テーマ:趣味の英語(406)
カテゴリ:I LOVE NEW YORK
セントラルパーク(Central Park)はマンハッタン島の真ん中にある長方形の大きな公園。街中に大きな公園があるのはロンドンのケンジントン公園(Kengington Gardens)と池をはさんで地続きのハイドパーク(Hyde Park)を思い出させるけれど、地図を見た時の公園の占める割合はセントラルパークの方がずっと大きく感じる。もともとは湿地帯でおおよそ150年前に土が運ばれ、すべて植樹によって作られた人造公園だというので、ケンジントン公園+ハイドパークのようにほぼ平らだと思っていたら、おっとどっこい、起伏に富んだ造りで歩道は迷路のよう。
セントラルパークを東西に横切る地下鉄はないので、公園の西にあるホテルから真東にあるメトロポリタン美術館に行くには横断道路をイエローキャブで運んでもらうか、徒歩かである。地図上はゆっくり歩いても20分もかからない距離なので散歩がてらに歩いて行くことにして、開館30分前に出た。アメリカ自然史博物館の北側81丁目(81st Street)から歩道を入ると、まず自動車と自転車と人のレーンがそれぞれ白線で区切られた周遊道路を横切った。人のレーンはジョギング用でベビーカーを片手で押して走るママさんに驚いた。朝はジョギングする人が多い。 そういえば前日ホテルのエレベーターでジョギング姿の老人と同乗した。最後に降りようとする娘の肩をやさしく叩いて先に出るよう促した紳士で、娘と「本当はお金持ちなんだけど、セントラルパークでジョギングしたいからミッドタウンの大きなホテルではなくここに泊まっているのかも」と想像しあった。 植樹とは言え、セントラルパークの木々は豊かで、その後小さな木造の建物を見つけた。スェーデン小屋(Swedish Cottage)と呼ばれるものだった。シェイクスピア庭園(Shakespeare Garden)と記された辺りから起伏が出てきて、木を登るリスを見つけた。ケンジントン公園で見かけたリスのようにすばしこくってうまく写真が撮れなかった。しばらく行くとベルベデーレ城(Belvedere Castle)に出た。中世ヨーロッパ風の石を積み重ねたお城。中には入れなかった。セントラルパークの中には趣向を凝らした建造物が多い。ベルベデーレ城はちょうど東西の中間辺り、もっと散歩を楽しみたいけれど、ここらで堅実に横断道路に出ようと思い、別れ道で南に行く方を選んだ。これが…。 こんもりとした林に出たが、平らなところに大きなリスが身じろぎせずに座っていた。私に見つめられても動じない。ふさふさと立ったしっぽがかわいい! 小声で娘に告げると、こっちにもいるよと返事。二匹ならチップとデールだねと微笑んだ。少し行くとそこにもリスがいた。さらに進むと次々とふさふさ尻尾のリスを見つけることができた。写真も撮れて満足したが目の前に現れたのは横断道路ではなく池で、あれっと思った。私の地図では池は横断道路を越して南側なのに。あれれと思って道にたたずみ地図を広げようとしたら、ジョギング姿の年配の男性が寄ってきた。道を教えてくれるのかと思ったら迷子になったから教えて欲しいと。 こうなっては私たちも迷子になったことを認めざるをえない。その男性は諦めて去り、私たちは池沿いに歩きながら携帯電話のGPSでも使おうかと思ったその時、先ほどの男性が若い女性をつれて向こうから歩いてきた。そして案内してくれる人を見つけてきたよと私たちに紹介してくれた。メトロポリタン美術館に行きたいのですと言ったら、ちょっと思案してあなたたちも付いて来なさいと言ってくれたのでほっとした。小さなバックパックを背負ったキャリアウーマン風で、時折池の写真を撮りながら、先ほどの周遊道路の続きと思われる道路まで連れて行ってくれた。まず男性に説明して別れ、その後私たちにメトロポリタンへの道順を教えて、持って行きなさいと公園の詳しい地図をくれた。彼女の親切に感謝して、ちょうど持ち合わせていた小さな和菓子の缶を差し出すとためらっていたけれど、地図と交換ですと言うと、かわいい包装紙ねと喜んで受取ってくれた。末富のこの鮮やかな水色地に文様的な花の絵が散らされた包装紙は私もお気に入りで、彼女と心が通じたようで嬉しかった。 彼女にグレートローン(Great lawn)に出るよう言われたので、指示されたように周遊道路を少し進んで、東の歩道に入った。