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日も既に沈み辺りは真っ暗。深夜に差し掛かる時 間帯。 道の街灯も繁華街から外れると薄暗く、立ち並ぶ 数も飛び飛びで少ない。そんな街はずれで一晩を 明かすべく近くの公園を探す二人の姿があった。 深夜に近いからか、帰路を急ぐサラリーマンや犬 の散歩をする人すら見受けられない。立ち並ぶ住 宅からも明かりは殆ど見られず数軒の2Fからこぼ れているだけ。 遠くから複数からなるバイクの爆音が聞こえてい る。 ウォン ウォンォンォンオン ゾルダ 「さっきの看板通りに来てるはずだが・・・」 少年A 「そのうちあるだろ。 別に急いでねぇ、慌てるこたぁねぇや。 公園は逃げたりしねぇよ。」 ゾルダ 「確かに。」 先ほどの爆音の集団が一本隣の広い道を通り過ぎ て行く。 ウォンォンォンオン パララララ ウォンウォン ゾルダ 「うっせーなぁ・・・」 その集団、数本先の道をこちらに進路を曲げ、二 人の歩く道沿いの駐車場に続々と入っていった。 少年A 「ん・・・?」 見るとその駐車場には既に別の集団が待ち換えて いたようで、入っていくバイク集団のヘッドライ トに照らされてチラチラと見え隠れ。だが待ち構 えていた集団のその数、50人どころではないよう に見えた。 ゾルダ 「あそこが公園か。でけーな。」 \ウォンォンォンオン / 停めたバイクが空ふかしで一斉に爆音を響かせて エンジンを止めた。 少年A 「ほぉ、にらみ合ってる。 なんか祭りがおっ始まるみてぇだぞ。」 ゾルダ 「またかぁ。 どこでも変わらなねぇなぁ・・・。暇だねぇ。」 少年A 「どこが一番か、誰が強ぇか、やることは一緒だ。 勝っても飯は食えねえが男のプライドってのもあ ったりするからな。」 [特攻服のツナギの集団] 金髪トサカ頭 「おめーらか、俺らを呼び出したのは。」 [黒革ジャン集団] パンチパーマ頭 「やってくれたなぁお前ら。 俺らのシマで好き勝手やりやがって。」 左右それぞれの集団の前に立つ二人。 金髪トサカ頭 「はぁ? 何の話だ。 それにシマ? ここは陸続きだぜ。どこにある島 だよそれ。陸の孤島の話されてもよぉ。」 『あはははは』 パンチパーマ頭 「とぼけてんじゃねぇよ。 うちの連中を個別に闇討ち仕掛けやがって。 一人に大勢じゃなきゃおめぇらは遣れねぇ軟弱 チームって事だ。 その腰抜けチームさんがよ、良く呼び出しに応 じたもんだ。チビっちまってよ、部屋の隅で丸 くなってガタガタ震えて来ないんじゃねぇかと 思ってたからなぁ。 今日はよ、みんなで焼肉パーティーの準備しよう と思ってたところよ。」 金髪トサカ頭 「アヤふっ掛けられて黙ってられる程ふぬけじゃね ぇ。」 パンチパーマ頭 「それともう一つ。 おぃ。」 パンチパーマ頭がやゃ後方に顔を傾けて一声。 すると後ろ手に縛られた男女1組が連れ出され、 パンチパーマ頭の横に放り出された。 金髪トサカ頭 「くっ・・・。」 パンチパーマ頭 「分かるよな。こいつらは薬の売人だ。 困るんだなぁ、そっちに手を出されたら。それに フクロにした後、勝手に注射打って逃走。尋常じ ゃねぇ。 うちのシマで薬売られ、挙句には濡れ衣でサツに パクられまくっててよ。 こいつらがゲロしたぜ。 指示を出してたやつをよ。 やっちゃいけねぇ事、てめぇらはやってやがる。 悪いが、今日は生きて帰れると思うなよ。」 金髪トサカ頭 「うっせぇなぁ。 それが今の世の中なんだよ。ごちゃごちゃ言って ねぇで早くおっ始めようぜ。」 [特攻服のツナギの集団]はバイクに仕込んであ った鉄パイプや木刀を手にして、 金髪トサカ頭 「てめーら! やっちまえっ!」 『おぉぉぉっ』 『おぉりゃゃっ』 パンチパーマ頭 「今日は生かして帰すなっ こいつらの息の根止めてやれっ!」 