World PV Watcher 世界の太陽電池メーカー

2015/07/01(水)17:55

太陽光発電市場拡大で供給体制に変化/寡占化にも拍車(上)

市場動向(268)

 世界の太陽光発電市場は2014年に40.1GWと2013年の37.6GWに比べて6.7%増加し、メーカー各社は前年までの2年間の停滞する環境から解放され、極度の供給過剰から脱して稼働率も上向きに転じ、業績も改善に向かった。  固定価格買取制度(FIT)導入4年目を迎え、日本の太陽光発電導入量が拡大をたどる中、世界の太陽光発電市場も中国、日本などのアジア市場を中心に拡大する。市場成長にともない、太陽電池メーカーの事業改善は進むが、結果は必ずしも一様ではない。  中国の太陽電池メーカーのうち、ニューヨーク証券取引所への株式上場9社、上海証券取引所への上場3社、深圳証券取引所への上場1社を合わせた13社の2014年出荷量は22,329MWで、前年の16,783MWに比べて33.0%増加し、市場の伸びを遙かに上回る成長を記録した。  主要13社の出荷の平均伸び率は33%ながら、もちろんハレオンソーラー(海潤光伏)のようにマイナス成長のメーカーもあれば、インリーグリーン・エネルギー(英利緑色能源)のように出荷の伸びが世界全体の成長率に及ばないメーカーもある。  ところが、JAソーラー(晶澳太陽能)は出荷量が前年比倍増し、出荷量が世界トップを記録したトリナソーラー(天合光能)は前年比42.0%成長、ジンコ・ソーラー(晶科能源)は66.8%成長、カナディアンソーラー(阿特斯陽光)は48.5%成長と大幅な伸びを記録した。各社が製品の変換効率向上、コスト削減を通じた世界市場の開拓に取り組むが、市場成長とともに寡占化が進む。  トリナソーラーは、中国、日本および米国の堅調な需要が推進力になり、2014年の太陽光電池モジュール総出荷量が約3.66GWと前年比41.9%増加し、出荷量で世界のトップに立った。出荷内訳は、外販量3.34GWおよび自社の下流部門の電力プロジェクトへの出荷324MW。  2015年総出荷量は4.4~4.6GWを予想しており、 そのうち700~800MWは自社の下流部門プロジェクト向けとなる予定。総出荷量は2014年に比べて20~26%増加する。また、同社は世界全体で、700~750MWまでの下流部門の太陽光発電プロジェクト(中国国内のDGプロジェクトの30~40%を含む)のグリッド接続を見込んでいる。  2012年、2013年と世界トップの出荷量を誇ったインリーグリーン・エネルギーは、2014年出荷量が中国の自社プロジェクト向けの260.6MWを含めて3,361.3 MWと前年比3.9%の増加にとどまり、トリナソーラーにトップの座を譲る結果となった。  ジンコ・ソーラーは、2014年出荷量が自社の下流プロジェクト向けの520.4 MWを含め、年初予想の2.3~2.5 GWを大幅に上回る2,943.6 MWで前年比66.8%増加した。ソーラー製品の2014年外販量は、モジュール2,423.2 MW、ウエハ229.6MW、セル134.3 MWで合計2,787.1 MWと前年比44.2%増加して過去最高を記録した。2015年通年のモジュール出荷量は、第三者向けの2.7~3.0 GWを含む3.3~3.8 GWを見込む。  カナディアンソーラー(阿特斯陽光)は、2014年出荷量が自社の川下プロジェクト向けを含めて3,105 MWと、当初見通しの2,700~2,800MWを上回り、外販量は2,800MWで前年比48.5%増加した。2015年通年出荷量は、外販量3,300~3,500MWと、自社プロジェクトおよびEPC売上235~275MW、イルドコ(Yieldco)の立ち上げでバランスシートへの記載を保留中の460~490MWに460MWを含む約4,000~4,300MWを見込む。  JAソーラーは、2014年の受託加工を含むモジュール出荷が2,406.8 MWと前年の倍以上に増加し、総出荷量は約3,057.9MW前年比47.6%増加した。2015年通年出荷量は自社の下流プロジェクト向けの200~300 MWを含め、モジュール出荷量は3,600~4,000MWを見込んでいる。レネソーラは、2014年出荷量が1,970.3 MWで14.0%増加した。モジュール出荷量の増加は、主に国際市場における拡大努力にともなうもの。  市場動向の関連記事

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