幸せを感じる度合いは遺伝子である程度決まる?(英研究)
幸せを感じる度合いは遺伝子である程度決まる?(英研究)(28) ι ι サイエンス&テクノロジー ι 同じ出来事を体験しても、人によってはそれを幸せと感じ、人によってはそうでもなかったり。ワクワクの度合いはその時の心理状況や考え方にも左右されるものだが、どうやらそれだけではなく、持って生まれた遺伝子の型によっても、幸福を感じる度合いが違ってくるという研究結果が報告された。スポンサードリン 自然界の動植物に一般的に含まれる化学物質「セロトニン」は、トリプトファンと言う物質から生合成される。人体中には約10ミリグラム程度が存在しており、そのうち約90%は小腸の細胞内にあり、消化管の働きに作用していると考えられており、残りの8%は血小板に収納され、2%が脳内の中枢神経に存在し、人間の精神面に大きな影響を与えていると考えられてる。 セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的(キレる)になったり、うつ病を発症すると言われている。 今回の研究で、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのジャン・エマニュエル・デ・ネイブ氏は、セロトニンの伝達をつかさどる遺伝子「5-HTT」に着眼した調査を行った。 この遺伝子は短型および長型の2つの対立遺伝子があり、両親から1つずつ受け継いでいる。調査では2,500人の被験者に「自分の人生全体にどれだけ満足しているか」とたずねたところ、「長長」の組み合わせを持つ人の69%が「満足」または「とても満足」と回答したのに対し、「短短」の組み合わせを持つ人でそう答えたのはたった38%だったとのこと。また「不満足である」と回答したのは「長長」が20%だったのに対し「短短」は26%であり、満足度、不満足度ともに顕著な差がみられたという。長型を1つでも持っている人は全く持ってない人と比べ「とても満足」と回答することが8.5%多く、また双方ともに長型の場合は17%多かった。 遺伝子の組み合わせパターンは人種によって差があることも分かり、被験者のアジア系アメリカ人の長型保有率は平均0.69、白人系アメリカ人は1.12、アフリカ系アメリカ人は1.47という結果となった。これはアジア圏において国民一人あたりのGDPが示唆するほど幸福度が高くないことと関係しているかもしれないとのことだ。 ということで、できれば幸せに暮らしたいものだが、ネガティブ思考が邪魔をしちゃったり、なんでみんながそんなに楽しそうなのかわからなかったりすることが多い場合には、遺伝子も若干それに関与している可能性がなきにしもあらずということなのかもしれないね。 だがしかし、そこは考え方ひとつ。人生は死ぬまでの暇つぶしと考えるよりも、石に躓いても、とりあえず笑っとくみたいな、ピンチがチャンス的な思考を習慣づけていくことで、自分でつかむ幸福ってやつがあると信じて、やっぱり上を向いて歩いていこう。 コーヒーにうつ病になるリスクを抑制する効果が認められる(米研究) 血液検査で「うつ病」かどうかを診断できる画期的な方法が開発される(広島大) ネット漬けの生活をしていると脳がポップコーン化、現実社会に適応できなくなる恐れがある(米研究) 日本人は怖がり屋さん!?恐怖を支配する遺伝子の正体とは?