テーマ:今日も能楽堂へ~!(17)
カテゴリ:能・狂言
名古屋能楽堂定例公演 3月12日 土
能「藤戸」金剛流 前シテ漁師の母/後シテ漁師の亡霊 豊島三千春 ワキ 佐々木盛綱 高安勝久 ワキツレ 従者 椙元正樹 アイ 下人 松田高義 笛 鹿取希世 小鼓 柳原冨司忠 大鼓 河村総一郎 太鼓 鬼頭義命 時は平家没落の直後、藤戸は現在の倉敷あたり。源氏方の佐々木三郎盛綱は藤戸の合戦で真っ先に馬で海を渡り、先陣の功を為したため、恩賞として児島を領地として賜った。 意気揚揚と新領地に足を踏み入れた盛綱は「訴訟あらんずる者は申し出よ」とフレを出す。すると一人の老女が現れて「二十歳あまりの我が子があなた様に殺された、息子を返せ~!」と号泣するのであった。自分の行いを反省した盛綱は、漁夫の母に当時のいきさつを語ってきかせる。 馬で渡ることのできる浅瀬を漁夫から教えてもらったが、口封じのためその漁夫を殺して、海に沈めたのであった。漁夫のおかげで先陣の功が得られたのに。盛綱は自分の業を悔い、妻子には扶持を与え、漁夫の弔いをする。明け方の水上に漁夫の亡霊が現れて、自分が殺されたありさまを再現する。 「・・・氷の如くなる刀を抜いて、胸のあたりを刺し通し、刺し通さるれば、肝、魂も消え消えとなるところを、そのまま海に押し入れられて、千尋の底に沈みしに・・・」とのところは詩章にそった型で具体的に再現。「なんで殺されなきゃいかんのだ・・。」権力者に斬り捨てられる弱者(卑しい者たち)の哀しみが切々と表現される。若い漁夫だったのに亡霊になってしまうと「痩男」の面で痛々しい。最後は成仏する、と救いはあるのだが・・。でもほんとうは死んでも死にきれない、恨みは残ると思う。何とも悲しい話。すっきりはしないわ。あ、アイで寝てしまいました・・松田先生、ごめんなさい~(T_T)。 めったに見られない金剛流。いつもの観世流とはどっか違うはずなんだけど、私にはわからない・・・(-_-;)。師匠(はぁと)は「三千春さんなら見たいなぁ」とおしゃったんだけど。明日訊いてみよっと。 「能は概ねオカルトですな」(by憲ちゃん)藤戸もそのオカルトですが! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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