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大宇宙ファンタジア☆世界樹☆その3
…ふたりの近くを色とりどりの大小のチョウたちが飛び交う。豊かな色彩の乱舞。チョウたちはひらひらと優雅な舞いを踊っているかのようである。 …チョウといえば、やまとことばではない。漢語である。やまとことばでは、チョウをなんというのだろうか? わかっているのは、宮崎地方で、バベル、鹿児島地方で、バビィー、と、昔呼んだらしいことだけである。その場合、バベルが元の形だろう。鹿児島にいくと、それはバビィーと音が変わるから。 ・・・沖縄でもチョウを「バベル」に似た発音で呼ぶそうである。 世界のどこかに、チョウをバベルに似た発音で呼ぶことばはないものだろうか? … …さて、ふたりとも、もうすっかり、さっきのできごとから離れ去っている。 マリが遠くを見やりながら言う。 「見て、あの山々を。言われているとおり、すごい誇りをもって聳え立っているように見えるわよ」 「うん。そりゃあ、山頂には、大気からのホコリが、つもりにつもっているからな」 「あはは。今度登ったら、はたきをかけてあげなくっちゃ」 「わっはっは。それがいい。 それに加えて、言われているとおり、ほんとに天を牽制してるかのようだぜっ」 「そうね。厳しい姿ね。なんのための厳しさかしら」 「そう、厳しいのさ。 生き物を守るため、天からの侵略があると、その巨大な大砲をぶっ放すのさ。 それが噴火ってわけ」 「でも、それによって、生き物が死んじゃったりするわ。それって、なぜ? 自然はどう釈明するのかしら?」 「それは、生き物たちに堕落があった場合の罰さ」 「なぜ? どうして? 自然に、生き物を罰する権利があるの?」 「自然が生き物を創ったと考えると、教育もしたがってるんだろう、とこじつけるしかないだろうね」 「あははは、こじつけねぇ。たしかに、教育といえば、あの山々は、言われているとおり、生き物たちを見守っていて、教育したがっているように見える、とも言えるわね」 「わっはっは。そうだね。まったくそのとおりだよ。コモリみたいなものさ。 それで、つい今の、自然が、生き物を罰するということについて言えば、 たとえば、三・四日雨が降らずに、元気のなくなっているカエルたちがいたとするよ」 「ええ。それで?」 「そして、ついに待ち望んだ雨が降ったとする。 その時、そのカエルたちは、なんと言うと思う?」 「うーん、そうねえ。自然はわれわれを見捨てなかった、かしら?」 「それは、高尚なこたえだね。ポゥエット、詩人のこたえだ。 ぼくのこたえはね、ベースボールのピッチャーのこたえさ。 あるカエルは、アメ・フリー、と叫ぶんだ。 そして、別なカエルは、アイム・フリー、と叫ぶのさ」 「あははは。 雨が降る、そして、われはフリーである。日本語と英語をかけてるわね。 つまり、カエルたちは、雨のおかげで元気になって、死ぬことから自由になって、自由になんでもできる、と叫ぶわけね」 「あっはっは。そういうこと。 さらに、すべてについてそうなんだけれど、自然も、いい面をもっていれば、悪い面ももっている。悪い面をもっていれば、いい面ももっている、という世界哲学の説の一部の実例でもあるね」 と、健太郎は、あとで詳しくでてくる世界哲学をもちだした。 「あははは。そういわれれば、そうねぇ。 ケン、あなたの、ユーモアかと思えば、すぐにマジに転じるし、マジかと思えば、すぐコメディーに変化しちゃうわね。それでいて、それがさまになってる。 またまた、ピッチャー、ケンの変化球の質問に、二連続三振しちゃったわ」 と、マリが言って、ふたりとも大笑いした。 「英語のかかわったジョークといえば、こんなのもあるよ」 「どんなのかしら?」と、マリ。 「日本に来る外国人たちは、放送局なんかの、ON・AIR、つまり、放送中、の表示がまちがってる、と言うんだね」 「ええ、聞いたことあるわよ。AIRの前に、Theがいるってことね」 「そういうこと。 それは、さる大都市の、あるデパートの中の一角でのことで、 店内用の放送施設を小さなスタジオみたいにドレスアップしてあって、 そこに、そういう表示を見つけた時の話しなんだ。 ぼくが案内していたアメリカ人がそう言うもんだから、ぼくは、彼に、こう言ってやったんだ」 「あはは。ケンのことだから、…あれは、英語じゃない。日本語なんだ…とかいったんでしょう」 「わっはっは。まず、たしかに、そう言ったよ。ジョーク・カウンターパンチさ」 「で、まだつづくわけ?」 「そうさ。それからがメインなのさ。次にこう言ったよ。 …君の知ってのとおり、工業製品大国、日本には、無色透明でなんにでも書けるマジック・インクを使ったペンがある…ってね」 「あはは、ほんとかしら」 「半分はジョークだけれど、あるさ。現に、市販されている太書きフェルトペンで、そう銘打ったのがあるよ」 「あっ、そう言えば、あるような気がするわ」 「うん。それから、こう言ったのさ。 …外国人のために、そのペンで、あのAIRという文字の左の空気、つまり、RIRの上に、つまり、ON・The・AIRに、Theと書いてあるんだ。 君には見えないのかい?… そう言ってやったのさ」 「あははは。おかしいわ。で、その人なんて言ったの?」 by西山浩一(C)(春楽天・世界人) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.07.16 06:27:33
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