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テーマ:長寿犬と共に(147)
カテゴリ:家族
10歳半になるオスのゴールデンリトリバーと一緒に暮らしている。4年前に大陸縦断の引越しをしたとき、夏の間は飛行機での犬の移動はできないと言われたので、数ヶ月間隣家の夫婦に預け、秋の風が吹き始めた頃、やっと飛行機に乗ってやって来た。わずか数ヶ月の間に顔に白いものが目立ち、いくら日頃から一緒に遊んでいた仲良しの2匹の犬と、長年暮らした家から、数十メートルしか離れていない場所に居たのに、我々家族が居なくなったことがショックだったのかと、胸が痛んだものだ。
3才のウィルソン やんちゃだけど、子犬の時から優しくておっとりしていました。 そして、暑いテキサスでの暮らしが始まった。あれから4年。10歳を迎えた今年の春あたりから、運動量が減り、食事をすぐに全部食べなくなってきた。6月。トイレの時間に、空き地に連れて行こうと歩き始めた直後、倒れるようになった。その状態は、まるでよぱらった様に足がおぼつかなくなり、ふらふらっとしたと思ったら、右側を下にして横たわるように倒れるというものだ。意識ははっきりとしており、30秒もそのままにしていると、さっと何も無かったように立ち上がる。倒れている時の目は「助けて、どうしちゃったんだろう、僕。恐いよ」と言っているような不安そうな目だ。 獣医に連れて行き血液検査をすると少々白血球値が高いだけで、肝機能、心臓、腎臓など別段異常は無いと言う。ビデオテープに転倒の状況を撮影し医師に見せたが、彼女はこれまで見たこともないケースだといい、獣医のミーティングで他の医師たちに相談してみるから 猶予をくれと言われた。しかし、結果はわからず終いで3週間経った。数日前からウィルソンは、殆ど動きたがらなくなり、食事も大好きなミルクをドッグフードに混ぜても以前のように喜んで口をつけるようなことが無くなった。私達の姿が見えると、飛び起きて走って来ていたのに、横になったままちらっと一瞥するだけで、立ち上がらなくなった。 (私がカメラを持って近づいても、立ち上がらす ちらっとこちらを見るだけで ぐったりしてる今朝のウィルソン。顔にも白髪が目立ち すっかり老犬という風貌だが、まだまだパピーのような内面があって、それがまた無性に可愛い。) 3日の間で、状態が悪化したことに不安は募り、今日、友人の15年来の知人という獣医を紹介され、会うことになった。話は反れるが、とてもユニークな獣医さんのクリニックと風貌、スタッフのリラックスした雰囲気に最初 え?と驚いた。というのも彼はビッグウェンズデーという映画に出てくるかと思うような金髪のロングカーリーヘアで、医者が普通着ている白衣ではなく、トロピカルな椰子の柄のアロハチックなコート(アメリカの看護婦さんは柄物を羽織っている事が多い)を着ていた。おまけに裸足。クリニックは牧場の中。庭には鶏が走り回っている。そして外には大きなキャンピングカーが泊まっており、緊急の時はこれでどこでも往診に行くのだそうだ。それはさておき、あらゆる血液検査と触診の後、今のところウィルソンの病気は、テンカンだろうと言うことになった。貧血と白内障が出てきているが、これらは老化も一因なので、ひとまず心配することではない。ビタミンBの投薬と総合ビタミン剤、そしてテンカンを防ぐ薬を処方してもらうことになった。テンカンの薬は人間のものと全く同じなのだそうだ。しばらく薬を続けて、様子を見る事になる。脳腫瘍を危惧していたので、その可能性は少ないと言われたことはうれしかった。 動物のための保険は、結局あまり有効ではないといろいろ調べた結果判断したので、加入していない。先月と今月のウィルソンの医療費は600ドルにも上っている。動物と暮らすということは、その動物の一生に責任を持つということで、愛情だけではまかなえない部分があると、ここに来て実感する。しかし、10年も一緒に家族として暮らしていると、できる限りの手は尽くしてあげたい。最期の瞬間まで、大切に苦しませる事無く、見守りたいと心に誓った。 追記:今年になって、早朝暗がりの中を水泳の練習に出かけていく上の子供に吠えることが何度かあり、おかしいなと思っていたのだが、これは白内障のために暗いところでは目が見え難くなっているのだと 医師から聞いて、やっとその意味がわかった。兄弟のように育って来ている子供の姿さえ、暗がりでは識別できず、知らない人だと思ったからに違いない。少しずつ、最近の行動の意味が、薄皮をはがすように ひとつずつ ゆっくりと理解できはじめたところだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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