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[Stockholm syndrome]...be no-w-here

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2023.08.04
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先日、参政党・神谷宗弊の街頭演説をYouTubeで視聴していて愕然とした。
現在、日本の若者の死因は、10~39歳までの全年齢で「自殺」が1位なのだとか。

高齢者が「生」に執着する傍らで、若い世代が自ら「死」を選ぶ。
そして、政府は今日もテレビの向こうで「少子化対策」を叫ぶ。
正に、以前に紹介した『楽園実験』さながらのディストピア社会だ。


(厚生労働省 令和4年データ)



しかし、これは必然の結果かも知れない。
日本社会が「ネズミの楽園」化した要因を、僕は「戦後の何も無い状態から、短期間に豊かで便利な社会が出来上がったため」と解説したが、実はもう1つ大きな要因があると考えている。
それは「戦前までの日本的な価値観を捨て、アメリカ的な価値観を無思慮に受け入れた結果、日本人は自らのルーツである文化や歴史、思想とは無縁の社会を作り上げた」という事である。
この2つの要因が、戦後の日本を「快適だが無機質な箱庭」と「突然そこに放り込まれたネズミ達」という『楽園実験』に極めて近い状況に変えたのだと思う。

その発端は、やはり太平洋戦争での敗北という挫折感にあるのだろう。
1960年にアメリカで放送された、戦後の日本を紹介するドキュメンタリー番組の中に、非常に興味深いナレーションがある。

日本の若者達は、父親的な象徴であった天皇の存在を失った今、日本的なものに反発するようになりました。
かつては神聖だった家族にさえも。
日本はまるで、一つの大きな崩壊家族のようだと言われています。
若者達は過去から切り離され、現在に幻滅し、未来に明確な目標を見付けられないのです


60年程前の番組なので、ここで紹介されている若者とは、現在の70~80歳代の年配層だろう。
僕が若い頃、大人達はよく「最近の若者は無気力・無関心・無感動だ」などと口にしていたが、戦勝国のアメリカから見れば、そんな大人達もかつては過去から切り離され、現在に幻滅し、未来に明確な目標を見付けられない青春を送った若者だったのである。
そして、バブル経済が崩壊し「失われた30年」とも形容される現在、若年層の死因の1位が「自殺」である事を考えると、もしかすると日本人は戦後80年間ずっと、同じ虚無感と劣等感の中を生きて来たのではないか…、という気さえする。

結局、日本人はその世代毎で夢中になれるものを探しては、それに没入する事で、心の空隙を埋めて来たに過ぎないのかも知れない。
そして、確かにそれは高度経済成長からバブル好景気の頃までは有効だった。

しかし、所詮は中身が空っぽなのだから、どれだけ世の中が豊かになり金やモノを消費しようと、それはただ消費されるだけで、積み重なる事もなければ、受け継がれる事もない。
だから、国民が人間的に成長する事もなければ、社会が成熟する事もなかった。
その現実を、バブル崩壊後の日本人はきちんと直視できているだろうか…。

更に、戦後の日本人は、団塊世代からZ世代に至るまで「前の世代を否定・拒絶する事で、自分達の世代を正当化しようとする」という悪循環を繰り返している。
何故なら、日本の戦後教育は、正にこの「戦前の否定」と「責任転嫁」から始まったからである。
その悪癖は、Adoのヒット曲【うっせぇわ】が象徴するように、令和の時代になっても何一つ改善されていない。

こうして過去から切り離され、現在に幻滅し、未来に明確な目標を見付けられないまま育つ日本の各世代は、互いに連携もできず、解決策も見出せず、自分達の価値観を押し付け合うだけで、分断と孤立を繰り返すのみとなった。
それが、今の日本社会を「ネズミの楽園」状態にしているのではないかと思う。



神谷宗弊が掲げる「日本を取り戻す」とは、きっと「日本的なものを取り戻す」と同義だろう。
それは、過去を否定するのではなく、日本人がこれまで辿って来た道(=歴史)を再確認し、もう一度「日本人とは何か?」「自分達は何者か?」を自らに問い直す作業である。

そこには保守もリベラルも、右翼も左翼も、団塊もZ世代も無い。
必要なのは、ただ「私は日本人である」というアイデンティティだけである。





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Last updated  2023.08.06 19:23:28
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