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カテゴリ:世界のニュース
日本の皆さんはもう忘れてしまったかもしれませんが、チュニジアで起きた政変(ジャスミン革命)の余波が、今、欧州で思わぬ波紋を呼んでいます。
革命は実現したものの、その原因となった厳しい経済状況が急激に良くなるはずもなく、加えて、政権崩壊により、国境警備が手薄になったこともあり、チュニジアから最も近い欧州国家であるイタリアに、大量の難民が押し寄せている。最近では、リビア情勢の悪化も手伝って、今年に入ってからだけでも、北アフリカからの難民は2万6千人を超えているとのことだ。 ちなみに、難民が押し寄せているのは、チュニジアから100Kキロちょっとの位置にあるイタリア最南端の島、ランペドゥーサ島。ザックリ言って、島民人口の4倍もの難民が住む場所もないところに、お金も持たずに押しかけてきたわけで、それはそれは大変な事態なのである。 事は人道上の問題であり、イタリア政府も強制的に押し返すような対応は取っておらず、仮説住宅を用意するなど、甲斐甲斐しい対応を取ってきたが、大半の難民は、実は、イタリア経由でフランスを目指しているという。かつてフランスの保護領であったチュニジアでは、フランス語を話せる人が多く、したがって、イタリア経由でフランスに入って職を探したいと考えている人が多いと考えらるのだ。一方、フランスは、イタリア経由で入国してこようとする難民に、所持金他の厳しい制限を適用して、イタリアへの強制送還を繰り返しているようだ。 業を煮やしたイタリアは、一時的な居住許可証を難民に発行して、EU域内を自由に移動できるようすると表明したが、フランス他の国々が猛反発した。慌ててEUはこの問題を協議したが、結果は物別れだったようだ。会議に出席していたイタリア内務相は、会議後のインタビューで、EU各国の非協力的態度を批判し、EU離脱の可能性まで口にしたと報じられている。 まあ、もちろん、イタリアがEUを離脱するなんてことは、普通に考えればありえないのだが、イタリアの気持ちも分からないでもない。イタリア自身が、財政危機問題の最中にあり、そのような中でインフレも進行中で、とても悠長に構えている余裕などないのだ。 EU各国は、欧州危機と言われる今こそ、結束して、域内及び世界の諸問題に対応する必要があることは間違いないのだが、難民・移民のような問題は、その国のアイデンティティにも繋がるものであり、経済問題などよりも、遥かに根深く解決が困難な問題である。島国で、しかも、ほぼ単一の民族・言語をもって暮らしてきた日本人には、ストンと腑に落ちない問題も多いのだが、難民問題は、危険な国家を隣国に抱える我々にとっても他人事ではない。 さて、最後に、脈略なく、不謹慎なことを言輪背てもらえば、私も、亡命するなら、イタリアの南の街は、最有力候補ではあるなーとは思いつつ。
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