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伊奈利短歌 ツイ短歌 小説…伏見稲荷大社の物語 小説西寺物語 小説盆栽物語 小説鯖街道 小説老人と性 音川伊奈利

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2007年06月25日
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カテゴリ:ブログ小説
★~自己破産・衝撃の告白…2話  作/音川さくら

 
 「美雪、これからの時代はカード社会なの、ハワイに旅行した友人がそのホテルでもう一泊泊まろうと思ってフロントに言うと、カードですか?現金ですか?と聞かれたので現金と答えると即座に宿泊を拒否されたの、日本では考えられないけど…でも日本でも一流の店ではもうそうなっていると課長が言っていたわ」
「でも私にそんなカードが…」
「なに言っているの、天下のフラワーの正社員よ、ほらこうして会社もゴム印を押して社員に勧めているでしょう」
 理恵もバックからクレジットカードを出して、
「美雪、ほらいつものスナックの支払いはいつもこれよ!これだと一回払いだと金利も手数料も一円も掛からないし、それにポイントを集めれば豪華な景品も用意されているから絶対お得よ、美雪」
「こんなものでお金を借りられるの?」
「そう、美雪が今日これを書いて駅前のポストに入れると、簡単な審査ですぐ美雪の銀行口座に振り込まれるから誰にも分からないし、それにボーナスまで一ヶ月で十万円借りても利息はたった千円弱よ、だからこれって本当に便利…フラワーに勤めている信用ってたいしたものよ、美雪」
 美雪は少し心配ながらも、二人の言うがままこの公園のベンチで必要事項を書いて駅前のポストに入れた。駅には国内海外の旅行パンフが色あざやかに置かれている。その横にはJRクレジットの案内パンフレットが置かれてて、あや子と理恵はそれを一枚ずつカバンに入れてそれぞれの職場に戻っていった。
 
 四日ほど経った夜、美雪は質素な食事をしていた。美雪の給料は手取りで約十四万円ほどで、家賃と光熱費で四万円、実家の母には毎月三万円を送っている。残りの七
万円でフラワーの社員らしいファッションもしなければならないからつい夕食もコンビニの弁当で安くすましていた。その食事が終わったと同時に電話が鳴った。声の主は女性で馬鹿丁寧な口調で「奥本美雪」さまですかと聞いてきた。
「はい、私が奥本美雪です」
「ありがとうございます。私はAAFクレジットの前川と申します。ハッピーレディスカードのお申し込みの確認をいたしたいのですが、今よろしいですか?」
「はい、よろしくお願いいたします」と言うと前川は、理恵とあや子に半強制的に書かされた申し込みの内容を一方的にチェックして、最後に美雪の生年月日と干支を聞いた上で、
「はい、お申し込みの手続きは終わりました。それでこのAAFのハッピーレディスカードは、キャッシングが二十万円、ショッピングが三十万円以内。キャッシングは二十万円以内なら当社AAFと契約している銀行のATMで何回でも繰り返しご利用いただけます。返済はリポビリング方式で毎月二十七日に一万円を指定の銀行から引き落とします。奥本様これでよろしいでしょうか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
「それで奥本様、もし急にお金が入用でしたら、二十万円以内なら明日でもすぐにお金を振り込みますが、いかがでしょう?」
「いえ…」と言いながら美雪は旅行の八万円を思い出していた。
「いえ…それで…そのカードはいつごろ郵送されます?」
「そうですね~約一週間ほどで…」
「それなら八万円、いや十五万円ほどお願いします」
「はい、わかりました。明日午後一時以後に振込みさせていただきます、ありがとうございました」
 
 美雪は、明日の金曜日にはまたあの二人からスナックを誘われるだろう、いつもお世話になっているから今回はご馳走をしょうと思いつい十五万円の融資を申し込んで
いた。

 
  「連帯保証」

 金曜日の朝、美雪はいつもより早く目が覚めていた。珍しく朝シャワーを浴びて髪を乾かしながら今晩の祇園行きの服を考えていた。昼休みもルンルンの気分で理恵とあや子に、
「ねぇ、夜、祇園に行くでしょう!今日は私がご馳走するから」と笑いながら二人の返事を待ったが、二人ともいつもの元気がない。
「どうしたの?理恵もあや子も…」
「ううん、私ではないんだけど…」
「それじゃ~あや子、何があったの?」
「実は、ほら美雪も知っていると思うけど私の彼氏の高志、その高志が交通事故を起こしたの」
「えっ、それで?」
「それが三日ほど前の深夜二時ごろ、高志と京都南インターのラブホテルに行ったの、その帰りに信号待ちのベンツにチョコンと当たったの、それで弁償しますからと言ったら百万円くれと言われて…」
「そんな馬鹿な~チョコンでしょう?」
「それが~高志酒を飲んでいてそのヤクザが百万円で示談しなかったら警察に行くと…」
「でも、飲酒運転でも百万円の罰金はないわ」
「それが、高志はトラックの運転手でしょう。免停も困るけど~会社にばれたら懲戒解雇になって失業保険もでないからとそのヤクザに念書を書いてしまったの」
「そうなの~困ったわね」
「それで高志が言うのには、月々三十万ほど給料があり月に十万円は必ず返すからと私に泣きついているの、私も少しは責任があると…」
「あや子、そのお金あるの?」
「ないけど貸してくれる人がいるの」
「それって、誰?」
「ほらいつも行っているスナックのママさんの弟さんが貸してくれるって」
「そう、良かった」
「それが美雪、高志のようなトラックの運転手には貸せない、フラワーのような一流企業の社員の保障なら貸せると言われて、それで理恵にたのんだけど後もう一人いるの…」
「そう、それで高志さん本当にお金返せるの?」
「うん、あいつは不良だけど仕事だけは真面目だから…」
「わかったあや子、私でよかったら」
「ありがとう、美雪恩にきるし~」
「それでいつなの?」
「それが今日なの、あのスナックに弟さんがお金を持ってきてくれるの」

 美雪ら三人はJR西大路駅前の居酒屋で軽く食事をしてタクシーの運転手に祇園までと告げた。車内ではあや子を励まそうと美雪が、
「今日ね…AAFクレジットから十万円の入金があったの、それで一週間ほどでカードが届くって、これで私も一人前の社会人になったよ、理恵にあや子!」 

                             つづく

★~新連載のこの小説はHシーンなどもあるが、基本的には社会派小説になっています。多重債務者は300万人とも…さらにその予備軍は1000万人とも…若い女性なら誰でも陥るこのお話を広めていただきたいと書きました。

★~ケータイのカメラで撮った写真掲示板は、
http://blue.ap.teacup.com/inari/

★~昨今、フリーペーパーという無料の新聞や雑誌が多く発行されています。これも一つの作品の発表の場と考えています。もし、よろしければ私のつたない作品(小説・コラム・エッセイ)等々を原稿料無料で掲載させていただければ幸いです。尚、ご連絡はメールにてお願いします。(音川さくら)
kyotoinari@ex.biwa.ne.jp





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最終更新日  2007年06月25日 08時54分47秒
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