2024/08/07(水)22:11
1M方式新性能国電のNゲージ
105系をはじめとするいわゆる新性能1M国電は,1両または2両で編成を組んで走ることから模型化には好適の車両といえるでしょう。
Nゲージの世界では,119系,123系の製品化が先行する一方,最近では105系のバリエーションもかなり充実してきました。その歴史を少し振り返ってみたいと思います。
<119系>実車では105系をもとに119系がデビューしていますが,Nゲージの世界では,グリーンマックスの119系未塗装キットが先行しました。TMS昭和59年10月号で組み立て方が解説されています。民営化後には,分散型冷房を搭載した5000番台のキットが加わりました。なお,この5000番台キットは,同社の小田急1800形キットや103系3000番台キットと同様「限定版」と銘打たれています。
さらに,平成15年からは,新たに塗装済み完成品が製品化され,国鉄色,東海色試験塗装,東海色,するがシャトル色,復活国鉄色といったカラーバリエーションや,両運・片運といった形態の違いにより,かなりの種類となっています。平成16年の105系(西日本車)に続き,平成20年に119系を製品化したマイクロエースも,同様にカラーバリエーションを展開していますが,今のところ,両運車は製品化していません。さらに,平成24年からは,鉄道コレクションが加わり,グリーンマックス同様に,各種カラーと両運・片運車が製品化されているほか,5300番台(ワンマン対応車)も製品化され,唯一の存在となっています。さらに,鉄道コレクションでは,えちぜん鉄道に譲渡されたMC7000形も製品化されています。
[追記]さらに,カトーから飯田線シリーズの一環として,119系(旧塗装・片運転台)が製品化されています。
(グリーンマックスカタログVol.6より。製品化が予告された119系が表紙を飾った)
(鉄道模型趣味昭和59年10月号より。119系キットの組み立て方を解説)
(グリーンマックスカタログVol.11より。119系のバリエーションが模型で紹介された)
<123系>・東日本クモハ123-1は昭和61年に登場。辰野支線に投入されました。Nゲージの世界では,古くはシバサキ模型のコンバージョンキットなどがありましたが,プラ製品としては,鉄道コレクション第20弾が初めての製品化となりました。クリームと緑の旧塗装を製品化した第20弾に加え,第24弾で白とピンクの新塗装が製品化されています。
(NゲージBOOK2(機芸出版社)より,カトーのクモニ143を改造して123系とするエッチング製パーツ(シバサキ模型)の紹介)
・東海クモハ123の40番台(41-45)は昭和62年に登場。身延線に投入されました(冷房化により5040番台に改番)。Nゲージでは,昭和63年,グリーンマックスの未塗装キットで製品化されています。同社お得意の2種類の側板(東海,西日本)を1本のランナーにおさめた構成です。クロスポイントブランドでは,このキットをJR東海カラーとした塗装済板キットが発売されています。鉄道コレクション第20弾では,富士山と身延線の頭文字「M」を図案化した旧塗装が製品化されています。また,5040番台も製品化されました。なお,民営化後の昭和63年に登場した3扉の600番台(601,602)のプラ製品は,今のところありません。
[追記]鉄道コレクションでは,600番台の製品化も予告されています。
・西日本クモハ123-2から123-6は昭和62年に登場。クモハ123-2から123-4は可部線用で側面の大きな窓が特徴です。先ほどふれたグリーンマックスの未塗装キットでは,東海車とあわせてこちらを製品化。平成5年に可部線から宇部線・小野田線に転属し,直後に前面に貫通扉が取り付けられます。
マイクロエースは,平成21年,前面扉取り付け前の姿で製品化。
鉄道コレクション第20弾では,マイクロエースと同じく非貫通時を製品化。さらに,平成28年には,オープンパッケージで貫通扉取り付け後の姿が製品化されています。
実車は近年,黄色に塗り替えられていますが,このカラーの製品はまだありません。
クモハ123-5,123-6はもともと阪和線羽衣支線用で田の字型の2段窓が特徴です。
平成21年,マイクロエースから,103系と組み合わせた3両編成セットとして製品化。翌22年には宇野線転属後のカモメが描かれた姿も製品化されています。鉄道コレクション第20弾では,阪和線時代の姿を製品化。平成28年には,オープンパッケージで,カモメが描かれた姿も製品化。実車は宇野線から福塩線・赤穂線を経て宇部線・小野田線へと転属していますが,宇部線・小野田線仕様の製品はまだありません。
<105系>・東日本マイクロエースは,平成14年に仙石線旧塗装を製品化しました。実車は,昭和62年に103系を改造したもので,白,赤,青の派手な塗装が特徴です。鉄道コレクションからも,平成24年に仙石線旧塗装が製品化されています。また,Newdays・KIOSKオリジナル鉄道コレクション第1弾では,仙石線新塗装(青22号に前面白帯。クハのみ)が,同第4弾のシークレットでは,八王子支社の訓練車(クハのみ)が製品化されています。
・西日本105系(西日本車)を最初にプラで製品化したのはマイクロエースで,平成16年以降,各種バリエーションを展開しています。形態的には,新製車(0番台),103系改造車(500番台),0番台30N更新工事施工車を揃え,カラーバリエーションとしては,旧広島色(朱色),新広島色,旧和歌山色,新和歌山色,福塩色,瀬戸内地区地域統一色(濃黄色),和歌山地区地域統一色(青緑色)があり,特に,旧和歌山色に果物の絵が描かれた「フルーツ列車」は,マイクロエースらしいユニークな存在です。
一方,鉄道コレクションでも,平成24年以降,積極的にバリエーションを展開。新製車,103系改造車の双方がありますが,30N更新工事施工車はまだありません。カラーバリエーションとしては,旧広島色(朱色),新広島色,旧和歌山色,福塩色,瀬戸内地区地域統一色(濃黄色),和歌山地区地域統一色(青緑色)があり,新和歌山色を欠きますが,同じ色でも編成ごとの細かな差異が再現され,豊富なバリエーションを誇っています。
<その他>この他,新性能1M国電では,ステンレス車体の121系,213系がマイクロエースから製品化されています。121系,213系は,鉄道コレクション第26弾でも製品化が予告されていますね。また,民営化後に登場しているので「国電」とはいえませんが,165系の機器が流用され,105系の発展型というべきJR東日本107系は,119系同様,グリーンマックス,マイクロエース,鉄道コレクションの3社競作となっています。また,マイクロエースでは,上信電鉄への譲渡車も製品化されています。
こうなると,旧性能車ですが,クモハ84あたりの製品化を期待したいところです。