キモノで観劇・感激日記

2008/06/27(金)20:03

赤坂ACT『かもめ』

演劇・コンサート・ミュージカルなど(146)

”わたしは、かもめ”・・チェーホフの戯曲『かもめ』のヒロイン・二―ナの台詞である。 実ることのない片思いの輪廻が、破滅へと突き進む、この物語を新装なった赤坂ACTで観る! 「かもめ」は、ロシアの作家アントン・チェーホフが1895年に執筆した四大戯曲のひとつである(その他、『三人姉妹』、『ワーニャ伯父さん』、『桜の園』)。 作家を夢見る青年は女優を夢見る乙女を その乙女は夢見る青年の母・大女優の愛人である作家を、医者は大女優を、その医者を大女優の別荘の管理人の妻が、管理人夫妻の娘は夢見る青年を、その娘を教師が・・という片思いが人々の間をめぐる。 では、大女優と愛人である作家は、誰を思っているのか・・年下の作家が、時には、浮気をしても、結局は自分のもとに戻ってくるとゆるぎない自信をもつ母なる大女優。高慢でありながら、息子から寄せられる限りないあこがれを受けるにふさわしい女優役を麻実れいは、誰から観ても美しく若々しい存在感を持って演じる。すっと伸びた姿勢や、そのドレスさばきの美しさには、ほれぼれするほど。 注目の主演・藤原竜也は、ニーナへの報われない思いゆえに絶望し破滅していくこの役には、ちょっとあわないような。彼なら、どんなことをしてもニーナを振り向かせて見せると決意しそうな感じがあるからかも知れない。 一幕、自分の戯曲を母に認められず絶叫しながら客席の通路脇に倒れこみ、嘆き悲しむ彼の姿を、まじかで観る(F列、G列、H列辺り)と、母性本能を刺激されるかと思ったが、そうはならなかった。今回、ぼそぼそ気味の彼の台詞回しが、わたしの好みに合わなかったのかも知れない。 ヒロインである「わたしは、かもめ」のニーナ・美波は、まだまだ力不足。ヒロインとしての存在感が薄く、トレープレフが命をかけて愛する魅力にかける。 まだ、初日あけたばかりなので、これから若手が、どんどん変化して行くのを期待したい。 舞台の装置は、いたってシンプル。照明とイスとテーブルなど簡単な小道具のみでまとめているの。しかし、湖の場では、床に水を張ってあり、出演者が時々、水しぶきを上げるのはご愛敬。 トレープレフ(作家志望の青年): 藤原竜也 アルカージナ (トレープレフの母、地位と名誉を手に入れた女優) :麻実れい トリゴーリン (アルカージナの愛人、売れっ子作家) :鹿賀丈史 ニーナ (トレープレフの恋人、女優志望) :美波 ソーリン (アルカージナの兄) :勝部演之 シャムラーエフ (ソーリン家の支配人、退役中尉 ):藤木孝 ポリーナ (シャムラーエフの妻) :藤田弓子 メドヴェジェンコ( 教師) :たかお鷹 ドールン( 医師 ):中嶋しゅう マーシャ (シャムラーエフの娘、トレープレフに報われない恋心を抱く ):小島聖 作:アントン・チェーホフ 演出:栗山民也 休憩時に食べたピロシキ(ロシア料理) 終演後、軽く赤坂サカスのB1 デリリウムカフェ レゼルブで軽く乾杯。 黒ビールがおいしかった♪ 本日の失敗:副都心線を使っての赤坂行き。本日は予定通りでスムーズに明治神宮前まで来るが、乗り換えのホームで右と左を間違え、結局、代々木上原まで行ってしまった(--;; あわてて友人にメールをする。 開演直前にACTに着いて、受付で友人と自分の名前を告げたらチケットが見つからない・・・劇場の係があたふたとしていたら、大女優さまのお机からお声があり、わたしのチケットは、そちらにあったのであった(汗) ということで、結局少し遅刻したが何ともおまぬけな話である。 本日のきもの:片身変りの絞りの単衣紬に格子の夏名古屋帯。帯留は象牙の紫陽花をあしらう。この時期に着るお気に入りのコーディネートである。

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