衣類(繊維製品)には、しわ防止剤・防縮剤などの性能を与えるために樹脂加工剤としてホルムアルデヒドを使って加工されているものがあります。
そこで、ホルムアルデヒドは衣類などの繊維製品は「有害物質を含有する家庭用品に関する法律(家庭用品規制法)」によって規制されています。
具体的には、下記のようになります。
■ 生後24か月(2歳)以下の乳幼児用
・繊維製品のうち
おしめ、おしめカバー、よだれ掛け、下着、寝衣、手袋、靴下、中衣、外衣、帽子、寝具
ホルムアルデヒドの含有量が16ppm以下であること
■ 子供・大人(24か月以上)用
・繊維製品のうち
下着、寝衣、手袋、靴下及び足袋
・かつら、つけまつげ、つけひげ又は靴下どめに使用される接着剤
ホルムアルデヒドの含有量が75ppm以下であること
※ベビー用繊維製品については、販売時には、ホルムアルデヒドの残留規制があり、
ホルムアルデヒドは原則検出されないこととなっています。
ここで気づくのは24ヶ月=2歳と3歳では大幅に規制が緩くなっていることがわかります。
子供・大人用(24ヶ月以上)は乳幼児用(24ヶ月以下)と比較した場合、規制値がかなりゆるめになっており、さらに対象の繊維製品も少なくなっています。
これは以下の理由によります。
・赤ちゃんがなめると予想される。
・赤ちゃんの皮膚の感受性が高く、ホルムアルデヒドによるアレルギーを起こす可能性が高い。
しかし、この中で、3歳児と成人で一緒の対応をしているところに次のような疑問が残ります。
・子供でも物を口に入れる場合もある。
・子供は、成人よりも肌が敏感であるといえる。
さらに、このような規制があることも知らないために、知らずしらずに下記のような間違いを起こしているケースがあります。
・生後24ヶ月以下の乳幼児の繊維製品には、大人のものよりも低いホルムアルデヒドの含有量
の規制がありますが、実際には一つの例として子供を寝かせるときに通常のバスタオルを使
用している場合があります。
要するに大人用の繊維製品も乳幼児用のも同じように考えて当たり前のように使用されて
いるということです。
・ホルムアルデヒドは、繊維などに吸着しやすい性質(移染)がありますが、乳幼児の繊維製品
と大人用のものを一緒にしておいたり、近くに置いておくと移染する可能性が高くなります。
・販売されているところ(売り場)で乳幼児製品が包装されてなかったり、一般商品の近くで売ら
れている場合も移染する可能性が高くなります。
※製造後は基準値以下であっても輸送や保管、店舗での展示中に「違反品」となるケース
も多く、特に厳しい基準が設けられているベビー服での違反が目立ちます。
・タンスにホルムアルデヒドが使用されている場合、そこへ収納する繊維製品に移染します。
さらに気になるのは、繊維製品のうち、生後24ヶ月以内の乳幼児用の衣類はこの法律で含有量が規制されていますが、布製のおもちゃは規制の対象になっていないことです。
又、食品衛生法で規制されるおもちゃにも含まれていません。
布地にはホルムアルデヒドを含む加工剤を使用したり、別のものからホルムアルデヒドが移ったりすることがあります。
それら布製のおもちゃを乳幼児がなめたり、肌にこすり付けたりして遊ぶこともあります。
もし布製のおもちゃにホルムアルデヒドが含まれていた場合、皮膚の敏感な乳幼児や特にアレルギー体質の乳幼児や子供に皮膚炎などの障害を起こす可能性があります。
※乳幼児向け布製おもちゃについては、(社)日本玩具協会が自主基準である「玩具安全基準」
を作成し、基準に合格したものに「STマーク」を表示することを認めています。
ホルムアルデヒドについては、その基準のひとつとして、家庭用品規制法の「生後24ヶ月以下
の乳幼児用繊維製品」に準じた基準が定められています。
又、皮膚に直接使用される医療用などのサポーターも規制の対象になっていないのも懸念されます。
このように現状の法規制に対しても疑問点もありますが、それ以上に、我々が生活で身近に使用されるものにホルムアルデヒドの規制がかかっているのを知らずに、規制されている製品の取り扱いを間違って行い、規制されている意味をなさなくしている現状があります。
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【対策】
・ホルムアルデヒドは水に溶けやすい性質があるため、新品の場合、着用前に一度洗濯する。
※但し、洗濯した衣類をホルムアルデヒドの放散するタンスにしまうとホルムアルデヒドが
移ることがあります。
・乳幼児の健康被害を防ぐためには、布製おもちゃを購入するときには洗濯が可能なものを選
び、購入後はいったん洗濯してから遊ばせる。