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カテゴリ:読書
『虚無のオペラ』 小池真理子・著 <140>
![]() 久しぶりの小池真理子長編。 付き合ってきた人と別れるための京都への旅。 そして、ずっとモデルを続けていた画家との関係。 なんとも静かな時間が流れていく。 人は誰しも平等に衰えていくのであって、 その推移の残酷さを知ってさえいれば、 若さだけが嫉妬の対象になどなろうはずはない。 「きみが年を重ねても、僕がきみの中に見ているものは変わらないから」 「女が恋をするときれいになるのはどうしてか、知ってる? ホルモンなんかのせいじゃないの。 現実から遠くかけ離れてしまうからよ。 自分があこの世のものではなくなってしまうから。 この世に流れている時間とか、この世にある空間が見えなくなって、 手の届かない場所に飛んでいってしまえるからよ。 そうするとね、女はきれいになるの。 女を醜くするのはね、年齢じゃない。 自分と取り囲んでいる現実なのよ」 心中する男と女は、こんな風に微笑み合うのだろうか。 違っているところがあったとしたら、 死してなお、生きていかねばならないことだけであった。 うーーーっ。 小池真理子さんらしい、すごい言葉です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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