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考える面白さはこの上なく美味/意識・人間・心・世界・なんでも・霊魂研究/世界は大激動し始めた

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2020.07.20
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大宇宙ファンタジア☆世界樹☆その6



 …ぴぴぴぴっ、ぴっぴっ。
 近くを小鳥たちが嬉々として囀りながら飛び交う。純真にして溌剌とした存在である。
 ケンは、ふと次のように考え、口にした。
 …小鳥たちは、生命そのものに見え、喜びそのものに聴こえる… すると、
 「そうよ。コトリっていうのは、不快をほとんど跳ね返し、コトリとも動じないのよ。だから、そう見え、そう聴こえるのよ」
 と言って、マリは笑った。
 「あははは。ジョークコンテストの答えとしては、上々だね。
 でも、マジ・コンテストだと、それからが問題さ。なぜそうなのか? ってね」
 「それはね、小鳥たちは、うらやましいことに、考えることがほとんどないからじゃないかしら。すなおに感じることだけをやってるからにちがいないわ」
 「なーるほど、そうかもしれないな。なにやら、心理療法のアドバイスをきいてるようなかんじだな」
 「あはは。そうよ、小鳥たちは、豊かな心で生きる天才なのよ。人間たちにそのことを教えてくれる先生なの」
 「あはは。たしかに、そんなかんじだね。
 それに、小鳥たちは、天から与えられた才だけで、つまり天才だけで、豊かに生きているにちがいないからな」
 「あははは。そういうこと。小鳥って人間より賢いわね」
 「まったくだ」
 天空には、巨大な月が懸かっている。クレーターまで鮮やかに見える。今にも大地に落ちてきそうな錯覚を見る者たちに与えるほどである。
 望遠鏡で月面を見れば、ちっぽけながら基地や住居が見える。
 一方、その月面の住居から見れば、地球は今にも月を押しつぶしてしまいそうである、とは、月の居住者のセリフであると言われている。
 なぜ、月がそんな近くにあるようになったか?
 それは、数年前、さる、物好きな集団ですごい科学技術をもった、つまり、すごい科学技術をもった物好きな集団、が、謎の目的をもって、なにかを始めてからのことだった。
 その彼らが、一時的に月にとほうもなく強力な磁場を発生させて、月の公転速度を、かなり遅らせてしまったからなのだった。その磁場と、地球磁場、その他の磁場、太陽風などが干渉しあい、一日ほどでそうなってしまった。
 その影響で、地球の地軸は、かなりぐらついた、といわれている。
 さらに、潮の満ち干の差がはるかに大きくなってしまった。
 海岸地方では、海水が、防波堤を乗りこえて押しよせるところもでてきて、世界的な問題になったものだった。
 そういうなりゆきで、月は、ぐぐーんと地球に近づいて、まわりを回ることになってしまったのだ。
 初期に、世界中の人びとや国々が、ドラスティックつまり激烈な、抗議をしたが、相手はわからずじまいだったため、エックス集団に告ぐ、という形をとるほかなく、なんの成果もあがらなかった。
 そのエックス集団が、なんのためにそんなことをしたのかは、いまだにヤブの中どころか、砂漠の中の一粒の砂状態である。
 そのとんでもなく大ぶりの月が、天空を飾っているわけである。
 とんでもなく、とはいったものの、その月は、見かたによっては、とんでいるように見えないこともない。
 マリは、目を転じ、月を眺める。
 「月がきれいだわ。すてきね。
 こんなに近くにある月を知らない昔の人たちが、今のこの月を見たら、なんて言うかしら? 昔の月の存在感は、あたし当然覚えているけれど、今のよりずっと存在感が軽いから」
 「うん、そうだね。
 かれらに言わせれば、すごい圧迫感、今にも落ちてきそう、ってとこかな。
 なれてしまえば、なんでもないけど」
 「それにしても、月をこんなに地球に近づけた集団、なんのためにやったのかしら?」
 「うーん。あらゆる報道を分析研究してみたけれど、理由を推測できなかったな」
 「それにしても、物好きな人たちね、こんなことするなんて。月のイメージがおお変わりだわ」
 「まったくだ。ヘンなやつらだよ。
 で、マリ、君はどっちの月のイメージが好きなのかな」
 「うーん、…あはは、どっちもいいわね」
 「あははは。そうだね、ぼくもそうさ。
 昔の小さかった月はロマンティック、今のでかい月はファンタジック、といったところかな」
 「そうね。そんな感じだわね。そして加えて、今のは、ダイナミックだわ。
 …で、そもそも、ツキはいったい何のためにあるのかしら?」
 「きまってるじゃない、人類のツキをよくするためさ」
 「あははは。たしかに、人類は、ロケットで月にツキ、月面に住居を造って、月に居ツキ、日本人ときたら、月で餅までツキ、月を自分たちの庭みたいにしちゃったわね。たしかにツキがいいわ。
 それに、月って、散歩してても、車で走ってても、どこまでもいつまでもついてくるしね。その意味でもツキがいいわね」
 とマリが言って、ふたりは笑った。
 「まじめなところ、月ができた理由を、宇宙の意志のようなものに求めるか、それとも、確率的必然性、つまり、蓋然性に求めるか、つまり確率的に自然にできたということ、で満足するか、どちらをとるかは、その人によりけりだ、というのがいちばん自然だ、といったところかな」
 「でも、その後の方、つまり、確率的な必然性によってできたとしても、それが可能だということは、宇宙の意志のようなものを考えなくっちゃすまないんじゃない?」
 「うーん、鋭いなあ、マリは。
 そうなんだよね、宇宙の意志による法則が、月なんてまったくできっこないふうになっていたら、できようがないからな」







by西山浩一(C)(春楽天・世界人)





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Last updated  2020.07.20 05:58:54
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