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最近つけたばかりの新しい壁掛け時計が時を刻む。
木目調で、中心から光が広がるような淡い色合いに黒のシンプルな文字。 その時計がひっそりと夜の時を、正確に切り刻んでいった。 きっと瞳の奥で、僕はその切り裂かれた時のカケラを追うだろう。 光を反射してキラキラと輝く時のカケラ。 見ていると砂粒のように粉々になって、やがて窓の外の闇の中に消えていく。 ”時間の流れる速さが変化する”とうい理論を唱えたのはアインシュタイン。 僕はこう思う。時間はカケラとなって降り積もる。 この部屋で過ごした時間が降り積もり、僕はその時間の砂の中でもがきながら 明日のカケラを探している。 誰かと過ごした時間もその場所や、心に降り積もる。すっかり埋もれてしまった 思い出のカケラがある時突然輝いたり、またある時はその砂の中で動けなくなる。 会社に行けばそのたくさんの砂の吹き溜まりに囲まれて、考え方も、すごし方も、すべて 砂に作られた道筋どおりに身体を動かしてしまう。 心の中にパワーがあれば、自分のまわりのその砂山を蹴散らしながら進んでいく ことができる。 けれど、少し力がなくなると、その時間の砂におぼれていく。 だからそんな時は、重くなった砂をゆっくりと吹き飛ばそう。 もし湿っていたら、たくさんの太陽の光で乾かして、 風通しが悪ければ窓を開けて、いっぱいの空気を取り込んで。 今まで知らない間に降り積もってきた、たくさんのたくさんの自分の刻んだ時間の砂。 胸まで積もったその砂を少しずつでも掻き分けて、吸い込んだ息を吐き出して、 どんどん身体を軽くしよう。まるで月面を跳ねているように。 今までの砂の山が消えていったら、どれだけ空気がおいしいだろう、 どれだけ目の前の景色がクリアだろう、どれだけ人と話するのが嬉しいだろう、 毎日刻まれていくたくさんの時のカケラ。それは掛け替えのないくらい美しいものだけれど、 降り積もると身体を拘束してしまう。さあ早くそこから抜け出して。 君の背中には羽がついているのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 25, 2010 11:42:39 PM
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