みずぶえ
あなたがケタケタ笑うたびみずぶえの玉が回っているような気がするの透きとおったまあるい玉があなたの中のどこかにあるのかしらそのやさしい振動に澄んでゆくまわりの空気澄んでゆくわたしの心ああ今日もよく回ってる回ってるふるふると滑らかにあかるい水と触れ合うようにちいさな泉があなたの中のどこかにあるのかしらときどき光の揺らぐ瞳からその水が溢れ出してくるのでそのまま泉が枯れ果てて透きとおる玉が壊れてしまわないかと恐れるわたしをよそにまたすぐ 勢いよく回り出すころころと軽やかにきらめく水を踊らせるように※ネット詩誌MYDEARにて頂いた評をもとに推敲したものを載せています◆いただいた評◆この比喩はおもしろいねえー笑い声が水笛のよう、というのは初めて聞く、新鮮な比喩ですね。きっと軽やかにどこかがコロコロと回ってる感じの笑い声。その笑い声聞いてるだけでおもしろくて、こちらも吊られて笑ってしまう感じなんでしょうね。鳴き声がキレイな鳥がどこかで鳴いてる感じかな?4連、 ああ今日もよく 回ってる 回ってるは、家事をしながら、こっそり子の笑い声を遠くから聞いてる情景が感じられて、ステキですね。5連、 ふるふると滑らかに あかるい水と触れ合うようには、声という聴覚のものを、柔らかい触感や流体で表現されていて、この絶妙さはすばらしいですね。この詩、1~7連までパーフェクトに良いのですが、そこから後ろがギクシャクするんですよね。一案ですが、ラストの4連、 ときどき光の揺らぐ瞳から その水が溢れて出してしまうのは わたしの渇いた言葉のせい このまま泉を涸れさせて 透きとおる玉を 壊してしまったらどうしよう 恐れるわたしをよそに みずぶえの玉は またすぐ 勢いよく回り出すまたは 恐れるわたしをよそに 玉は またすぐ 勢いよく回り出すこんな感じはどうですか?泣いたカラスがもう笑う 状態の、明るい子にしてみました。「回り出した」と過去形にすると、その瞬間の話になってしまうんですが、現在形にすると、習慣としていつもそんな感じの明るい子、ってことになります。習慣性を言う時には、現在形の方がいいです。あるいは、「玉」にこだわるのをやめて、みずぶえの軽やかな音に、戻してもいいですけどね。せっかく「みずぶえ」だから。というわけで、後ろだけ一考して下さい。一考して頂く条件の、名作としておきましょう。