原稿料の話
新聞にフリーランスライターの権利に関する記事が掲載されていて、そこで一人のライターが、「自分の原稿料は、一文字2円」と話していた。これにはかなり驚いた。ネットの記事原稿なのだろうか。それにしても、1文字2円だと、単純計算にして400字で800円???私が今から48年前の21歳の時に、初めて書いた週刊誌の原稿料は、失念してしまったが、2回目にデータ原稿を入れた時は、ペラ(200字詰め原稿用紙)1枚で、1,000円だった。これは担当編集者がこう言ってくれたので、よく覚えているのだ。「なるべく改行を多くして枚数を稼ぐんだよ。そうすれば原稿料も上がるからね」データ原稿はその時だけで、以降はアンカーも兼ねたから、ページ単位で計算された。週刊誌では1ページ25,000円とか、月刊誌では1ページ20,000万円とか。1つの企画で4ページとか8ページあると、それだけで結構な額となる。ちなみに取材の際の交通費や諸経費、一緒に動くカメラマン等スタッフとの食事代など、すべて編集部持ち。原稿用紙はその雑誌の名前が入った原稿用紙が渡されたし、鉛筆等の筆記用具すら貰うことができた。大手出版社だと、原稿料はその人の経歴やその出版社への貢献度で決められることが多く、何年かごとに、額が更新されて増えていく。またその出版社以外からであっても、自著を上梓すると、格が上がって原稿料も上がったりする。もちろんお金のために仕事をするのではなく、書くのが好きだから仕事をしている。それでも生活はあるから、食べていくのに困らない収入は確保したい。しかし・・・バブルが弾けた後、出版界も不況に陥った。その際、格が上がってしまったライターの原稿料は下げられないということで、他の人でも大丈夫だと思われる仕事は、若い人に回されることが急に増えた。私も40代半ばからはこの洗礼を受け、大手出版社からの雑誌の依頼は減ってしまった。「すみません。製作費予算が25%カットになっってしまって」などと言われて・・・。それからは仲間のフリーカメラマンやエディター等から誘われて、小さな出版社の仕事も、依頼があれば、内容如何では引き受けるようになった。特に犬や猫の雑誌は、声がかかるとスケジュールさえ合えば、断る理由などなかった。たとえば1ページ1万円でも、やりたい仕事は喜んで受けた。予算がない編集部で「1ページ7,000円しか出せないんです」と言われても、即答でOKした。(交通費が原稿料に含まれることも、小さな出版社ではよくあった)。取材に出られるだけで、嬉しい。仕事が好き。 取材が好き。 書くことが好き。仕事があるだけで、とても、とても幸せ。だから・・・。それにしても、冒頭の話だが、1文字2円って・・・。ペラで400円? あ、でも原稿用紙の枚数ではなく、リアルな文字数なのだろうか?あまりの安さに、これで食べていかれるの? と思う。自分なら受けるだろうか? やりたい内容なら、持ち出しでも受けるかもしれないが、いつも、いつもこの金額では、バイトでもしないとやっていかれないだろう。いつからこんな状態になってしまったのか?フリーランスの立場の弱さが、今、問われているという。