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明日の風の吹く場所から・・

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May 25, 2010
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最近つけたばかりの新しい壁掛け時計が時を刻む。
木目調で、中心から光が広がるような淡い色合いに黒のシンプルな文字。

その時計がひっそりと夜の時を、正確に切り刻んでいった。
きっと瞳の奥で、僕はその切り裂かれた時のカケラを追うだろう。

光を反射してキラキラと輝く時のカケラ。
見ていると砂粒のように粉々になって、やがて窓の外の闇の中に消えていく。

”時間の流れる速さが変化する”とうい理論を唱えたのはアインシュタイン。
僕はこう思う。時間はカケラとなって降り積もる。

この部屋で過ごした時間が降り積もり、僕はその時間の砂の中でもがきながら
明日のカケラを探している。

誰かと過ごした時間もその場所や、心に降り積もる。すっかり埋もれてしまった
思い出のカケラがある時突然輝いたり、またある時はその砂の中で動けなくなる。

会社に行けばそのたくさんの砂の吹き溜まりに囲まれて、考え方も、すごし方も、すべて
砂に作られた道筋どおりに身体を動かしてしまう。

心の中にパワーがあれば、自分のまわりのその砂山を蹴散らしながら進んでいく
ことができる。
けれど、少し力がなくなると、その時間の砂におぼれていく。

だからそんな時は、重くなった砂をゆっくりと吹き飛ばそう。
もし湿っていたら、たくさんの太陽の光で乾かして、
風通しが悪ければ窓を開けて、いっぱいの空気を取り込んで。

今まで知らない間に降り積もってきた、たくさんのたくさんの自分の刻んだ時間の砂。
胸まで積もったその砂を少しずつでも掻き分けて、吸い込んだ息を吐き出して、
どんどん身体を軽くしよう。まるで月面を跳ねているように。

今までの砂の山が消えていったら、どれだけ空気がおいしいだろう、
どれだけ目の前の景色がクリアだろう、どれだけ人と話するのが嬉しいだろう、

毎日刻まれていくたくさんの時のカケラ。それは掛け替えのないくらい美しいものだけれど、
降り積もると身体を拘束してしまう。さあ早くそこから抜け出して。
君の背中には羽がついているのだから。





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Last updated  May 25, 2010 11:42:39 PM
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