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PLAYWORKS岸井大輔ブログ

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2004.07.14
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カテゴリ:カテゴリ未分類
昼 横浜の金沢八景というところでやっているアートイベントに参加することになった。実行委員の方がお二人、うちに来る。
夜 谷中カフェへ。先週のワークショップの映像を見に行く。
http://radiofly.to/wiki/?ApproachYanakaVideo
そして、お客さんで、谷中に長年お住まいのコピーライターの女性と散歩すること決定。参加者募集。
8月7日(土)午前9時谷中カフェ集合。参加費1000円です。アートリンク地域通貨「ふく」を500円分まで使えます。よろしく!

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緊急連載 土地勘を演ずる -POTALIVE市川編レポートー 1

(この文章は、千葉商科大学のだしている冊子にかいたものですが、誰も読まないことが予想されるので、ここに転載するものです。)

始まりは横浜だった。2001年のことだ。商店街を活性化するため芸術祭をするから何か演劇を、と依頼される。私は子供のころから、まちなかを行きかう異物になることを夢見、高じて劇作家となったのだ。2つ返事で受けた。
さて、割り当てられた商店街は馬車道。明治5年に横浜開港以来の歴史ある道であり、戦前の中央銀行の一つ横浜正金銀行跡を中心に、石造の歴史的建造物が立ち並んでいる。歩道はイギリス産のレンガで出来、本物のガス灯があり、2004年には地下鉄の駅ができた。既にして美しい。活性化のためにイベントをする必要などなく見える。まして、演劇が活性化に寄与できる余地なんてなさそうだ。
悩みながら、うろうろし、仕方なく、町の人とでも話す。すると、活性化が必要とされる理由が見えてきた。
町の人の感覚によると、馬車道は名前のとおり車両用道路である。さらに、横浜は本来、車で移動するところ。だから、横浜の中心の1つなのだ。ところが最近は、高級なイメージが勝ちすぎ、車が通らない。だから、車を前提にした店が儲からず、彼らのイメージする「活気のあったころ」から見ると、廃れてきたと感じる、ようだ。たとえば、馬車道の中央にあるガソリンスタンドには、80年代までは、意味なく集まってお茶を飲む人もいる、まちのコミュニティスペースになっていたそうだ。それが、今や、日曜日休業。散策する観光客が多くなる日には土地のイメージに合う店が休業になるということだ。
私は、町の人々の土地勘が、伝わっていないために、土地勘と関係ないところばかり美しくなるので、活気がないように見えているのではないか、と解釈した。集団のもつ身体感覚を表現することならば、演劇の仕事だ。
そこで、私は、ガソリンスタンドに渦巻く車コミュニティへの想いを表現することにした。
さて、このガソリンスタンドは、角にあり、道に2面し、周囲を歴史的建造物の石の壁に囲まれている。このような場所に人を集め、古い記憶を再生させる演劇とは、どのようなものだろうか、と考えた。本物の町が相手だから、それなりの伝統と力がないと釣り合いが取れない。そこで、このガソリンスタンドの場所を抽象的に分析し、そこに相応しい演劇を探すことにし、私は、能を上演することにした。
2方向に開いた野外ステージで上演し、山の向こうの人にも音が聞こえるように作られているのが能の形式である。つまり、馬車道のガソリンスタンドこそ、能楽堂以上に、能を上演するにふさわしい場所、なのだ。
思いついたときは、自分でもうまくいく自信はなかった。が、土地の質と芸の形象がはまれば、人の情念は集まってくる。ほとんど宣伝もしないのに、客席のないガソリンスタンドの周りは人並にうまった。
このように、いろいろな場所で、町に演劇を当てはめる活動を1年位した。楽しかった。劇場で作るより、なんというか、リアルなのだ。そして、これはなんだろう、と考えた。





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Last updated  2004.08.06 13:20:42


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