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カテゴリ:TMS
以前,佐藤昌武氏のTTゲージをご紹介しました。
![]() (TMS1956年1月号より。佐藤昌武氏のTTゲージ) 佐藤氏は,2011年5月に逝去されましたが(とれいん2011年7月号171頁参照),2000年にTMS(11月号・12月号)で「たのしかった模型趣味の70年 駆けめぐった夢,新たな希望」と題する回顧録を執筆されています。今回は,上記記事から,TTゲージに関する部分を特にご紹介したいと思います。 佐藤氏は1919年生まれ。戦前,主にOゲージで車両を自作されていましたが,子供の科学1934年4月号に掲載された,河北一久氏の軌間9.5ミリの電気機関車に「大きな刺激」を受け,1936年に軌間11ミリ,1/100のED17を自作されました。 戦後,TTゲージが海外から伝わると「特に私の場合,昭和11年に作ったED17形をこのゲージに変更できると考えて大きな親近感をもって迎えた。日本形に採用すべき縮尺は客貨車110分の1,機関車は0番における43分の1と同じ考え方から105分の1が適当と私自身で決めた。」として,TTゲージの製作に邁進されました。 ![]() ![]() (TMS2000年11月号より。佐藤昌武氏のTTゲージ) ![]() ![]() (TMS2000年12月号より。佐藤昌武氏のTTゲージ) すなわち「この結果10年ほどの間にアメリカ形ハドソン(TMS36号(注:1951年9月号)発表),C59(同90号(注:1956年1月号)発表),EF58(同220号(注:1966年10月号)発表)と制作が進み,真鍮製で,マイネ40とサロン車に改めたマイネ41を含む切妻10輌編成各等急行列車を誕生させ,初心のつばめ号とは肌合いが多少異なるものの一応昭和5年以来の長編成列車の夢を果たした。その上で100分の1のED17も改造改軌した。」とあるとおり,C59やEF58に加え,多数の客車を製作され,編成として楽しまれたことが特筆されます。 また,海外で,英独スイスのTTゲージも購入され,「現在これらのTT車輌は私が約30年前に建てた家の広間の一隅に,中尾 豊氏の『機関庫のある風景』を模範にして設けた駅構内風景レイアウトで往復運転を行ない,たのしんでいる。」とありますが,あいにくTMSにはレイアウトの写真は掲載されていません。 最後に,佐藤氏の次のお考えは,今日非常に重要な意義をもっていると思われますので,引用させていただきます(太字は引用者)。 「今迄TMSにのせて頂いた作品記事などによるのであろうか,それを読まれて私が細密工作の信条に燃えているように思って居られる向きもあるようであるが,私はその積りはない。…実物のメカニズムや寸法にこだわりすぎず,しかし実物から受ける印象を的確に表現しつつ実用的にまとめるという仕法が私には好ましく思われる。模型メーカーの発売品も近時細部に至るまで縮尺固守を貴しとする傾向があるが,上述の線に沿ってお願いしたい。その結果として買い易い価格でこの趣味の普及に寄与して頂きたい。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.02.02 19:14:07
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