『そぉりゃゃっ』 『うぉぉぉっ』 ゾルダ 「おぃおぃ、どぉもプライドじゃなさそうだ・・・。」 少年A 「ほぅ、薬が絡んでんだ。 ダチが勝手に人生終わらせられたんじゃムキにも ならぁな。 酷い世の中になっちまったもんだ。」 ゴンっ ドサ彡 ボコ カラーン ドス 『このやろぉぉ』 ドン『くたばれぇ』 バコ 『ぐわ』 ドス ドス 『うぐ・・・』 ゴン カラン バシバシ 駐車場入り口で見ていた二人、 ゾルダ 「どうするよ兄貴。」 少年A 「寝床の騒音、邪魔だな。」 ゾルダ 「あいよ。」 返答後、ゆっくり一歩ずつ乱闘現場に足を運ぶゾ ルダ。腕組みをした姿勢からそれを解き、違う方 向に歩き出した少年A。 そして、 少年A 「おぃ! てめぇら!」 近場にいた7、8人が少年Aを見た。 少年A 「静かにしてくれねぇかな。」 『なんだてめーは。』 ゾルダ 「兄貴が静かにしろとよ。」 ゾルダの近くの数人もこちらを見た。 『はぁ~?』 ゾルダ 「おめぇらがうるせぇって言ってんだ。」 乱闘中央付近の金髪トサカ頭とパンチパーマ頭も それに気が付き、 金髪トサカ頭 「誰だ? こいつら。」 パンチパーマ頭 「なんだこいつ。」 『マッポじゃねぇみてーだ。』 『見たことねぇ』 『だれだぁ?』 少年A 「静かにしてくれねぇかと言っている。」 金髪トサカ頭 「うるせぇよ。」 パンチパーマ頭 「見て分かんねぇかな。水差しやがって。」 ゾルダ 「こっちは警告してやってんだぜ。」 金髪トサカ頭 「構わねぇ、一緒に片付けちまえっ!」 『うるせーんだよっ』 『てめーっ』 近場の数人が飛び掛かったっ! ズン★ ボッコーン★ 飛び掛かった二人の体が宙を舞い ドサ彡ドサ彡 こちらでは鉄パイプを持った男が少年Aに振り掛 かった! 少年A 「おぃ、また鉄パイプかよ・・・。」 ズゴーン★ ドサ彡 カランコロン。。 『うっ・・・』『 ・・・・ 』 辺りが一瞬で静まった。 男が振りがさしていた鉄パイプごと一発のパンチ で男もろとも吹き飛ばしてしまったからだ。 くの字になって路上に落ちた鉄パイプ。 少年A 「俺たちの今日の寝床だ。静かにしてもらおう。」 パンチパーマ頭 「訳わからねぇことぬかしやがって、 こいつらも片付けろ!」 『くたばれーっ』 『うぜんだよっ』 ゾルダ 「まっ、そうじゃなくちゃおもろくねぇわな。」 バキっ★ ドスドス★ ドスドス★ ボコ★ ズコ★ ガキ★ ズン★ ズゴっ★ ズン★ ボッコーン★ ゴス ゴスゴス ガコーン★ ボコっ★ ズコっ★ みるみると男たちが沈んでいく。 ボコ★ ズコ★ ガキ★ ズン★ ゴス ゴスゴス バキっ★ ドスドス★ ドスドス★ ガコーン★ ボコっ★ ズコっ★ ズゴっ★ ズン★ ボッコーン★ 『な、なんだこいつら・・・』 『 ・・・・ 』 『つ、つえぇ・・・』 『ざわざわ・・・』 バキっ★ ドスドス★ ドスドス★ ボコ★ ズコ★ ガキ★ ズン★ ズゴっ★ ズン★ ボッコーン★ ゴス ゴスゴス ガコーン★ ボコっ★ ズコっ★ 辺りの賑わいが嘘のように静かになった。 気が付くと、中央付近の金髪トサカ頭とパンチパ ーマ頭の二人以外は、全て路面に這いつくばって いた。 その時、遠くからパトカーのサイレンが聞こえて くる。 少年A 「ゾルダ、そこのカップルを別のところに担ぎ出し てやってくれ。」 ゾルダ 「いいけどよ・・・」 少年A 「早くしろ、マッポが来る。 俺はこいつらに用ありだ。」 ゾルダ 「あいよ。」 するとゾルダはボコボコにされて紐で縛られてい た二人を両肩に担いでその場を後にした。 少年A 「さてと、おめぇらは大将でよかったか?」 金髪トサカ頭 「チームの頭(ヘッド)だ・・・。」 パンチパーマ頭 「リーダーだ。てめぇ邪魔しやがって・・・」 二人は立ちすくんだまま辺りを見回して答えた。 少年A 「事情はさっきの会話で聞いている。 