エアライン・おこぼれ話 その1
仕事柄、色々な航空会社の方々に出会ったり、旅行好きが高じて色んなエアラインに搭乗する機会がが多かった。今日は、そんな10数年の間に得た思い出なんかをシリーズにしてみます。<その1・・・とあるエアラインの機内で・・・>昨夏、オリンピックが行われた国のナショナルフラッグとも言える航空会社に乗務していた事があった。議論好きの国民、一通りの機内の仕事が終るとお喋りに花が咲く。そんな時、ギャレー(機内の台所?)で、婚姻制度の話になった。どうやら、この国、離婚率が非常に高いので、法律で離婚は3回、結婚は4回まで(もしかしたら、もっと少ない数字だったかも・・・)と定められているらしい。ある男性乗務員に「日本は何回離婚できるの?」と聞かれた。結婚じゃなくて、離婚って聞いてくるところが笑えるけど、「そんな法律は無いよ!」と答えると、「What a great country! That's the way it should be! (何て素晴らしい国なんだ!そうじゃなきゃ!)」と心底、感動していた様子。どうやら、彼はもう結婚できない程、離婚歴があるらしく、慰謝料やらなんやらで大変らしい。「だったら何で結婚したの?」と聞くと、「私は愛の放浪者。時には間違いもあるさ!」と堂々と言っていた。あんた、間違いすぎですから!残念!(今日も、ギター侍登場!)-----------この議論好きの国民はコーヒーが非常に好きらしい。まだ日本でスターバックスも知られていない頃、機内でミニ・Myクレーマーを使って、ミルクを泡立てて(旅客には絶対に出さない)美味しいコーヒーを飲んでいた。ある日、ギャレーで、「Konnie、今日は最高のコーヒーが手に入ったから ご馳走するね!待ってて!」といわれた。どんなコーヒーかと思い、ワクワクしていたら、彼のカバンから一本の瓶が・・・。あの中に、最高のコーヒー豆が入ってるのね!あれ・・・でも、どうやって挽くのかしら?それにしても、見たことある瓶・・・と思い、瓶を覗き込むとNescafe Gold Blend exellaあなた、それインスタントコーヒーですからぁっ!!!じゃん♪(ギターの音)------------機内は乾燥しているから咽喉が渇く。冷蔵カートからジュースを出すのも面倒だったので、ギャレーの水道タンクから水を飲もうとしたら、オバちゃん乗務員に怒られた。何で怒られるの?!と理不尽に思っていると「Konnie、これは旅客用の水。こんな、タンクに溜まった水じゃなくて、あなたは乗務員なんだから、こっちの美味しいお水(ペットボトル入りのミネラルウォーター)を飲まなきゃ!」とママが子供にするように、コップに水を注いで渡してくれた。「!!!!」皆さん、機内でお水を頼む時は、ボトルごと貰うか、ボトルの水かどうか確認しましょう!-------------エアライン、特に空飛ぶお仕事は、仕事内容かそれとも、密室のせいか分からないけれど、同性愛者が多い。ここでも、離着陸の時膝小僧をピッタリくっつけて、乗務員用のセキュリティーシートに座っている男性ゲイカップルがいた。でも、こういう人達って、女性よりも細やかなサービスをしてくれたり、色々気がついてくれる。良い人達に沢山であった。---------ヨーロッパまで乗務の訓練に行くのはお金が掛かると思ったのか、日本人の訓練は、都内の空港で、鶴のマークの航空会社のスタッフ、並びに設備を使っての訓練だった。「私はのろまな亀!」なんて、堀ちえみのスチュワーデス物語(古い?)みたいな訓練を本当にしていた。その非常脱出訓練の時、機内火災を想定した訓練もあった。両手を挙げて「落ち着いて!大丈夫!落ち着いて!」なんて、パニックになるだろう旅客を落ち着かせ、旅客を安全な方法で非難させる訓練。一応、スモークを炊いて本物の火事っぽくするけれど、自分を捨てないとナカナカ緊張感が出てこない。緊急脱出には手ぶらと厚着(脱出時の衝撃を抑えたり、海上や冬場は体温を保つ為に)が原則。脱出時に怪我をする可能性のある、ハイヒールとかは脱いで、メガネも外すように等々指示する。とにかく、装飾品は外すように!との事で、宿泊施設に帰って、皆で復習する頃には「メガネは外して!」までは良かったが、その内「かつらは被って!入れ歯は外して!1カラット以上の宝石は乗務員に渡して!」