カテゴリ:宝塚
風邪を引いてしまった…(現在は、ほぼ完治した)。
気を付けてはいるのだが、エアコンの冷気に弱い体質のため、何だかんだ毎夏一回は引いている。 とりあえず鼻水は止まったものの、寒気はなかなか治まらず、劇場内は凍えるようだった(笑)。 (後ろの年配グループは「天国やな~」と言っていたので、皆にとっては快適な涼しさなのだろう) そんな体調での観劇だったので、あまり集中できなかったが、今回も【鴛鴦歌合戦】は笑えて、【GRAND MIRAGE!】は美しかった。 【鴛鴦歌合戦】は、先日映画を観たせいか、物語の世界観をより素直に楽しめた。 時代劇とジャズの融合は斬新だし、戦前の映画ながら女性がはっきり意見を言う姿も新鮮。 普段は原作を観ず(読まず)に臨む僕だが、本作は映画を観てからの方が楽しめるように思う。 白黒だった風景がパッと鮮やかに色付き、戦前の作品が令和に甦ったような錯覚を味わえる。 (幕開けのチョンパも、その効果を狙ったのかも知れない) また、映画を観てからの方が、小柳奈穂子のアレンジ力を実感できるだろう。 最後の「金持ちは嫌いだ」という台詞は、映画と宝塚版では少し意味合いが違う。 映画でのお春は「大金持ちになって、おとみさんに負けない大きな別荘を建てられる」と完全に浮かれている。 その姿に、人間の浅ましさを見た礼三郎は「成り上がりの金持ちは特に嫌いだ!」と吐き捨てる。 それに対して、宝塚版ではお春のこの台詞はカットされ、単に「夜逃げしなくて済む」という流れになっている。 これは僕の憶測だが、監督のマキノ正博は「戦争成金」に対する批判を礼三郎のこの台詞に込めたのではないかと思う。 第一次世界大戦(1914~1918年)では、様々な投機や株式ブームによって景気が高騰し、日本全国に成功して大金を手にする企業家達が現れた。 庶民は、こうした人々を羨望と非難を交えて「成金」と呼んだ。 ![]() 成金の代表的な風刺画(1928年) 吾郎さんに貰った【昭和タイムズ】を調べてみると、ちょうど映画が公開された1939年(昭和14年)の記事に「日中戦争による軍需景気の恩恵に預かった成金達が登場し、彼らの金に糸目を付けない派手な暮らしぶりに、庶民は冷ややかな目を向けていた」とあった。 マキノ監督は、そうした庶民の気持ちを礼三郎(片岡千恵蔵)に代弁させたのではないだろうか。 「金持ちがそんなに偉いのか?」と。 (映画での礼三郎は本気で怒っている) 現代人の感覚では、この台詞の本意は正しく理解されないだろう。 それも踏まえて、小柳奈穂子は台詞のニュアンスを変えたのではないかと思う。 また、劇中に米国発のジャズを取り入れたり、歌詞に「ヒステリー」といった英語が普通に使われている事から、この当時はまだ「鬼畜米英」の雰囲気は無かった事が窺える。 それと、おとみの「誕生日」という言葉を聞いて、「日本で誕生日会を開くようになったのって、いつ頃からなのかな?」と、どうでも良い疑問が湧いた。 『歴史探偵』に依頼したら、調べてくれるだろうか…(笑)。 (北条時行の回は非常に楽しませてもらった、ありがとう!!) レビュー【GRAND MIRAGE!】で特に好きな場面は、『第2章 遥かなるMIRAGE』『第5章 夜の町の幻影』『第7章 ボレロ・ルージュ』。 体調が良ければ、もっと前のめりで満喫できたのだが…。 予定が合えばもう一度観に行きたい、素敵な舞台だった。 ありがとう!! 次回の観劇は、月組【フリューゲル -君がくれた翼-】。 配役が発表された時から「もしかして…」と思っていた人物が、相関図を見て「やはり!」だったので、最後にどうやって正体が明かされるのか(明かされないのか)、個人的に楽しみにしている。 (東ドイツの物語に彼らは外せないと、齋藤吉正も判断したのだろう) 観劇は8月29日(火)の予定だ。 今度は体調を万全にして臨みたいが、浮世どころか、とかく我身もままならないもので…(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.08.03 22:08:08
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