みどりちゃんは いなかから東京にひっこししたんだよ。ユニークなやりかたでね。
くるみちゃんは逆に、東京からいなかにひっこしたんだよ。これまたおもしろい方法でさ。
ふたりはネットで知りあって、高千穂に神話の時代をしのびに行ったんだ。
そこでふたりは、不思議体験をしている ぶっち と出会ったんだよ。
で、3人はネットのテレビ電話システムで、おしゃべりするようになったんだ。
三人してディズニーランドに行ってから***
限りのない曲線と色と音の世界である。
数多くの男女がのたうち回っている。
彼らの服はあちこち破れ髪はボサボサで、取っ組み合いをしている人たちもいる。
沼もあり そこから抜け出せない人たちもいる。
ボロボロになった翼をもった大きなワシのような鳥たちが 不気味な声をあげ 彼らを襲っている。ムカデ 毒蛇 いろんな昆虫たち のような生き物たちも無数にいて 彼らを攻撃している。形容のできない不気味な妖怪のような生き物たちも大勢いて 彼らを襲う。
彼らは阿鼻叫喚の極限の叫び声をあげる。
彼らは全身全霊をあげて のたうち回る。
「あれって地獄なんですか?」
とぶっちが おそるおそる 青ざめた顔で訊く。
「そうも言えるわね。あそこに来てる霊魂の あっちの世界の肉体が目醒めれば その霊魂はあっちの世界にもどるけれども」ってテラス。
「じゃあ、あれは 地獄っていうより 夢の世界なんですね」とぶっち。
「そういった霊魂たちにとってはね。でも あっちの世界で亡くなって その霊魂があそこに捕らえられれば 地獄になる可能性はあるのよ」ってテラス。
「そうなった霊魂にとっては恐いことですねえ」とぶっち。
「そうね」ってテラス。
四人は宮殿に戻った。
先生が四人を迎えて訊いた。
「どうだった?」
「恐ろしすぎたです」
ってみどりちゃんはまだ青ざめてるよ。
「くるみ 倒れそうになりましただっちゃ」
ってくるみちゃんは息をきらせて喘いでるよ。
「先生、あそこにはいって出られない霊魂と、そうならない霊魂との違いって何なんですか?」
とぶっちも青ざめたままで訊く。
「精神的借金によるんだよ」と先生。
「他人にプラスを与えたり 自分が苦しんで生産的なことをしたら 精神的貯金になるんですよね」とぶっち。
「そのとおりだよ」と先生。
「そして その反対のことをした場合は精神的借金になるんですよね」とぶっち。
「そのとおりだ。そこで 精神的借金に応じて 地獄でも苦しい目にあうということだよ」と先生。
「地獄って とてつもなくすごいのよ。さっきのあれはベビー級のはるか下のクラスなのよ。ベビー級じゃなくって ヘビー級の上の方だと とほうもない永遠に近い苦しみの世界なのよ」ってテラス。
「うむ。ヘビー級の地獄にいる恐ろしい大ヘビは 霊魂なんか何万人分も ペロリと食べてしまうんだよ。それはもう 口にもできずとんでもなくおぞましいものだ」
と先生は言って
「これは失礼したね。ジョークでも入れないと やってられないくらいだからね」
三人の心の中では笑いの芽さえ生まれなかったようだよ。
〔つづく〕
〔文章の視点を統一してありません。転調効果とノリを狙ってます。日本語の文章では過去形と現在形を混ぜて使います。それと同じです〕
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