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さて、「英国留学回想録」です。
今日は「エッセイに命を賭ける」第4回。 「秋学期の終了と日本への帰国」。 それでは、いってみましょ。 前回、私がプレゼンテーションをやる予定の授業に、 学生が誰も来なかったというちょっと悲しい話を書いたが、 秋学期の最終週にその授業のやり直しがあった。 前回は学生が誰も来なかったが、 今回は1人来た。 ジョン・ムルホランド という学生で、 学生であると同時におらが街の労働党運動員で、 将来は国会議員になりたいと言っていた。 やたら肥満で、押し出しの強い奴だったと覚えている。 まあでも、1人でも来てくれてよかった。 これがまた誰も来なくて、 私のプレゼンが来学期に繰越しになったりしたら、 たまったものではなかったから。。。 授業は私が10分間プレゼンをして、 その後議論に入った。 しかし、議論はずっとソフィアとジョンがやって、 私はよくわからないのでずっと黙っていた。 1ヶ所だけソフィアになんか聞かれたので、 「そう思います。」 とか言って終わった。(苦笑) 相変わらずなんとも情けないが それでも授業が終わった時、 ソフィアは私にこう言った。 「いいプレゼンをありがとう。」 意外だった。。。 私は上手に英語を話したわけではなかった。 授業のたたき台になる内容を要約したものを 読んだだけだった。 ただ、一生懸命伝えようとした。 でかい声、明瞭な発音、 聞いているソフィアやジョンへの アイ・コンタクト。 そして授業の進行も考え、時間厳守。 私が学会発表などについて書くときにいつも言う、 「でかい声、でかい態度、明瞭な発音、時間厳守」 まさにこれだった。 プレゼンはこれでいいのだと、 初めて気づいたのがこの時だった。 プレゼンは、英語を流暢に話すことを競うのではない。 プレゼンは、授業で議論のたたき台になるものを 授業の参加者にきちんと伝えるためにするのだ。 だって、プレゼンを聞いている人は、 プレゼンターの発音が綺麗かどうか注意しているわけではなく、 プレゼンターの話している内容について、 自分の主張はどうあるべきかと頭を回転されながら、 聞いているのだから。 日本からの留学生で、 プレゼンがうまくいかないと悩む人が時々いる。 そういう人に話を聞いてみると、 「プレゼンは何のためにするのか?」 ということを勘違いしていることが多い。 なぜなら、 自分の発表の内容がどうだったか、 内容に対する聴衆の反応がどうだったか、 について悩んでいないからだ。 ひたする英語が流暢でなかったと 話し続けるのである。 プレゼンがうまくいかないと悩む人、 今日の私の話をよく考えてみてくださいね。 さて、右往左往を続けた私の 留学生活最初の学期、 秋学期が終わった。。。 学期が終って冬休みに入ると、 私は速攻日本に帰国した。 以前書いたけど、 これは海外生活経験豊富で 学士も修士も海外の大学で取得している 親友・かわぽこのアドバイスに従ったものだった。 「海外ではどんなストレスを感じるかわからない。 どんなにお前が精神的に強くても、 ホームシックにならないとは限らない。 12月には絶対に日本に帰国すると 最初から決めておけ。 それが精神的な安心感になるから。」 かわぽこに留学前にこう言われた。 言われたときはピンとこない部分もあったけど、 今思うと、これほどいろんなスッタモンダがあって、 それでも結構平気に乗り切っていたのは、 12月になったらとりあえず日本に帰れる、 年末年始は日本だと、「紅白」も観れると(苦笑) 考えることができたからだろう。 人間、先が見えない状況ほどつらいものはなく、 逆に先が見えればなんとかそこまでと がんばれるものなのだなと思う。 それでは、また。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月06日 19時47分47秒
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