タワーレコード フリーペーパー 矢沢永吉
DICTIONARY 134FREE PAPER AGE OF AQUARIUShttp://www.clubking.com/ InterFM「桑原茂一のPIRATE RADIO」#23 http://www.clubking.com/topics/archives/09other/68_2300_interfmpirate_radio23.php 矢沢の長い旅の始まり 僕は音楽家として、自分自身の中で長い旅をしてきました。 1972年に劇的にデビューしたCAROLは、 英語と日本語を交ぜた詞と矢沢のメロディとで、 フォークソングが終わりかけの頃に彗星のように出てきた。 「ファンキー・モンキー・ベイビー」みたいに キャッチーな8ビート・ロックンロールは、 当時、相当にショックだったんじゃないかな。 そしてCAROLは1975年、 日比谷の野音で文字通りに燃え尽きます。 それから今日まで、 僕なりのすごく長い音楽の旅が始まったわけです。 音楽家として向上したいと思うのは自然なことで、 そうなると目標は海外になる。 「洋楽」ですよ。 僕はさっさと日本を出て、 世界的なプレイヤーたちと、 超一流のサウンドを作ってきた。 でもある日、ちょっとした疑問が湧いたんです。 「リスナーは、僕の音楽をどのあたりで聴いているんだろう?」とね。 僕も「このサウンド、すごいだろ?」 というノリでやってきたけど、 それはちょっとズレていたんじゃないかと。 実は、日本のリスナーのハートの奥底に届くものは、 それとは少し別なものなんじゃないかなと。 60歳の再デビュー作『ROCK'N'ROLL』 そして『TWIST』 そして直球ど真ん中、 みんなのストライクソーンに ストレートに入るようなサウンドを作ろうとしたのが 2009年の『ROCK'N'ROLL』です。 これがものすごい反響だった。 昔からのファンからの反応もすごかったんです。 「永ちゃん、お帰りなさい!」 とか「待ってました!」とかね。 本当に嬉しかった。 でも僕は、決して昔のファンのためだけに 「戻ってきた」わけじゃないんです。 『ROCK'N'ROLL』は、僕が「洋楽」にこだわり、 欧米に行き、アレンジやプレイヤーにこだわり、 そしてリスナーの壁にぶち当たり、 そこで悩んだ結果だった。 しかも当時の僕は60歳で、 時代の変化の中で、これからどうやって ロックシーンに立ち続ければいいかを 考えている時でもあったんです。 それで僕はメーカーから独立してレーベルを作り、 全部を自分たちの手でやることにした。 音作りは当然、流通、宣伝、PVの制作まで、 本当に全部がゼロからの再出発です。 もちろんリスクはある。 でも、「俺たちで面白がって全部やろう」という感じで、 前を向いてみた。 『ROCK'N'ROLL』は、 本当にいろんな意味で旅を経た 僕の再デビューだったわけです。 だから09年は新しいことばっかりでした。 インタヴューはパンパン受けるし、 インストアライヴはやるし、夏フェスにも出るし、 とどめには紅白歌合戦にも参加させて頂き、 そして歌詞をしっかり間違える、というね(笑)。 結果的に『ROCK'N'ROLL』は、それまでの2倍売れました。 そりゃあ嬉しかったですよ。 これは自分の気持ちに対するご褒美だったと思う。 僕が独立を決めたときの気持ちは 「みんなでやろうぜ」という清いものだったからね。 この清さと、頑張った僕らへのプレゼントだったんじゃないかな。 2010年の矢沢と20代の矢沢と 今、この一連の流れはどういうことだったのかと考えるんです。 実は自然にひとつの流れができていたんだけど、 とにかく僕の中でスイッチが入っちゃったわけ。 頑張るとか一所懸命だとかいうよりも、 完全に全てを面白がっている。 「今、どうやったらこのお膳ひっくり返せるかな?」みたいな感じで。 それからもう僕はノンストップ、 『ROCK'N'ROLL』から今回の新作『TWIST』まで、 全く立ち止まっていない。 今回も絶好調でしたよ。 もう「直球ど真ん中」とはどういうことかがわかったから。 それじゃあ今度は調味料、塩やコショウを たっぷりかけてお送りしましょうというもので、 どんどんいいメロディが出てくる。 全開ですよ。 そしてもう一つ嬉しいのは、 最近若い子たちの反応がすごく大きいこと。 フェスに出たりしても、 矢沢のライヴは見たことがないという子たちからの反響が、 本当にものすごかった。 僕だって気持ちは今も、 「俺はロックで頂点に立つ!」とか 「世界に別荘を持つ男になる」とか、 そんなことばかり言っていた20代とそんなに変わらないと思うんですよ。 「大金持ちになる」とか「牛耳る」とか、 当時はバカみたいにそればかり言っていた。 周りは「また始まったよあのバカ」みたいに思っていたかもね。 もちろん思い出すと照れくさいことはいっぱいあるけれど、 ケツの青い頃に、唾をばんばん飛ばしながら 「俺は上に行くんだ!」と言っていた矢沢は、 なかなかチャーミングだったと思いますよ。 今ならわかる。 