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KINTYRE’S   DIARY~旧館

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2007.05.11
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カテゴリ:アメリカ映画
36.ママの遺したラヴソング
■原題:A Love Song For Bobby Long
■製作年・国:2004年、アメリカ
■上映時間:120分
■鑑賞日:5月5日、シネ・スイッチ(銀座)
■公式HP:ここをクリックして下さい
□監督・脚本:シェイニー・ゲイベル
□製作:ポール・ミラー、デイヴィッド・ランカスター、ボブ・ヤーリ
□原作:ロナルド・イヴァレット・キャップス
キャスト

◆ジョン・トラヴォルタ(ボビー・ロング)元大学教授でパーシーの母と親しかった
◆スカーレット・ヨハンソン(パーシー・ウィル)祖母に育てられ母の突然の死でニューオーリンズへ向かう
◆ゲイブリエル・マック(ローソン・パインズ)ボビーを慕う作家でボビーと共同生活をする
◆デボラ・カーラ・アンガー(ジョージアナ)ボビーとローソンが行きつけのバーのウェイトレス
◆デイン・ローズ(セシル)ボビーらが住む隣家の住人でパーシーの名付け親

【この映画について】
『ママの遺したラヴソング』は、『真珠の耳飾りの少女』『アイランド』など多数の注目作に出演し、今最も光り輝く女優スカーレット・ヨハンソンが出演を熱望したという作品。
この映画の中で彼女は、現在よりも青く瑞々しい色気を発している。またこの作品で、2004年度ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされている。また相手役は『パルプ・フィクション』『炎のメモリアル』などで渋い演技を披露し円熟期にあるジョン・トラヴォルタが務め、今まで見せたことのない繊細な表情を見せて我々を驚かせてくれる。
監督はシェイ二ー・ゲイベル。この女性監督の手により、観る人を、あたかたく優しい気持ちにさせてくれるハートウォーミングな物語が紡ぎ出された。文学的な表現や詩的な会話と、ハリケーンに襲われる前のニューオーリンズの景色と音楽も見どころ。
【ストーリー(ネタバレなし)】
フロリダで怠惰な生活を送りボーイフレンドのトレイラーハウスで過ごすパースレーン(通称パーシー)に、長年会っていなかった母の訃報が届く。
早速ニューオーリンズの生家に帰ったパーシーを待っていたのは、見知らぬ二人の男。元文学部教授のボビー・ロングと彼を慕う作家志望の青年ローソン。
二人は母の友人で遺言で二人にも住む権利があると主張し古ぼけた一軒家で、三人での同居を嫌い直ぐに高速バス乗り場へと駆け帰ることにする。ところがバス待合所で一軒家から持ってきた形見である本「心は孤独な狩人」を貪るように読んでいたとき最後のページに、シンガーだった母からボビー・ロングへの「どんな時も歌がある」との献辞が添えられていた。その句が気になったパーシーは、彼女が知らなかった生前の母を知ろうと決意し嫌々ながらの同居生活が始まる。
新しい生活、文学との出会い、初恋、そして初めて聞く亡き母の横顔。ささくれだっていたパーシーの心は、いつか少しづつ癒されていく。生意気盛りのパーシー、皮肉屋でパーシーを追い出したいと思っているボビー、パーシーを温かく見守るローソンとの共同生活はすれ違いばかりだった。それでも隣家のセシルから自分の名前の由来や幼い頃の母との話を聞かされていくうちに母への思いが強くなっていくのだった。
冬になりX’masイヴの夜、酔っ払ったボビーはローソンに対し作家としての活動が滞っていることへの長年の不満をぶちまけてしまう。そしてパーシーはその時、ボビーとローソンの二人がどうしてアラバマの大学からニューオーリンズへと来たのかを知ったのだった。
季節も春になりパーシーは大学に進学するかどうか悩んでいた。彼女にはX線技師になりたいという漠然とした目標があったのだったが...
そしてある日、この共同生活はかつてのボーイフレンドがフロリダから突如姿を現したことで終焉を迎えるのだった。
さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。
1.母が暮らしていたニューオーリンズでのパーシーの母の足跡探しは何が目的だったのか?
2.ニューオーリンズで母の昔話を聞かされたパーシーの胸に去来した感情とは?
3.パーシーの名前に由来である「パースレーン」の名付け親セシルがこめた意味とは?
4.ボビーはどういう経緯でアラバマの大学を捨ててニューオーリンズへと来たのか?
5.酒、タバコに浸っていたボビーの体を蝕んできた病とは?
6.突如現れたパーシーの昔のボーイフレンドの意図とは?彼はパーシーに何を告げたのか?
7.引越しに備えて片づけをしていた時にパーシーが発見した母の自分への未公開の手紙とは?
8.母の手紙で分かったパーシーの出生にまつわる驚愕の事実とは?

などを中心に公開館は限定されていますが、観に行ける方は是非映画館でご覧下さい。
【鑑賞後の感想】
文学的な原作を如何にして映像にして、そしてそれを演じる演技力のある俳優を配するのか難しかったはずだ。それをジョン・トラヴォルタとスカーレット・ヨハンソンの二人が見事に演じていた。
私の大好きな女優でもあるスカーレット・ヨハンソンはこの映画に出演していたころは、今の様に超売れっ子になる直前だったが演技力はしっかりしている。祖母に育てられて母の記憶が殆ど無い少女の役を、時にはすねたり時には素直にと少女から大人への移行期の不安定な情緒の女性を無理する事無く演じていた。
ジョン・トラヴォルタは体型的にも貫禄が付いて来たが、1970年代には青春スター的映画俳優から見事に演技が光る俳優へと自然な形で移行していった。最近の映画でも彼が出ているのは存在感があり、彼が出ているだけで映画全体にどしっとした芯が通る。今回は大学教授だった彼が家庭トラブルで追われるようにニューオーリンズに来たことでこの物語が始まっている。そうした苦悩を全面に出さず酒とタバコに明け暮れる生活を巧みに演じていた。
最後にこの映画の大半のロケ地はハリケーン前のニューオーリンズ市内とその近郊だ。このロケ映像がすばらしく、この映像が映画の進行上も欠かせないアイテムとなっておりこの映像なくしてこの映画も無かったと断言出来るほどの出来栄えだ。その映像に見事にマッチしている南部独特のブルース音楽を基調とし、ジョン・トラヴォルタもギターを片手に数曲見事な歌を披露している。音楽と映像の一体感と言う点では満点に近い。
セリフには文学的な表現や格言がポンポン飛び出してくるのにも注目!
【自己採点】(100点満点)
88点。ストーリー、映像、音楽、俳優らの魅力が全て詰っている素晴らしい映画。

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Last updated  2007.05.13 18:46:16
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