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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2014.01.15
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カテゴリ:政治
 都知事選に細川護熙元首相が「脱原発」を掲げて出馬表明、これに同じ考えを標榜する小泉純一郎元首相が全面支援する考えを示した。

 都知事選の争点がにわかに「脱原発」になった趣だが、これほど愚かしい争点はない。
この点、日本経済新聞15日付けの谷隆徳・編集委員の論評が適切だ。

 <東京はエネルギーの最大の消費地である。その東京が再生エネルギーの普及に取り組み、省エネを進めることは重要だ。……しかし、原発が立地しているわけでもない東京の知事選で「脱原発」を最大の争点に位置付けていいのだろうか。まるで「都知事には原発政策を左右する権限がある」と、有権者に誤解や幻想を与えかねない>

 <細川氏は首相経験者だ。「原発政策は国の存亡にかかわる」と思うなら、国政に復帰して仲間を募り、自らの主張の実現に取り組むのが筋だ。……小泉純一郎元首相も同じではないか>

 そして、「夏季五輪開催、高齢者の介護施設不足、少子化対策、木造住宅密集地域の解消など首都直下地震への対策、日本経済の機関車としての東京の役割」など、争点はほかにたくさんあると指摘している。

 <脱原発一色の選挙となり、都政本来の争点をぼやかす結果になれば、二重の意味で問題と言わざるを得ない>

 まことに、もっともな指摘である。昨年12月1日の拙ブログで、女流作家の塩野七生氏が日経のインタビューに答えて、こう述べたことを紹介した。


 <小泉さんはお辞めになった後に会ったことがある。どうして辞めたのか聞いたら「僕は疲れちゃった」と。……「首相の当時は時々、夜にがばっと起きるときがあった。今はそういうことがなくなって熟睡しているよ』と言っていらした。(脱原発論を言い出したのは)熟睡に飽きちゃったのだと思う>

 <もう一つ言いたい。粋な男は焼けぼっくいに火をつけないこと。やめると言ったらやめる>

 いったん総理大臣という玉座から身を引いたら、「再度復帰」「出戻り」など考えず、一切、政治に影響を与えるようなことは言わない。院政を敷く力のありそうな人間ほど、慎みをもって後世に託すのが男の美学ではないか、と言っているのである。
 
 同じことは細川氏にも言える。細川氏については、女流評論家の金美齢氏がBSフジの番組で「あの人はディレッタント。政治も趣味で、実務が伴っていなかった」という辛口の評価をしていた。政治のゴタゴタがいやになって、陶芸という趣味の世界に生きてきたが、金氏は「それに飽きちゃったのでは。ディレッタントだから」と見る。で、「またまた政治の世界へ」というわけだ。

 両女性の観察は手厳しいが、本質を突いている。

 「熟睡」「趣味の世界」に飽きた二人の元首相がもう一度「政治を楽しむ」のに、「脱原発」は格好の材料なのだろう。小泉氏は郵政民営化を争点に掲げて圧勝した2005年の衆院選の経験が忘れられないのだろう。

 だが、本来、国政は外交・安全保障、行財政改革などを争点にすべきで、郵政民営化などはその1つにすぎない。その程度で衆院選圧勝という「劇場型政治」を味わえる楽しみを小泉氏は知ってしまった。

 今回の「脱原発」にしても、勝っても負けても、自分たちに原発政策を左右する権能はないから、気楽なもの。勝てば「ああ、楽しかった」で終わる程度のものだ。これをもって、無責任というのである。

 大体、今回の都知事選は猪瀬直樹・前都知事の「政治とカネ」問題(徳洲会グループからの5000万円受け取り)発生による知事辞任が原因だ。

 とすれば、首相在任当時、東京佐川急便から1億円を借り入れ、野党からの追及に明確な説明のないまま退陣した細川氏は、今回の都知事選出馬に当たり、当時の責任をどう説明するのか。

 原発そのものは遠い将来はイザ知らず、当面は都民にとっても、国民にとっても必要である。その理由はこのブログで何度も書いてきたので繰り返さない。

 私は都民ではない。また、細川氏の対抗馬である舛添要一・元厚生労働相をそれほど評価していない。だが、政治の実務は心得ており、「脱原発」などという無責任政治はしないと思っている。

 都民が「脱原発」にのめりこむディレッタント政治家をどう評価するのか、しっかりと見届けたい。願わくは、いったん玉座を降りた人間の晩節を汚す行動に引導を渡してほしいものだ。





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Last updated  2014.01.16 08:38:01
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