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カテゴリ:サイダーハウスルール
メロニィがセント・クラウズの孤児院を抜け出して、ホーマーを探しながら落ち着いたのは、ヨーク・ハーバーとオウガンクイットの間にあるヨーク農園だった。 唯一の手がかり、オーシャン・ヴューという名のリンゴ園を探していたのだ。 「オーシャン・ヴューって果樹園、聞いたことある?」というメロニィの質問に対してヨーク農園の監督は 「メインにはオーシャン・ヴューと呼ばれるところは五万とありそうだってのはわかってんのかい?」 翌年のリンゴの収穫期、メロニィはオーシャン・ヴューを探してメインを転々とした。 ハプスウェル、アロウシックの果樹園で働いた。 北はロックポート、内陸部はアプルタン、リズバンまで渡り歩いた。 サウス・トマスタンのシーフードレストランでは客にしつこくオーシャン・ヴューを聞きまわったため、店の給仕頭と殴りあいになった。ケンカは勝ったが罰金刑をくらった。メロニィは何度も男と暴力沙汰を起こしている。勝率は高い。なんて女にホーマーは惚れられてしまったのだ。 ブースベイ・ハーバーでは同じ孤児院に育ち、この町のドラッグストアの養子にもらわれてきたカーリー・デイに出会うが、彼からも手がかりを得ることはできなかった。 この年もメロニィはホーマーを見つけることができなかった。 ヨーク農園―ヨーク・ハーバーから内陸部に入り、オウガンクウィットの西にあって、ホーマーのいるところから数百マイルの海岸線を隔てたどこか― 数百マイル・・・1マイルは1.6キロだから遠いといえば遠い。だが、メインの海岸線は氷河期に形作られたフィヨルド。とても複雑に入り組んでいて、何百マイルの海岸線だが直線ではずっと短いかもしれないのだ。 メロニィの訪れた町にオーシャン・ヴューが無いことだけは分かった。 この写真はトマスタンの道端にあった農産物直売所。ここにはリンゴは無かったが野菜、乳製品が破格値(日本の値段を比べ)で並んでいた。 おやすみメインの王子たち、ニューイングランドの王たちよ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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