『ヘルボーイ』と『デビルマン』。コミック原作は同じなのに、この愛情の違いは何なんだ!
いやはや、愛すべき映画に出会ってしまった。最近、続々と映画化されるアメコミ・ヒーローのニューフェイス『ヘルボーイ』です。第二次大戦末期、魔界に通じるワームホールから怪人ラスプーチンの手で産み落とされた悪魔の子・ヘルボーイ。彼はまさにボーイ=少年。しかも愛すべき少年なのだ。イカツイ眼差しに真っ赤な顔の少年。相撲の大銀杏ほど派手ではないけれど、ちょんまげチックな髪型。ツノもキレイに手入れしてます。ちゃんと少年は仕事もしてます。FBIの怪奇事件の解決に当たる秘密機関「超常現象調査局」に勤務。同僚はちょっとおしゃべりな半魚人のエイブ君。少年には片想いの彼女がいます。超能力を持つリズ。不幸そうなルックスに、僕もちょっぴり惚れてしまいました。そんな片思いの気持ちを語る彼の姿は、まさに少年。あー、なんて人間臭く、愛すべきキャラクターたちなんでしょう。(クロエネンは怖いけど)こんなキャラクターが、なんとも自然にストーリーに溶け込んでいる雰囲気がいい。監督の愛情を感じます。監督・脚本・映画原案は、一貫してゴシック・ホラーを撮りつづけているメキシコ出身の鬼才ギレルモ・デル・トロ。大のコミック・ファンという彼が「どうしても監督したかった」作品とあって、愛情溢れるアクション・アドベンチャーに仕上がってますよ!他の監督作品も観なければ!主演のヘルボーイをゴキゲンに演じてるのは、名脇役・ゴリラの様な風貌のロン・パールマン。この映画が初主演(よかったねー)。『エレファント・マン』いや『エイリアン』のジョン・ハートも出てるじゃないですか!リズ役のセルマ・ブレアって女優さんはノーチェックでしたが、あの悲しみを秘めた瞳に心を打たれてしまいました。そして、特殊メイク・コンサルタントは僕らのリック・ベイカー先生!後で知ったことだけど、コンセプト・アートには韮沢靖(クリーチャーデザイン・デザイナー)、弐瓶勉(漫画家。『X-MEN』の作品集とかにも参加しているらしい)、寺田克也(ラクガキングと名乗るイラストレーター)ら日本のアーティストも参加しているそうだ。なんだかうれしい限りです。愛すべき『ヘルボーイ』文句なしの★★★★★(5点満点です!)『ヘルボーイ』を観てすごくいい気分の僕に、大学からの知り合いである同僚の岡○君が「『デビルマン』最悪ですよ。マジです。是非kiromeruさんも観て下さい」とビールを飲みながら涙ながらに語るので、ヘルボーイのような心優しき気分の僕は、彼のためにも『デビルマン』観ることにしました。映画のナイト料金(1000円)以上の金は使うべからずのアドバイスを受け劇場へ。『デビルマン』★日本漫画史上不滅の金字塔されるSFヒーロー漫画『デビルマン』。実写化不可能と言われたその世界は、やっぱり実写不可能でした。っていうか「やる気あるんかい!」と叫んでしまうほどのトホホ映画に仕上がっていました。『デビルマン』というキャラクターを愛する姿勢が感じられない!そして、学芸会レベルの主役たち。なにが「ハッピーバースデイ、デビルマン」じゃー!(唯一、嶋田久作さんはOK。画面が締まりました。あと子役の少年ぐらいかなー)NGテイクを平気でOKにしてしまうボルテージの低い監督。(モー娘。の映画にオファーされるあたりは、プロデューサーには便利な監督なのか?那須監督は『平成版 セーラー服百合族』でも撮れ!)原作全5巻のストーリーを2時間で語り切ろうとして、結局何も語っていない脚本。(夫婦で稼いでんじゃないぞ!バカ!)頑張ってる特撮を台無しにする、低予算で仕上げたモブシーンやドラマレベルのセット。諸悪の原因は、アニメの乗りで映画化に踏み切った東映アニメーションか?やっぱり漫画原作に限らずですが「愛」の無い映画はダメダメですね。永井豪はハリウッドのオファーを断り続けてきたそうだが、なにをもって今回の企画に賛同したのだろう?日本で作るなら伊藤和典さんに脚本を書いてもらい新しい『デビルマン』の世界を構築してもらい、樋口真嗣さんに特撮担当かもしくはコンテを書いてもらい、CGのことが分かってる曽利文彦か、CG使わずに塚本晋也あたりに監督をしてもらうってのはどうでしょう?当然、別の部分にお金を使いたいから主題歌はhiroには歌ってもらいません。嶋田久作さんだけ、引き続き出演してもらいたいところです。