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カテゴリ:ドラマ
![]() 「小さいおうち」 2014年 日本映画 監督 山田洋次 出演 黒木華 松たか子 吉岡秀隆 倍賞千恵子 妻夫木聡 片岡孝太郎 4代目相棒、決まりましたね。反町隆史さんで、役名は冠城亘(かぶらぎわたる)だそうですね。だから言ったでしょ、仲間由紀恵(社美弥子)さんじゃあないって。まあ、彼女が、河北満(かわきたみちる)とか柏原春(かしわばらはる)とかって名の別人役で、っていうことなら話は別ですが。 ところで今回は、中島京子の直木賞受賞作を、山田洋次監督が映画化した作品です。 主演の黒木華(くろきはると読みます、はなではないんですね。)が、ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞し、話題になった作品です。 大学生の健史(妻夫木聡)の大叔母のタキ(倍賞千恵子)が亡くなりました。遺品の中に、健史宛てと書かれた四角い缶が見つかります。開けてみるとタキが健史にうながされて大学ノートに書き記していた自叙伝でした。 昭和11年、タキ(黒木華)は山形から上京し小説家の女中を経て、おもちゃ会社の常務をしている平井家へ奉公に上がります。平井家は東京郊外にあり、昭和10年に建てられたばかりの少しモダンな赤い瓦屋根の小さいおうちでした。 平井(片岡孝太郎)とその妻・時子(松たか子)、かわいらしいが小児まひになった息子・恭一らとの穏やかな暮らしでしたが、おもちゃ会社に新しく入った芸大卒の青年・板倉(吉岡秀隆)の出現で状況が変わってくるのです。 ![]() 大叔母の自叙伝を現代の青年(健史はタキの孫ではありません。タキは生涯独身だったようですから。)が読むという形で、戦時中の内地の中流家庭の生活を描くというお話かと思ったら、青年・板倉の登場で話は意外な方向へ向かい、ちょっとびっくりしました。でも、そのおかげで、とてもドキドキして楽しく観賞できました。松たか子の妖艶さ、見事です。どういう展開かは、まあ、秘密にしておきましょう。 ところで、僕としては、ネットでいろいろと話題になっている吉岡秀隆ミスキャスト説について、一言申し上げたいと思います。 まず、大前提として、この板倉という青年は、徴兵検査で丙種(甲・乙・丙の丙です。)ということになり、戦時中であるにもかかわらずに徴兵されていない存在だということです。つまり、いかにも女性にもてそうな健康的なイケメンはすべて徴兵されて内地には残っていないということなのです。 だから、この板倉という青年はどう考えても兵隊としては不向きな、軟弱な青年でなければならないということで、しかも、どう考えても、微妙な表情など、難しい演技が不可欠なんですよ。 結局、この板倉という青年を演じられる若い俳優は、彼ぐらいしかいないということですよ、今の日本の映画界には。確かに、実年齢的に(実は、今年45歳)無理があると言えばそうなんですが、はっきり言って、本当に他にいないということですね。あまりにもブサイクな男だと物語が破綻してしまいますし、ジャニーズ系の子たちじゃあ、どう見ても丙種じゃないからね。 だから、批判されるべきなのは、吉岡秀隆を板倉役にキャストしたスタッフではなく、この役を見事に演じられる俳優が彼ぐらいしかいない、今の日本映画界の現状ではないでしょうか。 ![]() ということで、実は137分というちょっと長めの映画ですが、まったく退屈せず、のめりこんで見入ってしまった名作を紹介しました。 あっ、そうでした。松たか子さんの妖艶な奥様もいいですが、黒木華さんの控えめだけど実は芯の強そうな女中の演技が最高です。彼女の地味目な容貌(ごめんね。)も、役にぴったりです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.08.25 17:54:38
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