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カテゴリ:映画の楽しみ
手放せない映画というものがあります。
派手な映画でも、熱くココロを揺さぶる映画でもないのですが これから一生、折に触れて見なおすだろう一本です。 「バベットの晩餐会」【1987年デンマーク】 第60回アカデミー賞 外国語映画賞受賞作品 時は19世紀、さびしい海辺の村に住む、二人の老姉妹と 召使バベットのお話です。 敬虔なルター派の牧師を父にもつ老姉妹。 不思議な縁にて、老姉妹の元に使えるようになったバベットは、かつてパリで料理人をしていたという女性。 パリの暴動で家族を殺され、命からがら逃げてきたのです。 老姉妹に仕えるバベット。 ユトランドの貧しい暮らしに戸惑いながらも、 大地でハーブを摘み、食材屋の主人や漁師たちを相手に値切り、素朴ながらも美味しそうな食事をつくります。 もはや、彼女と懐かしいフランスを結ぶのは、親戚に買ってもらっている宝くじだけ。 そして、10数年の月日が流れ、ある日バベットの元に一通の手紙が届きます 「宝くじで1万フランが当たった」というのです。 バベットは老姉妹に「亡き父上である牧師様の生誕100周年を祝う集いで晩餐の料理を作らせて欲しい」と申し出ます。 食材調達のために短い休暇を取ったバベットの帰宅を追うように続々と届けられる食材。 それは質素を美徳としてきた老姉妹の想像を超えるものばかり。 厨房には、活けの海亀、ウズラ、牛の生首などがズラリ!と並びます。 「さては魔女の料理か」と恐れおののき、招待客に詫びる老姉妹。 老姉妹を思いやり、何があっても黙って食事を続けると誓い合う、 年老いた招待客たち。 さぁ、そんな彼らの前に供されたフランス料理とは・・・。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 102分の映画です。 上映時間を大まかに3分割すると、 前半30分弱は、 ただただ我慢してこの世界の説明にお付き合いください。 画面も暗い色合いで、登場人物にも派手さはないのですが、ここを飛ばし見しては後半が無意味になってしまうのです。 この30分を我慢したアナタには神の祝福があるでしょう。 エイメン。 説明に終始する感のある回顧シーンが終ると、 バベットが登場 彼女が老姉妹を助けて働く姿は小気味良く、楽しい中盤です。 そして後半。いよいよ晩餐会が始まります。 まずはフランス料理店の厨房を覗き見する楽しみを味わってください。 ウズラを開き身にし、詰め物と薄切りのトリュフをいれた後 空ら焼きしたパイケースに収めてオーブンで焼いて・・・。 食事が進むにつれて、表情が花開いてゆく招待客たち。 料理がココロを満たし、満たされた心は諍いを収めてゆく様子 厨房でかまどの炎に照らされるバベットの表情 パリを命からがら追われて10年余り 久しぶりに腕を奮うバベットの悦びはどれほど大きいことか! そう、バベットは、「食事を恋愛に変える芸術家」と称されたパリの一流の料理人だったのです。 映画の中盤で老姉妹のためにかいがいしく働いていたバベットとは全く別人のよう! 料理に陶酔する芸術家がそこにはいます。 満ち足りた招待客たちは手を取り合い、 唇からは歌がこぼれ出ます。 あたかも、バベットの料理の命が、唇から体内に流れ込み、取り合った手から、見詰め合った瞳から、開いた唇から 流れ出し、広がって行くかのようです。 インターネットのDVD販売では在庫切れでした。 古くて地味な映画ですから、レンタルショップにもあるかどうか・・。 (ライブドアのぽすれんにもありませぬ) ですから、テレビ放映欄で「バベットの晩餐会」を見かけたらぜひ録画を! 消去できない一本になること、受けあいです。 人気blogランキングに登録しました、お気に召したらクリックお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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