司法試験驚異の1000時間合格法
勉強の合間に表題の本を読んでみました。いったいどんなことが書いてあるんだろうと思いましたが、極めてまともな本でした。著者は、東大、国家公務員上級、司法試験にそれぞれ短期間で1発合格しています。いわく、高校時代はあまり勉強してなくて成績はよくなかったそうです。すごいと思うのは、どの受験においても予備校等に通うことなく独学で合格したという点です。著者いわく、すべての試験においてはコツがあり、そのコツさえ掴めば誰でもどんな試験でも恐くない筈だとしています。で、そのコツとは、過去問から基本にフィードバックすること、つまり、過去問から出題者の意図を分析し、そこから基本に戻ってその基本事項を徹底的に勉強する、ということだそうです。当たり前といえば当たり前ですが、このことは弁理士試験にも当てはまるように思います。とにかく過去問を繰り返して解く。ここまではだれでもやります。(といって受験経験の無い私は全くエラそうなことは言えませんが。)で、過去問をやりっぱなしにするのではなく、過去問から出題の本質をえぐり出し、その本質を中心にして基本事項(条文、重要論点)を徹底的に理解、整理する、ということになるんでしょうか。ここで、ちょっと出題者の立場に立ったつもりで考えてみました。もし、来年の弁理士試験の問題作成を依頼されたとしたらどうします?(そんなこと絶対に無いかもしれませんが・・。)おそらくほぼ全員が過去問題の検討をすると思います。つまり、過去問においてどんなことが問われているか。どういうレベルで問われているか、を把握することは問題作成者にとって必須の作業になると思われます。そして、次に新たな問題の作成となりますが、このとき、できるだけ過去問をアレンジするか、少なくとも過去問をヒントにして新作問題を作成できないか、ということを検討していくと思われます。特に過去問において繰り返し問われていることは重要テーマであり、それらの問題をアレンジして出題できれば、問題作成者の負担がかなり減ります。それに、なんといっても、変な問題を出題してしまう危険性が少なく、関係者からも良質な問題だという評価を得ることもできます。試験出題者も人の子。できるだけ、効率的に、良質でかつ受験生のレベルに合った出題をしたい筈です。出題の依頼がくる程の大御所の先生になると、それでなくても日々の実務に忙しい筈で、弁理士試験問題の作成ごときものは効率的にさっさと片づけてしまいたい、と思っているかもしれません。特に、事実上の試験問題作成担当者は公平のため短期間で入れ替わるであろうと推測するとなおさらです。ただ、最近は、新作問題作成のノルマがあるらしく、すべての問題がこれに当てはまるわけではないので、全くの新作問題に対してはやはり別途対策が必要なんでしょうけど。具体的には、過去問を応用する際の検討事項として、要件を変更してみる、適用制度を変更してみる、法域を変更してみる、条約と関連づけて問うてみる、判例を持ち出してみる(特に短答)、等いくつかあると思います。ならば、これらの作業を受験生のほうで検討しておけば効率的な勉強になるのではないか?ということをこの本を読んで考えさせてくれました。ちなみに、1000時間の根拠は、司法試験の基礎講座と論文答練の合計時間+αだそうです。代々木の基礎講座と論文答練の合計時間を調べたら120時間弱でした。ならば、 150時間の勉強で弁理士試験に1発合格!というタイトルの本を出版すれば、インパクトがあって売れるかもしれません(笑)。