その時に出会ったジョギング中の女性に道を確かめたが、やはり親切に応対してくれた。慣れぬ旅先での親切は格別に嬉しい。特に公園は目印に乏しいので助かる。今度奈良公園で道に迷っている人を見つけたら、分かりやすいところまで案内してあげようと思う。 グレートローンはロープで囲われた平らな敷地でその朝は中に誰もいなかった。よく摩天楼に背に日光浴する写真を見るが、それはここを撮影したものだ。グレートローンに沿って少し歩き、貰った地図で確かめ東にそれる歩道を選び、地下道をくぐって出るとそこにはもうメトロポリタン美術館の巨大な建物が見えた。開館時間はとっくに過ぎていたが、悪くはない気分だった。 【追記】 Belvedere Castle (ベルベデーレ城) belvedreは「見晴らしのよいあずまや、見晴台、(屋上や丘にある)展望台」の意味。「美しい眺め」を意味するイタリア語に由来する。ウィーンにその名もベルベデーレ宮殿(現在は美術館)がある。ヴァチカン美術館のベルベデーレも有名らしい。そういえばヴァチカン美術館の中庭に階段が両脇に設けられ一段高くなったところがあり、中央の踊り場の欄干に大きな松ぼっくりの飾り物があって目立っていたけれど、見晴台だったのかしら? もらったセントラルパークの地図によると Belvedere Castle was compleated in 1872 as a viewing pavilion overlooking the lower Croton Reservoir. In 1937, the reservoir was filled in to become the Great Lawn. その名の通りベルベデーレ城はため池を眺めるために建てられ、そのため池が埋め立てられてグレートローンになったのですね。この地図は2003年にセントラルパーク150周年を記念して発行された一枚ものですが、すっかりお宝になりました。 下の写真は逆にグレートローンの前からベルベデーレを望んだものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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旅先での触れ合いって素敵ですね。
お嬢さんとの二人旅(ですよね?)とても良い思い出になったことでしょう。とても羨ましいです。 知らないところにいったら私もなるべく自分達で動こう・・って決めてますが先立つ語学力があればと何度も思いました。アルバムも楽しみにしていますね。 (October 2, 2008 08:32:16 AM)
コメントありがとうございます。
そうです、娘と二人旅。 普段は仲良し母娘と言うわけではないけれど、こう言う環境では結束します。私はリスニングが苦手、娘は語彙が貧弱、それで娘が聞き取り私が喋ってかろうじて通じると言った状態です。私も語学力があればと思いますが、失敗も経験だと思って英語圏は個人旅行するようにしています。これも失敗から生まれた出会いでですが、本当にいい思い出になりました。 アップした写真は娘が携帯で撮ってくれたものです。横に長いなと思ったっけど、雰囲気が出ているので気に入っています。(←親バカ) (October 3, 2008 05:49:41 AM)
セントラルパークの中にはいろいろ建物があることは知っていましたが、ゆっくり廻ったこともないので、お城があるとは思いもよりませんでした。
しかもベルベデーレ城と言う名にはびっくり、、、。 こちらにいるリスは、何という種類なのでしょうね? 広い広い大学の構内にもリスがいて、かわいいなと思う反面、かまれたら怖いとも思って、触れませんでした。 海外でお世話になった方にちょっとしたお礼をしたいことがありますが、 和菓子の可愛らしい包みなら喜ばれますね。 そういう幸運な機会があったら、心がけておきます。参考になりました。 京都の義姉夫婦から末富のお菓子が到来することがあるので、包装紙はしっかりとってあります。 旅の楽しさは、人とのふれ合いに依るところが大きいですね。 幸福を分けて頂いて、ありがとうございます。 (October 3, 2008 08:34:32 AM)
伝家さんに、セージグリーンさんも、いらっしゃっててうれしいです。
