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カテゴリ:読書
『出口のない海』 横山秀夫・著 <178>
太平洋戦争末期、人間魚雷「回天」に乗ることになった並木。 彼は甲子園の優勝投手だったが、怪我で断念。 いつも魔球を投げることを夢みていた。 なぜ「回天」に? 命とは?生きるとは? 切なく胸がしめつけられる。 「俺はな、走れるのに走らないわけじゃない。 走る道がないから走らないんだ」 戦争なんて勇ましくも男らしくもない。 ただ、悲しいだけだ・・・・。 ・・・ああ、きれいだなぁ。 美しい海、母なる海。 だかそれは、二度と陸地を踏むことを許されない、 出口のない海でもあった。 一度死んでしまった人間なのだ。 死んでいなければならない人間なのだ。 だから喜びを感じてはいけないのだ。 陸地に並木のいり場所はなかった。 心の中には、見渡す限り荒涼とした海が広がっていた。 「勝とうが負けようが、いずれ戦争は終わる。 平和なときがきっとくる。 その時になって回天を知ったら、みんなどう思うだろう。 俺は、人間魚雷という兵器がこの世に存在したということを伝えたい。 俺たちの死は、人間が兵器の一部になったことの 動かしがたい事実として残る。 それでいい。俺はそのために死ぬ」 「回天を伝えるために・・」 「俺なりの理由だ。 自分から死ぬためには理由がいるからな」 命を投げ出して守った祖国。 その命に報いるだけの国になっているのか!? どこで何が狂ってしまったのか・・・。 最近の悲惨なニュースを見聞きするたびに思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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