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宮部みゆきは、物事や人の本質を見かけにだまされずに一瞬にして見抜く人だと思う。そして、宮部みゆきは江戸ものが特にいい。母が彼女のファンなので、私はときどき母の部屋から拝借する。「堪忍箱」もその中の1冊で、会社の帰り、電車の中で少しずつ読んでいった。短編集は通勤の友に最適なのである。
江戸の町人の生活には、もしかすると現代に生きる私たちよりよっぽど自由な目線があったのでは、と思うのだが、そんな市井の人々を描くとき、宮部みゆきの視線は限りなく優しくて厳しい。そこにはただのいい人もただの悪い人も存在せず、それぞれの人々が善人でもあり悪人でもある。そのへんの描写がこれまたおしつけがましくなくて、名人としかいいようのない筆運びに読者としては唸るばかりなのである。 この文庫本のあとがきを書いているのは、NHK金曜時代劇「茂七の事件簿」の脚本を書いた金子成人である。茂七親分もまた、宮部みゆきが生み出したスーパーキャラクターであり、私的にはぜひぜひ中村梅之助に演じて欲しいと常々思っているキャラである。NHKでは高橋英樹がその役をやっていたが、いつか梅之助でみることができるといいなぁ、と思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.11.20 20:41:10
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