待ちに待った渡部昇一さんの「日本の歴史5 明治篇」が出た。最近は幕末~明治時代がブームなので、本屋へ行くと龍馬や坂の上の雲関係の本が今でも目立つ。司馬遼太郎がやはり人気らしく、日本人は無意識のうちに皆と同じ価値観や歴史観を持ちたがるものなのかなぁとおもしろく思う。そういう自分も、小説・物語としての歴史から興味を持った人なので、司馬さんなどの小説も楽しく読んだ方だ。でも、何十年もそういった小説家が書いた「おもしろく作られた物語」を読んでくると、実際はどうだったんだろうと興味を持ち始めるものだ。そんな時は、小説をちょっと離れて新書版などで、歴史学者たちの本を読みバランスをとることも必要だと学習することとなる。この渡部さんの「日本の歴史」は、そちらの部類だが歴史に興味を持った入門者や歴史ファンにとっても、納得できる内容となっていると思う。自分も最近は、脚色された小説よりもこういった研究書のような本の方がおもしろく感じる。たぶん多くの歴史ファンは、真実は何かということを推理したりするのが好きな人たちだろうから…。この本の帯にも書かれている「日露戦争、ロシアの脅威を打ち砕く!白人に屈しなかったアジア唯一の国」というキャッチフレーズは、ドラマなどでも視聴者にわかりやすく登場人物のセリフで語られていて、直接「心」に訴えてきて感動するが、史実を検証した文字を読み「頭」で納得するのも心地よいものだ。