くるみもちさんのブログもいつも温かで幸福な気分になります。 お嬢さんとのオリジナル企画旅行、写真も本当にいいですね! (October 3, 2008 11:47:37 AM)
幸福を感じていただいてありがとうございます。セージグリーンさんはささやかなものからもエッセンスを感じ取ることが出来る方でしたね。
それに、よくご存知ですね。本文にベルベデーレ城について追記しました。ヴァチカンのベルベデーレ、英和辞典には「ヴァチカン宮殿の絵画館」とありましたが、裏付けはとれませんでした。「ベルベデーレのトルソ」と言うのはありましたが。それで中庭にあった、下が噴水になっている舞台のようなところのことかと思ったのですがいかがでしょう? リスのことは地図の説明文にも載っておらず、種類が分かりません。ただただ尻尾がふさふさ大きかったのです。ケンジントン公園のリスはシマリスのように小さかったけれど、セントラルパークのリスはかなり大きい種類だと思います。リスを見つけられただけで嬉しくて触ろうとは思いませんでした。やはりペットではなく自然のものですから。でも人を恐れない振る舞いは、奈良公園の鹿のようでもあります。 義姉ご夫婦は、セージグリーンさんが喜ぶようにセージグリーンさんのお目にかなうお菓子を選んで贈ってくださるのでしょう。扇子が描かれた共の水色の手提げ袋もついつい溜めてしまいますね。(笑) (October 5, 2008 07:31:26 AM)
いつも気にかけていただいてありがとうございます。お蔭でお友達が訪ねてくださって私も喜んでいます。
>くるみもちさんのブログもいつも温かで幸福な気分になります。 まぁ、そんなふうにおっしゃっていただけるとは! とても嬉しいです。ブログを更新する励みになります。相変わらずのスローペースですが、どうぞお付き合いください。 (October 5, 2008 07:33:04 AM)
ようこそお出でくださいました。
お気に入り登録ありがとうございます。 英語の勉強のために始めたブログですが、楽しく続けることが一番で脱線、道草ばかりしています。どうぞよろしく。(^_-) (October 7, 2008 05:07:56 AM)
>>カサブランカさん、
大変ご無沙汰しておりました。 お心にかけて頂き、ありがとうございます。 ご子息もめでたく進学され、海外にもいらっしゃったりで、大学生活を謳歌されていらっしゃるのですね。 おくればせながらおめでとうございます。 >>くるみもちさん、 私は真っ先にグスタフ・クリムトやエゴン・シーレのある絵画館で有名な、ウィーンのベルベデーレ宮を思い浮かべましたが、確かにチッタ・デル・ヴァティカーノにも同じ名前が出てきますね。 思えば、ベルベデーレとは「美しい景色」くらいの意味でしょうから、あちらこちらにあってもおかしくないのですね。 (October 8, 2008 03:56:57 PM)
セージグリーンさん
言葉足らずで、反省しております。 >ご子息もめでたく進学され、海外にもいらっしゃったりで、大学生活を謳歌されていらっしゃるのですね。 >おくればせながらおめでとうございます。 ありがとうございます。 箱入り息子を卒業して、一挙に武者修行かもしれませんね。 (October 8, 2008 08:40:54 PM)
お忙しいのにお答えいただいてありがとうございます。
>私は真っ先にグスタフ・クリムトやエゴン・シーレのある絵画館で有名な、ウィーンのベルベデーレ宮を思い浮かべました… なるほど、成る程。知りたがり屋の私にはセージグリーンさんの博識を伺うのが本当に楽しいです。 >思えば、ベルベデーレとは「美しい景色」くらいの意味でしょうから、あちらこちらにあってもおかしくないのですね。 そうですよね。結論はそういうことになります。 お蔭でもうbelvedereは忘れません。 (October 10, 2008 07:41:47 AM)
対応が遅れがちな私をサポートしてくださってありがとうございます。ブログの更新が滞っていますがこの週末には写真と共にアップするのでよろしくお願いします。
>箱入り息子を卒業して、一挙に武者修行かもしれませんね。 確かに。よくぞ送り出したと思います。でも見事な若武者振りですよ。(^_-) (↑やっと読み終えた「のぼうの城」の影響大) (October 10, 2008 07:46:48 AM) |