と教官や、不運にも本当に事故に逢ってしまった人が聞いたら、心底怒りそうな、うら若き20代女性達の部屋と化していた。緊急脱出時にはドアを開けると、大きな滑り台が膨らむ。ビルの3階だか4階(忘れちゃった・・・)に相当する高さからの滑り台。初めてだと、ちょっとビビる。でも、人の流れを滞らせる事なく(チョットの事で命取りになるからね)自分は唯一の命綱でもある、ドアの横についているバーを握り締めて、旅客の背中を押す。そう、ドラマみたいに「ジャンプ!ジャンプ!」って言いながら・・・。自分でも、その滑り台(スライド)を滑ってみた。上下のツナギを着ての訓練。ツナギだよ。自動車修理工のお兄ちゃん達が着る様な、結構、厚手の生地。でも、いざ、(ナイロン?)緊急脱出用のスライドを滑ると、摩擦で熱い。厚手のツナギでもかなり熱く感じた。じゃあ、スカートにストッキングだったら・・・と思うだけで、氷水に浸かりたくなる。飛行機に乗るときは、万が一を考えて、長ズボンをお勧めします。ちなみに、海上の緊急着陸時、この滑り台は切り離すと、救命ボートに変身します。--------------話し戻って、オリンピック発祥の、議論好き国民の航空会社。日本旅客って大好き!とべた褒め。「どうして?」と聞くと「They eat, they buy and then they sleep!!」(彼らは、食べて、(免税品を)買って、そして寝る!)彼らによると、南に浮かぶ大きな島国の国民は、とにかくパーティー好きで、機内でもずっと大きな声で騒ぎ、機内のアルコールの在庫がなくなるまで飲み干し、夜通し騒ぐ・・・との事。それに比べると、日本人は文句も言わないし、静かで扱いやすいらしい・・・。でもねえ、一番うるさいのは、ギャレーで騒いでいる、あなたたちですから!切腹!(ギター侍、再び・・・)禁煙エリアのギャレーで、葉巻吸うな!流石の日本人も「臭い!」怒って文句言ってたぞ!・・・と伝えると、「葉巻が臭い?日本人は、本物って物を知らないんだ!可愛そうに・・・深い溜息・・・」-------------長くなったけど、最後にここの航空会社、組合が非常~~~~~~~~~~~~~~~に強い。日本を出ると、再び日本の地を踏むのは2週間後と言う、長い仕事。その間(往復のトータルで)バンコクで約1週間滞在し、日本人はアテ●で4日間滞在する。ギリシ●ベースの乗務員に至っては、日本線のフライトが終ると、11日間の休みを貰う。結構美味しい仕事。更に、バンコクでは、お手当てとして1日、約1万円のお金を貰う。タイで1万円x1週間。ギリシ●人は、TDL近くの高級ホテルに泊まり、(日本は物価が高いという理由で)お手当て一日5万円x5日間。勿論、宿泊費は会社持ち。この25万円は名目上は、食費とかだけど、実際は好きな様に使えるから、安いもの(マクドとか?)食べて、後は貯金。(他社のお手当て金額は、この限りではありません)これだけでも、カナリのお手当てでしょう。それでも、ホテルが都内から遠い!六本木に行けないじゃないか!って理由で、組合は帝国ホテル変更を要求。あんた達、旅行じゃないんだよっ!普通、皆、空港近くのホテルに泊まるんだよっ!毎回400人前後の旅客を乗せても、結局、東京線は、赤字路線。ジャンボだと、空港の離着陸料や駐機料だけでウン千万って掛かる。そんな訳か、日本路線をさっさと撤退してしまった。最後の方は、どうせ撤退するから・・・と思ったのか400人前後の旅客に対して、機内の毛布は300枚以下位しかなくて、ギリシ●出発前に、ギリシ●人乗務員と共に、隣に駐機中の機内に忍び込み(?)抱えられるだけの毛布を失敬した事もあった(苦笑)オイオイ・・・今となっては良い思い出だけど、あの頃は、「飛行機に乗るのは、絶対に旅客の方が楽! 体力つけなきゃ!」って真剣に思ってたなあ・・・。でも、初めてヨーロッパ人、しかも、熱い血の流れた人達と仕事をして、沢山、人生勉強をした。暗闇の中、操縦席の機長と一緒に見た、遠くに見えるテヘラン(イラン)の夜景はとっても綺麗で幻想的だったなあ・・・。最後のフライトでは、バンコク支店の人に「お疲れ様!」って大きなケーキを貰って感激したなあ。機内で様々な人々との出会いは、私の人生の宝物。チョット、あの頃が懐かしい・・・。しかぁ~し!日本路線が無くなってしまったKonnie、路頭に迷うのか?Konnieの人生、いかに?!