快風身体均整院

昔、アルバイト先のあるお店で仕事が一段落したときに、店長が「これでみんなのビール買ってきて」と、ポケットマネーで労ってくれました。

人数分の缶ビールを買ってくると、店長に「おい〜、ビールっていったら、ピーナッツとか柿の種とかセットだろ〜っ」と、冗談っぽく叱られました。本当にビールだけを買ってきたからです。

まだそれほどお酒を飲む機会がない頃で、お酒好きの気持ちが分からなかったのですね。

今ならピーナッツどころか、ほたて貝ひもとかスモークチーズとか、みんなの顔をサッと見渡して、好みの物を買い揃えることができるでしょう。

ところで、映画館ではほぼ毎回ビールを買います。

サーバーは同じなのに、注いでくれる店員さんによって、美味しさが違います。大事なのは、やっぱり泡。

長いエスカレーターを上がり、いちばん奥のスクリーンに着くまでには時間がかかります。

途中で泡が減り、へこんでしまうこともあれば、ふわっとふくらんだままのこともあります。

普段あまり飲まないと思われる若いアルバイト店員さんは、昔の私と同じようにビールのつまみや、ふわっとした泡の大事さに、まだピンとこないのかもしれません。へこみ率が高いです。

そんな中、いくつかの映画館を合わせてもたった一人、ふわふわ泡作りのとても上手な店員さんがいます。

同じく若いし、さほど飲むようにはみえませんが、きっと相手の気持ちになるのも上手なのでしょう。

その店員さんをレジで見かけたら、必ずそこに並びます。

ときどきレジごとの列ではなく、一列の最後にいくつかのレジに分かれていく流れになっているときでも、計算してうまく当たるように並びます。

列の先頭まで来て、（よし、計算ピッタリ！）と喜んだのに、さらに隣のレジに別の店員さんが現れ、「お待ちの方、どうぞ」と呼ばれそうなときにはドキドキします。

私の焦り顔を見て、「お待ちの方……」と声をかけるタイミングをずらせたらすごいです。

並ぶ私も、計算しなくても野性の勘で、達人のレジに到着したいもの。

ふわふわ泡のビールとともに観た『野性の呼び声』​で、飼い犬だったバックが野性（本能）を取り戻す旅を思い出しながら、エスカレーターを下りました。

スタッフのみなさん、いつもありがとうございますっ。乾杯。