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カテゴリ:CINEMADなCINEMA感想
イラク情勢のために自粛ムードだったアカデミー賞で、長編ドキュメンタリー賞を受賞した『ボウリング・フォー・コロンバイン』観てきました。
まずは、物議をかもし出した監督マイケル・ムーアの受賞スピーチを紹介。 「ノンフィクションが好きだからね。ノンフィクションが好きなんだけど、でもフィクションの時代を生きている。僕らはインチキな大統領を選び出してしまうようなインチキな選挙をするような時代に生きているんだ。嘘の理由で僕らを戦場に送り込むようなやつがいる時代を生きているんだ。とにかく、僕たちはこの戦争には反対なんだ。ブッシュよ、恥を知れ。 ブッシュよ、恥を知れ。お前の持ち時間は終りだ!」 会場に巻き起こる拍手とブーイングの嵐・・・。 1999年4月20日、アメリカはいつもと変わらない朝を迎えた。 人々はそれぞれの朝を迎え、いつものように仕事へ出かけ、アメリカ軍は相変わらず他国の政治に顔を突っ込み(この日、アメリカは旧ユーゴスラビアのコソボ紛争において最大の爆撃を敢行した)、コロラド州にある3万5千人の小さな街・リトルトンでは2人の生徒が朝からボウリングをしていた。 いつもと変わらない朝の「はず」だった。ボウリングを終えた2人の少年が銃を持ち、彼らが通うコロンバイン高校で銃を乱射するまでは・・・。 彼らはナチズムを信奉する「トレンチコート・マフィア」というグループに属していた。 死者13名(12人の生徒と1人の教師)、負傷者数10名。2人の少年が銃で自殺し幕を閉じた最悪で狂気に満ちた事件。 『コロンバイン高校乱射事件』。 犯行前、少年の1人のウェブサイト上の日記には次のような記述があったそうだ。 「私の理想を教えてやる。自分が法律になることだ。このことが気に入らない奴には死んでもらう。デンバーに住む人間をできるだけ殺してやる」 コロンバイン高校の「トレンチコート・マフィア」は「ジョックス」と呼ばれる体育会系のグループによっていじめられていたと報道されているが、この事件は突発的ではなく計画的に行われている。「いじめ」は彼らにとって「銃による暴力」の引き金にすぎない。 様々な問題を内包しているアメリカ社会。 その象徴的とも言える事件は、様々な物議を巻き起こした。 映画、TV、ゲームにおける暴力の氾濫が原因?家庭の崩壊?高い失業率?過激な音楽? 少年たちが聞いていたハード・ロック歌手マリリン・マンソンにまでその矛先が向けられ、ライブがコロラド州で禁止に・・・ そんな中、ひとりのジャーナリストが社会に問いただした 「マリリン・マンソンのライブを禁止するのなら、なぜボウリングも禁止しないのか?」 それがこの映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』 ジャーナリストである監督「ホワイトハウス公式認定危険人物」マイケル・ムーア。 『電波少年』ばりの突撃アポなし取材を監督自ら行い、「コロンバイン高校銃乱射事件」を起爆剤にアメリカ銃社会に切り込んでいく。 なぜ「コロンバイン高校乱射事件」が起きたのか? なぜアメリカだけ銃犯罪が多発するのか? 弾丸を売っているスーパー「Kマート」の本部に乗り込み、地元のミサイル工場を取材し、カナダの銃社会に飛び込み、マリリン・マンソンにインタビュー・・・そして全米ライフル協会長のチャールトン・ヘストンの自宅に乗り込む。 確信犯的無邪気さを武器に、早口とユーモアで質問を浴びせ、容赦なく追求していく。 その突撃取材の隙間には、アメリカの犯した戦争(殺人)行為の様々なニュース映像をルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」に乗せてコラージュしたり、「恐怖に捕らわれているアメリカの歴史」をアニメで見せたりと、笑いを通して「アメリカ」を描き出す。 恐怖や敵を作ることで社会のバランスをとり、情報を消費し、自己防衛という大儀で武器を持ち、1万人以上の銃による死者をだしながらも「正義」がまかり通るアメリカ・・・。 マイケル・ムーアの映像は「ちょっと誇張?」って表現もあるけど、笑いに織り込むこと、そのストレートさが「説得力」に変化している部分がある。 イラクのことで、世界がアメリカにいろんな意味注目する今、観る価値ありです。 と、ここまではよく書かれる、書かれている内容なんでしょうね。 ところがです。 この映画には問題があります。 それは映像に関わる人間でなければ、もしくはそれに詳しい人でなければ気づかない嘘。 マイケル・ムーアの自己主張が、この映画の根本を崩してしまった。 つまり、僕が言いたいのは「この映画はドキュメンタリーではない」ということなんです。 続きは、次回に。 (明日も仕事で早いんです。めちゃ言い訳です。 ストレス溜まった方、ごめんなさい) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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