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KINTYRE’S   DIARY~旧館

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2008.03.16
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カテゴリ:アメリカ映画
25.いつか眠りにつく前に
■原題:Evening
■製作年・国:2007年、アメリカ
■上映時間:117分
■鑑賞日:3月1日、武蔵野館(新宿)
■公式HP:ここをクリックしてください
いつか眠りにつく前に.jpg
□監督:ラホス・コルタイ
□脚本・原作・製作総指揮:スーザン・マイノット
□脚本・製作総指揮:マイケル・カニンガム
□製作:ジェフリー・シャープ
□製作総指揮:ジル・フットリック、マイケル・ホーガン、ロバート・ケッセル
□共同製作:ルーク・パーカー・ボウルズ、クレア・テイラー、ニナ・ウォーラースキー
□編集:アリソン・C・ジョンソン
□撮影監督:ギュラ・パドス
□衣装デザイナー:アン・ロス、ミシェル・マットランド
□美術:キャロライン・ハナニア
□音楽:ヤン・A・P・カチュマレク
キャスト


クレア・デインズ(アン・グラント)24歳のアン。歌手の卵で、カーネギー・ホールで歌うことが夢
ヴァネッサ・レッドグレイヴ(アン・グラント)現在のアン。人生の最期を迎えようとしている今、子供達さえ知らない40数年前の恋に思いを巡らせる
メリル・ストリープ(ライラ・ロス)現在のライラ。バディの事件以来疎遠に。かつての親友アンの見舞いに訪れる。
◆メイミー・ガマー(ライラ・ウィッテンボーン)40年前のライラ。アンの親友でハリスに心を寄せながらも別の男性と結婚する
◆グレン・クローズ(ウィッテンボーン夫人)40年前のライラとバディの母親
◆ナターシャ・リチャードソン(コニー・ハヴァーフォード)アンの長女。自分も母となり母の気持ちが分かるようになった
◆トニ・コレット(ニナ・マーズ)アンの次女。自分の行き方に迷いを感じている。
◆パトリック・ウィルソン(ハリス・アーデン)24歳のアンが恋した運命の人。
◆ヒュー・ダンシー(バディ・ウィッテンボーン)ライラの弟。アンに憧れの想いを持ちハリスに対しても特別な感情を抱いている
◆アイリーン・アトキンス(夜勤の看護婦)現在の病の床にあるアンの世話人

【この映画について】
人生の終わりを目の前にして、たった二日間で終わってしまった恋を思い返す老女と、そんな彼女を看病しながら自分の人生を見つめ直す2人の娘の物語。
出演シーンの大半をベッドに横たわったままにも関わらず、強烈な印象を残すアンを演じるのは、ヴァネッサ・レッドグレイヴ。アカデミー賞に6回ノミネートされ、『ジュリア』で助演女優賞に輝いたイギリスの大女優だ。
さらにアカデミーの常連、メリル・ストリープが親友ライラ役で顔を見せる。
メリルの実の娘メイミー・ガマーが若き日のライラを、またヴァネッサの娘ナターシャ・リチャードソンがアンの長女役で出演と、二組の豪華親子共演も見どころ。若き日のアン役のクレア・デインズが初披露した歌声も聞きごたえあり。
【ストーリー】(一部ネタばれあり)
重い病に倒れた老女アンは、2人の娘コニーとニナと夜勤の看護婦に見守られ、自宅のベッドで静かに人生の最期を迎えようとしていた。
混濁する意識の中で、アンは娘たちが聞いたこともない「ハリス」という名を口走る。二人の娘もその名を耳にするのは初めてだった。「ハリスと私がバディを殺したの!」という母の言葉に驚いた娘達。
彼女の意識は、40数年前の夏の日へと戻っていた…。親友ライラの結婚式でブライズメイドをするため、ライラの別荘を訪れていたアンは、ライラの弟で大学の同級生だったバディと再会。さらに一家のメイドの息子で、今は医者をしているハリスと出会う。

40年前のアン、歌手としての成功を夢見ていた彼女はNYで暮らしていた。アンは学生時代からの親友ライラ・ウィッテンボーンの結婚式で、花嫁代表の友人として出席するたにウィッテンボーン家の別荘があるロードアイランドのニューポートへと一人でやってきた。
ライラと母親が出席者の席割でもめている中で、ライラの弟でアンの友人でもあるバディに案内され別荘を散策する二人。

散策中の二人はバディの親友でもあるハリス・アーデンと出会う。その場でハリスに何か運命のようなものを感じたアン。バディはアンに、ハリスがライラの初恋の相手であると教えられる。
ライラは結婚相手より心の中でハリスへの気持ちが棄てきれないでいて、ライラはアンにだけその気持ちを伝えるのだった。

ライラの結婚式は盛大に別荘を舞台に進んでいったが、酔っ払ったバディがその場の雰囲気を壊してしまった。一方で場を抜け出したアンとハリスは秘密小屋で結ばれるが...酔いつぶれたバディは何と事故死してしまう。

その後のアンの人生は決して輝かしいものではなかった。2度の離婚を経験しクラブ歌手として働いたことで、娘達に寂しい思いをさせてきた。
自身も二児の母で幸せな結婚生活を送る長女コニー、妊娠した事実を言い出せないで悩む次女ニナ。

二人の娘が見守る中、バディの死以降疎遠だったライラが見舞いに来た。40年前を思い出しながら、ベッドに潜り二人だけの時間にどっぷりと浸る。
ライラとアンは本音を語り合い、バディの死の呪縛からようやく解放されたのだった。

思い残すことが無くなったアンは、ライラが静かに去っていってからひっそりと息を引き取ったのだった。その時、二人の娘の胸中は...。
【鑑賞後の感想】
この映画の配役は豪華であり、二組の親子が共演を果たしている点にも注目したい。
人生の最期を迎えようとしているアンを演じる大ベテラン女優ヴァネッサ・レッドグレイヴに対して、アンの長女コニーを演じるナターシャ・リチャードソンはヴァネッサの実の娘である。
一方、死期の迫ったアンの見舞いに訪れたライラを演じるメリル・ストリープ若き日のライラを演じるメイミー・ガマーは彼女の実の娘である。こちらは年齢の違う同じ人物の役を実の母娘が演じる珍しい?ケースだ。

そのメリル・ストリープはスクリーンに中々現れずやきもきしていると、ラスト近くになってアンの見舞いに訪れるシーンで登場する。ヴァネッサ・レッドグレイヴとメリル・ストリープの脚本があるのだろうが、そんなことを感じさせない二人だけの空間がそこには漂っていた。時間にすると10分あるかないかの場面だが、映画の中で最も大事なシーンでありそこでの二人の存在感は半端ではない。メイミー・ガマーはまだまだ演技力も色気も母親の域には遥か遠い。

ストーリー的には40年前の出来事と、死期を迎えたアンの混濁した意識の中が交差する。母のつぶやきに興味津々の娘。その娘の人生の描き方も、母の若かった頃の描き方もみていて退屈することなく、全く無駄なシーンがない素晴らしい映画だった。

ニューイングランドの美しい風景もこの映画の大きな魅力であることを強調したい。原題の「Evening」は「夕方」ではなく、人生の「黄昏期」を意味すると思う。
【自己採点】(100点満点)
90点。脚本、俳優の演技、風景。どれもが素晴らしかった。

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Last updated  2008.04.03 23:59:15
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