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カテゴリ:気まぐれ業務日誌
午後に病棟で会った診療部長がカルテを探しているという。
診療部長:「○さんの入院カルテってもうないんだっけ?」 おいら:「あ、事務所にあります。必要ですか?」 診療部長:「旦那さんの携帯番号が知りたいんだけど。カルテに書いてあると思うから。」 おいら:「では、今調べてまいります。」 診療部長:「じゃ、繋げてこっちにまわして。」 前日に退院した患者の○さん。 超スペシャルヘビー患者でね。。。。 以前の入院料は未だに払わず、事務長も『絶対入院させない!』って言っていたほど。 しかも、病棟でトラブル起こしまくり、他の患者さんとのみならず、医者にも手を上げていた という話まで。。。 勝手気ままに振舞い、病棟の看護師さん達も多大な迷惑を被っていたという。 その患者さんが退院してくれて、皆でほっと胸をなでおろしていたというのに、 さて、どうして診療部長が旦那さんに電話をしようというのだ??? 実は、退院したその夜に当直のせっかち先生からデータが飛んでいたので、 電子カルテを見てみたら、どうやら退院後に家庭内トラブルがあったようで・・・。。。 おいらの担当患者さんだけど昨日は受付当番だったから、退院処理をしていなかった。 だからまだ、おいらのデスクにカルテが置いてあるんだけどなぁ。。。 事務所に戻って、○さんの旦那さんの携帯に電話するとすぐ電話に出られたので、そのまま 診療部長のPHSに電話を繋いだ。 ・・・いったい、どうする気なんだろうなあ。。。 と、今度はセクスィー先生から事務所に内線が。 セクスィー先生:「●さんのカルテが欲しいんだけど。」 おいら:「入院カルテですか?外来カルテ?」 セクスィー先生:「外来カルテで良い。事務所に出しといて。」 おいら:「解かりました。」 ・・・先月末にCTで脳出血が認められて転院した患者さんだった。 入院予定の日に来院、待合でも病状は悪かったようだが、外来の待合でかなり待たされてた。 一旦病棟に上がり検査に降りてきた際、CTで脳出血が見つかった。 そりゃ、即総合病院に救急車で運んだ経緯があった。 先週の水曜、おいらが受付担当をしているときに●さんのご主人が来院し伝言を預かった。 ご主人:「手術は成功し、とりあえず一昨日ヒトヤマ超えた、と主治医に言われました。」 転院の際は会計出来なかったため、術後の報告も兼ねて来てくれたのだ。 ご主人:「手足は動かせましたが、言語はまだ発せられていません。セクスィー先生が心配して お電話をくれていたので、ご報告に。」 このとき初めて、セクスィー先生がそのときの●さんへの自身の対応を悔いているのを知った。 入院予定だったのに、予約で来たのに、他の患者さんが多くて●さんの診察が遅れてしまった。 体調不良の●さんを、ずっと待合で待たせてしまった・・・と。 もっと早く診察していれば、●さんの脳出血にもっと早く気づけたのに、、、と。 出来れば、直接先生と話をさせてあげたかったし、たぶん先生も話したかったのだろう。。。 が、ちょうど外来診察中で、しかもそのときの患者さんもかなり良くない状態のようだったため、 診療を中断させることも出来ず、おいらが伝言を預かる形でご主人をお帰ししてしまった。 この日の外来終了後に、●さんのご主人が来たこと、伝言を預かったことを伝えた。 おいら:「お見舞い、行ってきたら?行きたいんでしょ?」 セクスィー先生:「・・・でも、●さん、気を遣う人だから。。。」 ヤマは越したとはいえ、まだ予後の不安がある●さんの病状を訊き、 見舞いを見送ることにしたセクスィー先生は、肩を落として病棟に上がっていった。 その●さんのカルテが必要って・・・、いったいどういうことなんだ?? とりあえず言われたとおり、外来カルテを用意しおいらの隣のデスクにおいておくと、 あれ?電話を終えたらしい診療部長が事務所に登場。 最初に事務長のところに行って何やら話している。 その後、おいらのところに来て、こう言うのだった! 診療部長:「○さんの前回の入院カルテください。それから、今から来るかもしれないから。」 おいら:「え?今からですか?(今ってもう後15分で外来が終わるんだけど。)」 診療部長:「うん、また入院になると思う。新しいカルテの頭書を用意してくれる?」 おいら:「はい、ただいま。」 ・・・今から来るのかよーーー。。。。 ま、まだ退院処理してないってのに、また入院だなんて。。。 だったら退院させなきゃ良かったのに。。。 外来カルテと前回の入院カルテ、それから新しい入院カルテを持って、診療部長は外来診察室へ 消えていった。 今から、昨日退院した前回入院分の退院サマリーを書いて、今度の入院の準備をするんだろう。 病気だからといって、わがまま放題の患者のために。。。 看護師や病棟スタッフに暴力を振るう患者のために。。。 きっと、病棟の師長から大反発をくらうんだろうなぁ。 それでも、なんとかヘヤを用意してもらうように交渉するんだろうなぁ。 診療部長が外来へ行ったのと入れ替わるように、今度はセクスィー先生が事務所へ登場。 おいらが座っている隣の席に置いてある●さんのカルテを手にすると、 セクスィー先生:「●さんの旦那さんの携帯番号って、書いてあるかなぁ?」 おいら:「外来カルテに?たぶんないかも。。。」 外来カルテには、自宅の電話番号しかなかった。 おいら:「入院カルテのほうが可能性がありますよ。」 そう言って、カルテ庫から入院カルテを出してくると、やっぱり書いてあった。 セクスィー先生:「ここで電話させて。」 おいらの座っていた隣の席の電話の受話器を取って、●さんの旦那さんの携帯に電話をしだした。 そっと椅子を差し出すと、相手が電話に出たようで、先生は椅子に座り話し始めた。 セクスィー先生:『今夜できれば見舞いに行きたいのですが・・・』 ずっと隣で会話を聞いていたわけではないのだが、 どうやらセクスィー先生は、見舞いの許可をもらうため●さんの旦那さんに電話したようだった。 ●さんの旦那さんの話を聞きながら、相槌を打っているセクスィー先生の受話器を持っていない 手が、虚ろな心を表すように意味のない動作を繰り返していた。 5分ほど話し電話を切ったセクスィー先生、カルテの開いたままでボーっとしている。 おいら:「今日のお見舞いは、無理そうだって?」 セクスィー先生:「・・・・梗塞が起きたって。(カラダが)動かせないらしい。」 おいら:「そう。きびしいねぇ。」 セクスィー先生:「リハビリはもう少ししたら始めるだろうが。。。」 『先生のせいじゃないよ。』なんて、下手な慰めを言う気もないので、それ以上おいらは発言 しなかった。 セクスィー先生:「外来カルテに旦那さんの携帯番号追加しといた。カルテ片付けといてくれる?」 おいら:「はい、預かりますね。」 セクスィー先生から渡されたカルテ、先生が事務所を出て行った後でみてみると、 【◎月◎日17時、夫に電話「手術は成功するも、その後梗塞を起こし体が動かせない。」 見舞ってよいかと問うも、「家族の顔も判別できてないようで、今先生に来られても。 もう少し病状が回復してきたら連絡します・・・。」とのこと。】 との記載が。。。 診療部長もセクスィー先生も、それぞれ退院だったり、転院だったりした患者さんだけど、 それでもずっと主治医なんだよね。 わがままな患者も、見捨てられないんだよね。 他医に託したとはいっても、ずっと心配なんだよね。 それが、主治医っていうことなんだろうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年10月23日 21時24分00秒
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