今までのあらすじ
みどりちゃんはいなかから東京にひっこししたんだよ。ユニークなやりかたでね。
くるみちゃんは逆に、東京からいなかにひっこしたんだよ。これまたおもしろい方法でさ。
ふたりはネットで知りあって、高千穂に神話の時代をしのびに行ったんだ。
そこでふたりは、不思議体験をしている ぶっち と出会ったんだよ。
で、3人はネットのテレビ電話システムで、おしゃべりするようになったんだ。
「つまり、人はある体験をしたら、将来必ずそれと正反対の体験をすることになるってことなんだよ」とぶっち。
「怖くないっちゃ、怖くないっちゃ」
って大げさに言って、くるみちゃんはジュースを飲んだよ。
「次いくよいくよー。それって、他人に為したとおりを将来必ず自分が受ける、今の自分とは正反対に将来必ずなる、ってことなんだ」
とぶっちは声優のように抑揚をつけて派手に言った。
「そいで、転生があるから、転生を通して、そうなっていくってことなの?」
って真剣な表情になってみどりちゃんが訊いたよ。
「そうなんだって。しかも宇宙は永遠に続いていって、人間は永遠に生まれていく、そいで自分は無限回転生していくんだってさ」とぶっち。
「きゃー、怖くないっちゃ。怖くないっちゃ。でもちょっとばっか怖くなってきたっちゃ」
って言ってくるみちゃんは両手で両肩を抱え、大げさに震えるしぐさをしたよ。
「ほらー、ほらー、そうれみよ、真夏の夜の夢、怪談よりもっとちょっと怖いだろ」
とぶっちは茶化すように言った。
「そんなダジャレ、秋田県のはるか上いく北海道だっちゃ」ってくるみちゃんは言ってさらに
「北海道の夏は涼しいから怪談なんてにあわないっちゃ」
三人はひとしきり笑って、みどりちゃんが
「そいで、永遠に元に戻されることが続いていくってことなの?」
「そういうことだってさ。今のをわかり易く言うとこうなるよ。
人は百回転生したら五十回は女、五十回は男に生まれる。見た目のいい人と見た目の悪い人についても同じ。この場合は、どっちともいえないとか、普通とか、ランクがたくさんあるけど、とにかく完全に平等になるように転生していくんだって。
金持ち、貧乏についても、背の高さについても、やせてるか太ってるかについても、性格、才能、それから人種についても、そのほかすべてについて、そうなるんだって」
とぶっちは言ってジュースをごくりとやった。
「それじゃあ、怖いどころか、安心しちゃうなあ」
って言ってみどりちゃんはクッキーをかじったよ。まるでリスみたい。
「まあね、今までのところはそうかもね。
先生が強調するんだ、転生があるからって自殺は絶対にいけないってね。
で、次だよ、他人に為したとおりを将来必ず自分が受けるってことの解釈に入るよ」
とぶっち。
「怖くないっちゃ、怖くないっちゃ」
ってくるみちゃん。
〔つづく〕
〔文章の視点を統一してありません。転調効果とノリを狙ってます。日本語の文章では過去形と現在形を混ぜて使います。それと同じです〕
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Last updated
2006.03.16 21:11:11
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