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Lake Moraine ~Book Cafe~

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2010.12.05
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カテゴリ:ノンフィクション

私がこのフィクションについて知ったのは
新聞の書評欄: (引用)

~少年の名は、ビクトル。
 日本人の父と亡命ロシア人の母を持ち」
 <追いつめられても途方に暮れない>コサックの血をひく。
 後に、ビクトル古賀と名のった彼は、柔道とレスリングを融合
 した格闘技・サンボの世界チャンピオンとなり、あの山下泰裕
 も指導したという。
  格闘技の帝王と呼ばれた彼が、
「人生でいちばん輝いていたのは十歳だった」と語る
              満州からの引き上げ単独行~

 ハルビン~新京~奉天~錦州 一千キロの荒野の道のりを
 10歳の子どもがたった独りで歩き通した実話

 満州引き揚げとなると 聞きかじる程度でも
 その凄惨で死にものぐるいの帰還行を
 思い浮かべますが
 彼が語る「人生でいちばん輝いていたのは十歳だった」という
 言葉に強く惹かれその書評を切り抜いてしばらく
 もっていましたが
  久々に図書館蔵書で検索をかけると
 (今年の春はまだ購入されてませんでした)
 ヒットしたのでさっそく借りてきました。

 彼、10歳のビクトルはロシア人と日本人との
 混血ということで引き揚げ列車から引きずり
 おろされ たった独りで歩き続けるはめに
 陥りますが 苦難を乗り越えるため
 
 日本人の毛皮商とコサックの末裔の娘の間に
 生まれコサックとして学び、培った知恵を
 酷使して ひたすら歩き、食べ物をみつけ
 安全な場所を嗅ぎ分けて野宿し、
 人の恵みをうけ、時に暴徒による日本人引揚者の
 虐殺の現場を目にしたり
 死体から身につける物をはぎとり
 目的地を目指してすすんでいきます。

しかしビクトル古賀氏が語るのは
 決して陰惨なばかりの物語ではなく
 どんな窮地におちいっても生き抜いて
 いく知恵をさずけられた小さなコサックの
 生き様の力強さと痛快さ 
 
 朝 野宿から目覚めて生きていることに
 「神様ありがとう」と深く感謝し
 死者から靴や持ち物をはぎとるときは
 「これで日本に帰らせていただきます。
    どうぞ許して下さい」と
必ず十字をきって深く謝罪をし、
歩をすすめる生き抜き、
生かされることに対する深い感謝を
 忘れない 生き生きとしたたくましさに
               輝いています。

 また同時に
 ソ連軍のハルビン進行まえの 満州国の様子
 ロシア革命に翻弄されたコサック民族が
 その騎馬隊の辣腕振りを買われ
 満州国において ソ蓮軍侵入時の盾として
 極秘に部隊を組んでいたことなど
 当時の様子を鮮やかに描かれていることも
 大変興味深いです。


たった独りの引き揚げ隊

たった独りの引き揚げ隊

価格:1,680円(税込、送料別)



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
一九四五年、満州。少年はたった独りで死と隣り合わせの曠野へ踏み出した!四一連戦すべて一本勝ち。格闘技で生ける伝説となり、山下泰裕を指導するなど、日本柔道界・アマレス界にも大きな影響を与えた男・ビクトル古賀。コサックの血を引く男は「俺が人生でいちばん輝いていたのは一〇歳だった」という。個人史と昭和史、そしてコサックの時代史が重なる最後の男が命がけで運んだ、満州の失われた物語。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章/第1章 ハイラル最後の日/第2章 コサック最後の少年/第3章 ハルビンの孤独な日々/第4章 追い払われて/第5章 満州一〇〇〇キロ、独り歩き/終章 「古賀正一」から「ビクトル古賀」へ/番外編 コサックの流転、ラーパルジン一族の物語





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最終更新日  2010.12.06 02:05:38
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