カテゴリ:ルーク闘病記(骨肉腫)
ルークはあれからずっと同じ姿勢で寝ている。 声をかけても微動だにしない。 「おはよう~ 朝だよ~ ルー、おしっこは?我慢してたでしょ。」 「お父さんが会社に行くってよ~ “いってらっしゃい” しなくていいの?」 話しかけても反応が無い。そのたびに深すぎる眠りに落胆する。 触れればまだ耳も柔らかいし、肌触りも変わらない。 なのに、身体の冷たさだけがとてつもなく悲しい気持ちにさせる。 おとといの夜を思い出してみる。 その日は夕方に眼科を受診していた。 5:30予約だったので5:00頃、家を出た。 玄関のドアを開けたら、ちょうどお隣さんご家族も外出するところだった。 ルークの第2の我が家(だと思っていたはず)の、K家の皆さん。 脚が麻痺してからずっと家に籠りきりだったため、 会えたのは本当に久しぶりのことだった。 「涙がでなくなっちゃって目薬がかかせないから これから眼科にお薬をもらいに行くところです。 ルーク、随分痩せちゃったでしょう?。」と、とーさん。 「そっか~・・・でも、大丈夫大丈夫! ルーク、頑張ってるね。」 そういって、いつも「大丈夫だよっ」と明るく励ましてくれるルークの第2ママ。 そんな何気ない、いつもの軽いやりとりが最後のお別れになってしまうとは その時は夢にも思わなかった。つい、おとといの出来事。 ルークは優しくしてくれるお隣さん一家が大好きで、 仔犬の頃、よく脱走しては、勝手にお隣のお庭に侵入して遊んでたりした。 外出先から帰宅した車が駐車場に入る音がすると 勝手口まで吹っ飛んで行ってワンワンワンワン吠えて出迎えた。 一度、お隣のRちゃんがお散歩に誘いに来てくれたことがある。 グイグイと自分勝手にリードを引っ張るやんちゃなルークだったから 大丈夫かしら・・・と心配しつつもお願いすると まるでスキップをするように浮かれながら散歩に繰り出すルークの後姿を あきれ顔で見送ったっけ。懐かしいなぁ・・・。 Rちゃんの弟のJくんのことは「同級生」だと信じて疑わなかったルーク。 Jくんが友達と一緒にお庭でサッカーボールを蹴って遊んでいるのを見つけては 窓ガラスに体当たりして吠えていたっけ。「ボクも誘ってよ~」って。 その大好きな二人が、ママと一緒にルークに会いに来てくれました。 きれいな花かごを抱えて。 その花の中にはメッセージカードが添えられていました。 ![]() ![]() ![]() ルーク、寝たふりなんかしてたけど、きっと嬉しくて嬉しくてしかたがなかったはずだよ。 ありがとね、Rちゃん、Jくん、K家のパパ、ママ。 ルークを可愛がってくれて本当にありがとう。 おとといの夜。 ゴハンを少しと、おやつを少し食べたあと、ソファに寝そべっていたルークを見て ふと思いついて、その目前にボールを転がしてみた。 ふわふわの綿と鈴が入った黄色いボール。 ボール投げというよりも、単に、私が目の前に転がしたボールを咥え、 転がしては咥え、を何度か繰り返すだけの遊び。 それでもルークは、目の前に転がってくる黄色いボールを真剣に目で追い、 何度も何度も受け止めていた。 そのたびに中の鈴がチリン、と鳴った。 思い出すと今もその音色が悲しく聞こえてくる。 その後まもなく、いつものようにとーさんが 「ルーク、寝るぞ~」と声をかけ、ソファから抱き上げた。 リビングを出ていく、とーさんとルークを、これもいつものように 「ルー、また明日ね。おやすみ~」と見送った私。 その声で、ルークが私を振り返る。一瞬。 ------それが私が見た、“起きているルーク”の、最後の姿となりました。 つい、おとといの夜の出来事でした。 大学病院に診察予約をしたという記事をUPしたのはその夜でした。 PCを閉じてとーさんとルークが休む寝室に上がっていったのが深夜2時頃。 その時、確かにルークの寝息を確認しています。 ハァ~ と一瞬、深いため息のような呼吸を聞きました。 「ああ、やっぱりなんとなく、しんどそうだなぁ・・・ルーク」 そう思いながら眠りについたのを記憶しています。 発見したのは2月4日(月)の朝の6時頃。 とーさんのただならぬ声で目が覚めたのでした。 「・・・ルーク、動かない!固まってるっ!!」 大声でルークの名前を呼び、わぁわぁとひとしきり泣いた後、 「・・・でもこれならよかった。本当によかった。 苦しまないで眠ったまま逝ったんだもん。ルークが選んだタイミングだったんだね。」 私の口から自然とこぼれた言葉でした。 周囲に全く予感させないまま、あまりにも突然に訪れた別れ。 でもそれはルークが一番望んでいたとおりの、穏やかな去り方だったのかも。 とーさんの隣で眠ったまま、そのまま静かに息を引き取ったルーク。 「なんで教えてくれなかったんだよ~ルーク。ひとりで逝っちゃって。 気付いてやれなくてごめんな~。看取ってやれなくてごめん・・・」 とーさんはそう言って泣いたけど、それはルークの精一杯の気持ちだったのかも。 ひとりぼっちでお留守番することも多かったルーク。 ひとりの時ではなく、家族がみんな一緒にいられる時間。 温かな布団の中で、とーさんの匂いにつつまれて。 それこそがルークの強い意志だったように思うのです。 我が家の大事な大事な家族、ルーク。 その小さな身体は明日、天に召されてゆきます。 ずっと見守っていてあげるから。家族みんなで。 ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|