2012/01/07(土)00:28
保科洋先生のオーケストラ指導
今日は保科洋先生のお話をたっぷりお聞きすることができました。子どもたちへの指導を見せていただいた後、
夜ご飯を食べながらの懇親会もご一緒させていただいて、
音楽の奥深さ・音の繊細さに「ほおっ」とため息が出るほど
深く気づかされた1日でした。保科洋先生は、僕の大好きな吹奏楽曲「風紋」の作曲者。
兵庫教育大学などで学生の教育・指導に長年あたられている方です。作曲や指揮のときに、「人を育てる」という意識を常に持っておられたことに
まずおどろきました。「自作自演はあまり好きじゃない。
作曲者が思っていたよりももっと素晴らしい演奏をされる場合もある。
作曲した曲を指揮すると、表現してほしい思いを込められるが、
同時にそれが限界でもある。 作った曲は、作曲者の手を離れて、育っていくもの」この話を聞いて、僕のほうから、
「作曲するときにも、人を育てるということを念頭に置いて
作曲されているのですか」
と質問させていただきました。その答え。「コンクール課題曲などの場合はそう。 『風紋』が人気があるのは、どのパートも自分の見せ場があるから。
どのパートも演奏して楽しいように、見せ場があるように考えて作ってある」ははあ~なるほど~と思えることばかりでした。僕は今まで、「作曲者が、最もよく曲の表現をすることができる」
と思っていました。
そうではない、ということに、頭をガンとなぐられたような
衝撃を覚えました。 子どもたちへの指導場面では、演奏の基礎となる音楽理論などを
かなり分かりやすいように指導していただきました。
「ベースとなる知識や理論も大事だな」と改めて気づかされました。その概要は以下のようなものです。=============================
・≪音の3要素≫ 1.高いか低いか 2.大きいか小さいか 3.音色 楽譜に書いてあるのは1と2だけ。
これに、「長いか短いか」が加わる。 ・≪音のエネルギー≫ 8分音符で ♪♪♪♪♪♪♪♪ と演奏してみよう。 これが ? ♪♪♪♪♪♪ となると、
4分音符になった分、エネルギーが大きくなる。 飛び石をジャンプして飛んでいると想像してみよう。 4分音符のところは、離れている石だから、自然と大きなジャンプになる。 ※音の長さと音の大きさは関係がある!・「演奏するフレーズの中で、
どこが頂上だと思いますか?」 基本的な理解としては、高い音のほうがエネルギーがたくさんいる。
草笛でもリコーダーでも、
高い音を出そうと思ったら、強く吹かないといけない。・同じリズムの繰り返しで音の高さだけが変わるとき、
どこが「頂上」だと思うか? それぞれの解釈によって、いろいろな演奏は考えられる。 ただ、「自分たちはここを頂上にして演奏する」というのを
みんなで決めて、グループとしてはそろえておくのが大事。・おススメの練習方法 ★耳を育てる ・演奏者自身の耳を育てることで、自分で気づくようにする。 ○1つの曲の中の一部分だけを徹底的に練習する。 → その後、1曲を通して練習する。
すると、練習したところとそうでないところの差が歴然とする。
それが演奏者本人に分かれば、あとは指導しなくてもうまくなる。・倍音を聴く ド → ド → ソ → ド → ミ → ソ 低音楽器の音の倍音は比較的聴きやすい。
これを聴いて、その倍音に溶け込ませるように音を出す。 6つ目の倍音までで、 ドは3回、ミは1回、ソは2回でてくる。 これが聞いて気持ちよい音のバランス。 だから、6人の奏者がいたとして、
ドを3人、ミを1人、ソを2人で演奏すると、
和音の響きが倍音の響きに近くなり、気持ちよい響きになる。・(非常に微妙なチューニングの話) 旋律の音と和声の音では厳密には音程がちがう。 旋律の導音は シ → ド と行くときには シが高めのほうが自然
逆に ド → シ → ラ と下がる時は、 シが低めの方が自然 和音の中のシ(例えばソシレの真ん中のシ)なのか、
旋律の中のシなのか で その音のピッチが変わってくる。最後のは懇親会の最後にお聞きできた裏話的なものです。(^^;)
学生の演奏よりも、プロの演奏に関わってくる、かなり専門的なお話でした。=============================「自分たち自身でうまくなれるように」という指導観には
とても共感をおぼえました。学校の授業でも同じだと思います。また、音楽理論の中では、
僕は今まで和音のバランスというものにほとんど注意を払っていませんでした。これからは豊かな響きをめざして、和音の音量バランスに気をつけて
音を聴いたり、音を出したりしようと思います。 実際の音で確かめてみたかったので、
楽譜作成ソフトでちょちょっと作って鳴らしてみました。 ♪和音の中の音量バランス比較(ドミソの和音) 1つ目の音は、ドミソを全部同じ音量で鳴らしたもの。
2つ目は、音量バランスをちょっと変えてみたものです。 和音の中の音の音量を変えたほうが耳触りがよくなるのがわかります。
(音データの作成が雑なのでどちらもいい音に聞こえないかもしれませんが)吹奏楽曲「風紋」は、その後オーケストラ版に編曲されています。
その演奏がYouTubeで聴ける、と教えてもらいました。
「保科アカデミー」による演奏です。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。
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