『ジェイン・エア』、『新編 酒に呑まれた頭』、『汽車旅の酒』
シャーロット・ブロンテ(吉田健一訳)『ジェイン・エア』集英社文庫、1979年[単行本1968年]。主人公ジェインは、信念を持ち、自らの道を進んでゆく。長い物語だが、退屈しない。細部まで丁寧に綴られた作品である。登場する人びとが、生きた人間として立ち現れてくる。吉田さんの訳文が、評論や随筆での文章にみられる、あの独特の文体ではない点も、印象に残った。意図して、そのようにしたのだろうか。 吉田健一『新編 酒に呑まれた頭』ちくま文庫、1995年。吉田健一『汽車旅の酒』中公文庫、2015年。話し言葉に近いとも思える文章は、読んでいて心地良い(苦手だというかたもいるかも知れない)。くだけているが、けっして下卑てはいない。