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カテゴリ:ドラマ
監督 エルネスト・ディアス=エスピノーサ 主演 マルコ・ザロール
ネットのおすすめ動画で観ました。なんとなくヒーローものなんだなと思い、予備知識ゼロで、まあ、暇つぶしになればという感じで観始めたんですが、中身の意外な重さに、思わず見入ってしまいました。
クラブの用心棒マルコ(マルコ・ザロール)は、強盗に襲われ、両親を惨殺された過去をもつ男でした。彼の唯一の家族、弟のチトはそのショックで心を閉ざし、現在入院療養中です。弟の治療費と生活費を稼ぐため、クラブのオーナーからの嫌がらせに耐えながら、毎日1人黙々とトレーニングを続けるマルコでした。 ある日、マルコは、日課のジョギング中に強盗団が押し入る現場に遭遇します。とっさに強盗のマスクを奪って顔を覆い、強盗団を撃退し、襲われていた女性を救い、そのまま顔を見せずにその場を立ち去ったのです。 次の日、ワイドショーでは『覆面ヒーロー、強盗を退治!』のニュースで大騒ぎでした。マルコが助けた女性は人気美人TVレポーター、マリアだったのです。 チトもニュースを見て大喜びし、覆面ヒーローのマネをして少しずつ心を開いていきます。その様子を見たマルコは、弟のために一大決断をするのです。 お手製の覆面をかぶり、“ミラージュマン”と名乗り、街に巣食う悪者たちと戦うことを決意するのです。
強盗に両親を殺され、精神を病んでしまった弟を抱えたマルコは、クラブの用心棒の仕事の傍ら、自宅で自作の器具を使い、黙々と体を鍛える日々を送っていました。そして、偶然強盗団を撃退し、そのニュース(それが兄だとはわかってはいませんが、)に弟が喜び、回復の兆しが見えてきたことから、正義のヒーローとして戦うことを志します。 しかし、彼は世紀の大富豪や、巨大軍事企業のオーナーではなく、手首から糸が出たり、傷がすぐに治ったり、金属を自在に操ったり、といった超能力があるわけでもありません。ただ単に独学で体を鍛えているだけのごく普通の一般人です。というか、どっちかというと、日々の生活にいっぱいいっぱいの、はっきり言って貧乏人です。 そして、その戦う相手も、超能力や超兵器を駆使したり、常識はずれの超犯罪を行うぶっちぎれた極悪人ではなく、普通の強盗やひったくり犯です。 だから、この物語は、ほかのヒーローもののような夢物語ではなく、非常に生活感にあふれ、地に足がついたリアルな物語なのです。 マルコは、へたくそな絵で、覆面をデザインし、ホームセンターで材料を探し、情報を集めるのに苦労(なんとあろうことかネットに電話番号を公開し、困った人からの情報を求めます。なんという無謀なことをと思ったのは私だけでしょうか。)し、上から目線で手助けしようとする金持ち女に騙されて落ち込んだりします。 しかし、彼がヒーローとして戦う目的は、金を儲けたいとか、有名になってちやほやされたいとか、女にもてたいとか、とってつけたような正義感に目覚めたとか、そんなものではありません。彼は、心を病んでしまっている弟に元気になってもらいたい、ただそれだけなのです。
ということで、そのリアル感、ドラマ感に、思わず感動してしまう、全く無名なチリ映画に、思わず出会ってしまった、というお話でした。 ところで、マルコ役のマルコ・ザロールという人、もちろんチリ人の俳優さんなので全く知らなかったわけですが、格闘家としても活躍している、チリでは有名なアクションスターのようですね。彼の身のこなし、なかなか半端ねえですよ。すごいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.12.23 20:45:11
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