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たまには地球(した)を向いて歩こう。

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2010.10.31
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10/29(金)から10/31(日)まで科学技術館で開催された「宙博2010」。休日の土日しか行けなかったが、感じたこと、考えたことを中心に振り返ってみたい。

なお、内容そのものは「デイリーポータルZ」でかなり詳しく紹介されているので一読をお勧めしたい。
http://portal.nifty.com/2010/11/03/c/

私は展示は土曜日の午前中にさっと見ただけで、主にサイエンスホールの講演を聴きに行っていた。ライブステージの方も面白そうだったが、一度講演会場を離れると再入場できなくなる恐れがあったため(事前登録制でないため)、初めからライブステージは諦めてずっとサイエンスホールの方に張り付いていた。

日曜日は土曜日以上の混雑で、展示会場に入るための行列が外にできていた。私は展示は土曜日に見ていたので幸い影響は受けなかったが。土曜日が比較的すいていた(とは言ってもかなり混んでいたが)のは台風の影響だろう。

展示会場では実際に研究に関わっている科学者や科学コミュニケーターが活躍していた。ただ物を並べるだけでなく、来場者とのコミュニケーションを重視する姿勢には関心させられた。また民間企業(ナノオプト・メディア)が運営していることもあって、国立の科学館などではあまり見られない一種の「やわらかさ」を随所に感じた。ナノオプト・メディアと言えば名古屋で常設のサイエンスカフェを運営しているが、そういうノウハウもおそらく活かされているのだろう。ただ、宙博オフィシャルショップは会場がちょっと手狭で、バーゲンのワゴンみたいなのに商品を入れているのがシャビーな感じがした。科学技術館はテーマ的にはうってつけだが、かなり老朽化して狭いので、会場としてはもっと広い場所の方が良かったと思う。

講演について。講演タイトルを宙博オフィシャルサイトから引用する。これら一つ一つだけでも特別講演会として成り立ってしまうような超豪華な顔ぶれ。2日間で3000円(当日券の場合)払っても全く惜しくない。なお、土曜日の午前には山崎宇宙飛行士の講演(事前登録制)もあったようだが参加しなかった。

10/30(土)

●特別対談「宇宙と生命をめぐる対話/作家&記者」

藤崎 慎吾(作家)×大牟田 透(朝日新聞東京本社 科学医療エディター)

●宇宙はいかに始まったか? ~インフレーション理論の展開~

佐藤 勝彦(自然科学研究機構長)

●日本が切り拓く宇宙大航海時代 ~IKAROSが切り拓くソーラーセイル技術~

津田 雄一(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 月・惑星探査プログラムグループ 助教)

●火星―ウソカラデタマコト

宮本 英昭(東京大学総合研究博物館 准教授)

10/31(日)

●リチウムイオン二次電池の現状と将来展望

吉野 彰(旭化成株式会社 新事業本部吉野研究室 旭化成フェロー・吉野研究室室長)

●特別対談 「科学とは」

益川 敏英(名古屋大学 KMI素粒子宇宙起源研究機構長)
杉山 直(名古屋大学教授 / 東京大学数物連携宇宙研究機構 主任研究員)

●宇宙に終わりはあるのか

村山 斉(東京大学数物連携宇宙研究機構長 特任教授・理学博士)

●はやぶさ特集[第1部] 「宙(そら)から空へ ~『はやぶさ』との歩み~」

川口 淳一郎(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 月・惑星探査プログラムグループ 教授/はやぶさプロジェクトマネージャ)

●はやぶさ特集[第2部] 「『はやぶさ2』が目指す宙(そら)~さらなる挑戦とその可能性~」

吉川 真(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 月・惑星探査プログラムグループ 准教授)

●特別対談 「宙(そら)からのメッセージ ~天文学と占星術~」

渡部 潤一
(自然科学研究機構 国立天文台天文情報センター広報室長・アーカイブ室長 
総合研究大学院大学数物科学研究科天文科学専攻教授 )
鏡 リュウジ(占星術研究家/翻訳家)

これだけの豪華講演会だから混雑は必至。現に、村山先生の講演とはやぶさ特集では立ち見ができるほどだった。午前の講演が終わった時点で既に行列ができ始めていたので、私はお昼も食べずにずっと会場にいた。また、土曜日の最初3つは入れ替え制だったが、その後からは入れ替え制でなくなるなど、ルールが分かりにくかった。できれば事前登録制にして欲しかったと思う。講演は質疑があったりなかったりで(講演者の判断に委ねられていたようだ)、マイク回しが追い付かないといった場面も見られた。また、村山先生の講演の直後にサイン会が行われたが、これに参加すると次の講演が聴けなくなってしまうのであきらめざるを得なかった。

ちょっとだけ運営面の苦言を述べてしまったが、講演内容そのものは大変素晴らしかった。宇宙の始まりを佐藤先生が語り、宇宙の終わりを村山先生が語った。どちらも難解な話だが大変わかりやすく噛み砕いた内容になっていた。村山先生の話は何度か聞いているが、スムートがマーチングバンドでビッグバンを再現した映像は初めて見た。とても面白かった。宮本先生のアメリカでラジオ放送された「宇宙戦争」などの火星生命の話は、まるで落語のような語りで本当にうまい。話のうまさといえば、益川先生のお話も大変ユーモラスで味のあるものだった。それを引き出す杉山先生も素晴らしかった。超一流の科学者というのは本当に話のうまいものだと思った。

話のうまさというのは、単にわかりやすければ良いというものでない。話す人のキャラクターとか経験、興味を引くようなエピソードによる味付けといった要素も必要なのだろう。またその話のうまさを味わうためには、聴く側もそれにアンテナを向けていないといけない。こういう話のうまい人の講演を聴くたびに、自分の聴く力が試されているように思うのである。

また、各講演に共通したこととして、みな研究予算の確保を訴えていた。折しも政府では「元気な日本復活特別枠」の審議が行われており、最近までパブコメも行われていたところ。こうした研究者のプレゼンは従来は予算担当の官僚向けに行われていたのだろうが、最近は事業仕分けやパブコメばやりで、世論を味方につける必要性に迫られてきた。宙博のような一般向けのイベントは、まさにこうした世論形成の格好の場。単なる啓蒙・普及活動ではなく、研究者にとっては生き残りをかけた闘いなのであろう。

宙博には、ふだん宇宙や科学にさほど興味がなくても、はやぶさ目当てで来た親子連れなども多かっただろう。こうした方々が、この機会にはやぶさ以外の日本のトップレベルの科学・技術にも触れたなら本当に素晴らしいことだと思う。こういうイベントに行くと、東京の子供たちはいつも恵まれていると思う。今後も毎年やるなら、今度は地方開催にしても良いのではないだろうか。

http://www.sorahaku.jp/





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Last updated  2010.11.03 22:01:30



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