力段階の通気量は、圧力の安定したときの平均値を整数で読み取る。 h)測定回数 圧力差と通気量の測定回数は、圧力差を最小値から最大値まで段階的に変化 させたときの通気量の測定(等間隔5点以上の測定)を1回とし、測定回数は 3階とする。ただし、測定結果にばらつきが大きい場合は測定回数を増やす。 ---------- 今回紹介した測定手順は YouTube「Dolphin2 JIS/IBEC対応版の紹介」でご覧になれます。 こちらへ(Youtubeリンク)---------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.11 09:02:34
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