双方ワビ入れて和解しねぇか?」 パンチパーマ頭 「こっちがワビ入れる筋合いじゃねぇ!」 金髪トサカ頭 「てめぇ、さっきからうるせーん ズボっ★ (ぐっ ごほっ) (だよ・・・)」 少年Aの拳が金髪トサカ頭の溝打ちに入っていた。 膝から崩れる。 少年A 「薬やったら人生終わりなんだよ! 本来ならテメーがワビ入れるんが筋ってもんだ。 だがさっきの話を聞いただけで判断するのもな。 だから俺が出来るのは双方でって事だ。」 パンチパーマ頭 「だからなんで俺が ズゴ★(ぐほっ)」 同じく体が宙を浮きうつ伏せで這いつくばる。 少年A 「喧嘩するな、とは言わん。 俺はむしろ先頭に立ってやりたい口だぜ。 だがよ、つえぇだけの自己満足だけじゃ食ってい けねぇんだよ。こじんまりとした場所じゃいずれ 戦う相手も居なくなっちまうしな。 自慢や自己中の満足のためにじゃなくて、自分に とって何かを突き進むちゃんとした理由がある時 、男としてやるべき時にその拳を使いたいぜ。 どうだ? 違ってるか?」 『うぐぐぐ・・・・』 ( 二人はしゃべれない ) 少年A 「弱っちぃなお前ら・・・。その程度で。 俺はな、この国の人間じゃねぇんだ。 生まれた国は毎日が戦火だった。親は家ごと爆破 された。ガキの時によ。 その時からだ、生きるためそして親を遣りやがっ た相手軍人たちをぶっ殺すために、そして弟を守 りぬくために強くなる決心をした。 半端ねぇーぞ、俺たちの決心と鍛え方は。」 苦しそうな二人は、黙って話を聞いていた。 少年A 「だからよ、今日のおめーらは小せぇって言いたい んだよ。 何にやっててもよ、それなりに生きていけるだろ うがこの国は。ぬるいんだよ生き方がよ。」 そう言うと二人の頭をポンポンと叩き、 少年A 「まっ、そう言う事だ。 強制するのは好きじゃねぇ。後はお前らで考えろ や。」 ファンファンファン 数台のパトカーと赤灯を着けた大型バスが 駐車場入口を塞ぐように止め、大勢の警官がなだ れ込んで来た! 『動くな! 警察だ!』 『通報があった。君たちは包囲されている。大人 しく投降しなさい。』 少年A 「時間食っちまったか。 たっくしゃぁねぇな。」 少年Aは振り向くと包囲する警察官の方へと歩き 出した。 金髪トサカ頭 「よぉ、あんたら・・・もしかして・・・ 今騒がれている泣く子も黙る『撃爆兄弟』 なんじゃねぇのか?」 パンチパーマ頭 (『撃爆兄弟』・・・) 足を止めた少年A。(振り向きもせず、) 少年A 「さぁな、たまに言われるがよ。 お前らが勝手に付けたらしいが俺は知らん。」 パンチパーマ頭 「あ、あんた、な、名前は・・・。」 少年A 「そんなの聞いてどぅすんだ? なんの得にもならねぇぞ。 この一件、治めてくる。 俺の名は ザウバー 。」 そして再び歩き出した。 警察官にほど近いところに来ると両手を挙げて警 察に投降していく。 ザウバー 「お巡りさんよ、これやったのはオレだ。 他の連中はただ集まって話してただけ。 乗り込んでぶっ倒した主犯はオレだ。」 警察官 「そんな訳ないだろう。」 ザウバー 「オレだって言ってんだろうが!」 ズゴーン★ ザウバーは目の前の警察官を殴り飛ばしてしまう 『公務執行妨害だ! 逮捕する!』 (うるせぇなぁ・・・。ピーピーギャーギャーと) 登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 ● 第一章 1 話 へ ● 第二章 TOP へ ● 第三章 TOP へ ● 第四章 TOP へ ● Episode 03 Z へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月10日 15時48分09秒
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