テーマ:本のある暮らし(3219)
カテゴリ:国語
生徒さんにどんな本をお勧めしたらいいでしょうね・・・。とお母様とご相談しました。
「先生、私は芥川龍之介も、太宰治も素晴らしいと思うんですが、娘は本を読みませんのよ。」 私も芥川さんや太宰さんは好きですね。とても良いと思いますが、お母様やわたくしとお嬢さんとでは時代が少し違いますので、少し新しい時代の本がいいかと思います。 明治の文豪=森鴎外(オウは旧字体)、幸田露伴、尾崎紅葉、樋口一葉、夏目漱石 大正の文豪=志賀直哉、夏目漱石、有島武郎 昭和の文豪=芥川龍之介、川端康成、谷崎潤一郎、中島敦 戦後の文豪=坂口安吾、大岡昇平、三島由紀夫、井上靖、北杜夫 多分、お母様はこんな方々の本をお嬢さんに読んで欲しいのですね・・・ おそらく、戦前の作家の方の作品は、旧仮名遣いが辛くて読めないと思います。 「ええー。それくらいは読めるでしょう?」 ええと、例えば、私たちだと大正の文豪の作品は楽に読めても、明治の文豪の作品はしんどいとか、明治の文豪は楽でも、近松門左衛門だとしんどいとかあるように、少し新しい時代の作品をお勧めしないとずれが大きくなってくると思うのですよ。新しい方は新しいことをご存知ですからね。ライトノベルズもいいと思いますよ。 「ライトノベルズなんてあるんですか?」 はい、漫画のような表紙をつけて若い方の生活をかかれたものが多いです。 「私は一時期坂口安吾にはまったりもしましたが、やはり文章が美しい方が好みです。」 そうするとお母様は三島由紀夫さんなどお好みで? 「はい、もう大好きで、ほとんどのものは読みました。」 あ、やっぱり。美文体がお好きなら、三島さんか谷崎さん。 「でも三島は精神的にはちょっと難がありましたね。まあ、その、ああいうこともありましたし。」 そうですね。そういうことなら夏目さんはうつ、芥川さんは統合失調症、太宰さんはボーダーパーソナリティしょうがい、ということになりましょうか。川端康成さんも最期はああでしたし。 「作家さんは精神的にいろいろあるのでしょうね。今昔物語なども人間の裏側をえぐっていますし。もう途中で読むのがいやになりました。」 破綻していない作家もいますよ。森鴎外さん、志賀直哉さん。いかがですか? 「いえ、私はやはり作家にはある程度”毒”がある方が好きでして、先生のおっしゃった作家は物足りないのですね。太宰なんて、読んだときになんでこんなに私のことを知っているのだろうって驚きましたもの。」 ええ、そうですね。太宰さんは永遠の青春作家なので。太宰さんは昭和初期から戦後すぐまでですので、プラス20年程度で、昭和50年ごろに世に出た村上龍さん、村上春樹さんあたりいかがでしょう。 「W村上・・・(首を振る)。先生、そんなものですか?」 そうですね。いつまでも価値ある方々とは思いますが、入門編にはむかないと思いますね。相応の新しい時代のものを楽しんだ後、徐々に古い時代のものも楽しむのがよいかと。 では、ジブリは好きですか?>お嬢さん 「はい。」 ハウルは見ましたか? 「いいえ。」 ちょうど良かった。ハウルの動く城と火の悪魔はいかがでしょう?面白いですよ。映画とはまた違うストーリー展開ですし、読みやすいですが。 「はい、ハウルを読みます。」 文学談義がやりたくなるのは、きっと満開の桜の森の下のせい。きっと何かがうもれているのでしょう。もう桜が散ってしまうから私も正気に戻ります。 かしこ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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