たとえば僕のせがれは生意気でね、 カミサン、つまり彼の母親に、 「俺、親父を抜くから」としょっちゅう言ってるんだって。 もちろん僕に直接は言わないけれどね。 カミサンが「なにでお父さんを抜くの?」と聞くと、 「親父はロックで、ロックでは勝てない。 だから俺は経済の方で行く」って言うらしい(笑)。 すっごくカワイイじゃない? 僕にもそういうところがあったと思います。 恋愛も一緒かもしれない。 人を愛する気持ち、 恋をしている気持ち、 ドキドキする気持ち、 それはものすごく大事だと思うし、 みんな大いにやるべきだと思う。 いろんな人を好きになるのも恋だし、 一人だけを好きになるのも恋だし、 いろいろ巡り巡って実は自分の奥さんに戻るのも恋だし。 そんなものなんじゃないかな? 人を愛していだいということは、 絶対なくしちゃいけないことですよね。 オーストラリア事件が気づかせてくれだもの 自分の足で立て、ということ もちろん僕だって今まで全部が順調だっだわけじゃない。 だとえば1998年にオーストラリアで裏切られて負債を抱えだときには、 完全に終わりかと思いましだよ。 あのときは本当に落ち込んで、ずっとヤケ酒を飲んでました。 でも一週間それを続けると徐々に飽きちゃう。 だんだん我に返ってくるわけです。 ちょうどその時にカミサンやマネージャーが言ってくれだんです。 「今の矢沢なら返せない金額じゃない。 地獄を見るくらい大変だろうし、 何年かかるかわからないけれど、やろうよ」とね。 それがすごくタイミングがよかっだ。 僕が「本当?」と聞いだら、 「本当だよ」って言うんだ。 たぶん嘘だっだんじゃないかと思うんだけれど(笑)。 でも、馬の前に人参下げてとにかく走らせるしかないわけだからさ。 で、この馬がまだ単純だからね。 「今のボスなら返せます」 「本当?」 「本当です!」 「わかった!」って、 走り出しちゃったんだな(笑)。 でも今は、夫婦で 「あの事件はあの時でよかったよね」とよく話すんです。 当時は12年後にこんなことを人前で言えるとは思ってもいなかった。 考えてみると、誰だって、 人生に修羅場の一回や二回はないわけがない。 それはその人の大きさに比例しているんです。 100万円稼ぐ人は100万円、 10億円稼ぐ人は10億円の修羅場。 誰にでもその人なりの修羅場がある。 そしてその修羅場でどうするか? ギブアップするのか? 乗り越えるのか? 乗り越えさせてくれる何かやパートナーはそばにいるか? 耳にささやきは聞こえてくるか? そういうことが問題になってくる。 できれば誰かに 「おまえならできる」 と耳にささやいてほしいよね。 僕には死んだ親父がついてくれていると思ってる。 こんなことを言うから宗教とか言われちゃうのかな(笑)? でも僕は、 それもイマジネーションの一つなんじゃないかと思っています。 結局は自己暗示をかけるということも含めて、 「お前自身が立ち上がれ」 ということなんじゃないかな。 だからあのとき、 僕を立ち上がらせてくれたカミサンや マネージャーには感謝しています。 その時は嘘だっだかもしれないけど、 それでよかったと思うんです。 あの時みんなは僕の目を覚ましてくれた。 まず自分の足で立てよ、とね。 そうじゃないと、やっぱり何事も始まらないんですよ。 年表1949 9月14日生まれ、広島県広島市出身。ビートルズを聞いてロックに開眼 1972 CAROL結成、シングル「ルイジアンナ 」でデビュー 1973 シングル「ファンキー・モンキー・ベイビー 」大ヒット 1974 山本寛斎のパリ・コレクションにCAROLで出演 1975 日比谷野外音楽堂にて解散。セットが炎上するという事故が発生。 その後シングル「I LOVE YOU,OK 」でロ・デビュー 1977 初の日本武道蝕公演 1978 シングル「時間よ止まれ 」大ヒット。 自伝「成りあがり 」を出販 1980 米国ワーナー・プラザーズ移籍、映画『RUN&RUN 』 1981 米国エレクトラ、アサイラム・レコードと契約。アルバム『YAZAWA 』を初の海外リリース 1982 アルバム「YAZAWA It'sJust Rock'n Roll 」全米リリース 1987 アルバム「FLASH IN JAPAN 」全米リリース 1988 東芝EMI移籍、アルバム「共犯者 」 1994 テレビドラマ主演作「アリよさらば 」話題に 1997 ロンドン・ウェンプリー・スタジアムで行われた工ルヴィス・プレスリー・トリビュート・イヴェントに出演。ロッド・スチュワート、ジョン・ボン・ジョヴィ、ロバート・バーマーらと共演 1999 映画「お受験 」出演 2001 自伝第二弾「アー・ユー・ハッピー? 」出版 2004 エアロスミス、ザ・フー、レッド・・ホット・チリ・ペッパーズらとともに夏フェス出演 2007 日本武道館100回公演達成 2009 アルバム『ROCK'N'ROLL 』リリース、インストア・ライヴを決行。年末には紅白敢合戦にも登場 2010 『TWIST 』リリース 【送料無料】CD+DVD 10% OFF[初回限定盤 ] 矢沢永吉 / TWIST 【初回限定盤】 【CD】価格:3,150円(税込、送料込)