KINTYRE’S DIARY~旧館

2011/02/20(日)17:13

映画『シチリア!シチリア!』を観て

ヨーロッパ映画(125)

11-2.シチリア!シチリア! ■原題:Baaria ■製作年・国:2009年、イタリア ■上映時間:151分 ■字幕:吉岡芳子 ■鑑賞日:1月8日、角川シネマ新宿(新宿三丁目) ■料金:1,800円 スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ □撮影:エンリコ・ルチディ □音楽:エンニオ・モリコーネ ◆フランチェスコ・シャンナ(ベッピーノ) ◆マルガレット・マデ(マンニーナ) ◆ニコール・グリマウド(サリーナの娘時代) ◆アンヘラ・モリーナ(サリーナ) ◆リナ・サストリ(ターナ、物乞いの女) ◆サルヴォ・フィカッラ(ニーノ) ◆ヴァレンティノ・ピコーネ(ルイジ) ◆ルイジ・ロ・カーショ(物乞いの息子) ◆ミケーレ・プラチド(共産党代表) ◆エンリコ・ロ・ヴェルソ(ミニク) 【この映画について】 たとえ何者にもならなくても、愛しあう家族と共に生きることができたならば、それは充実した人生なのだ。故郷シチリアを愛してやまない『ニュー・シネマ・パラダイス』の名匠ジュゼッペ・トルナトーレが、激動の20世紀イタリアを自伝的な家族の年代記としてノスタルジックにファンタスティックに描いた宿願の大作である。 エモーショナルな音楽で盛り上げるのは、もちろんトルナトーレ作品に欠かせない巨匠エンニオ・モリコーネ。主演に新人のフランチェスコ・シャンナとマルガレット・マデを起用し、アンヘラ・モリーナ、ルイジ・ロ・カーショらベテラン勢が脇を固め、『マレーナ』のモニカ・ベルッチもちらりと艶姿を見せてくれる。 (この項、gooより転載しました) 【ストーリー&感想】(ネタバレあり) 太陽が眩しく輝き、風が荒々しく吹き抜けていくシチリアの町バーリア。牛飼いのトッレヌオヴァ家は貧しかったが、家族が力を合わせて、毎日を力強く生きていた。まだ幼い次男ペッピーノも、大人たちに連れられて農場や牧場で働く。子供とはいえ、大目に見てもらえることもなく、収穫数が足りなければ容赦なく賃金はカット。チーズ3つと引き換えに出稼ぎに行った牧場では、1冊しかない教科書をヤギに食べられてしまう。 落ち込むペッピーノだったが、その地方に伝わる伝説を聞き、胸を躍らせる。それは、3つの岩山の頂に、一つの石を連続して当てることが出来たら、黄金を隠した洞窟の扉が開くというものだった。合間を見ては、繰り返し石を投げるペッピーノ。 その一方で、時々父親とともに出かける映画館で無声映画を見ることも、彼にとってかけがえのない時間だった。こうしてペッピーノの少年時代は、笑いと涙が詰まった沢山の思い出に囲まれて過ぎてゆく。 やがて世界中を巻き込んだ戦争が終わり、シチリアにもひと時の平和が訪れた頃。逞しい青年に成長したペッピーノは、世の中を良くしたいという理想に燃え、政治の世界に足を踏み入れる。同じ頃、彼は長い黒髪と大きな瞳が美しいマンニーナと出会い、激しい恋に落ちる。 だが、貧しいペッピーノとの結婚に反対するマンニーナの両親は、金持ちとの婚約を勝手に決めてしまう。愛し合う2人は想いを貫くために駆け落ち。ついに教会で永遠の愛を誓い合う。愛する人と新しい人生に踏み出したペッピーノ。だが、幸せに満ちた彼を待っていたのは、世の中の矛盾、家族の死……。やがて時代は不穏な空気を孕み始める。そんな中、ペッピーノはあの岩山の伝説を試そうと、再び石を投げてみるが……。 ベッピーノとは監督自身の愛称でもあることから、この作品は監督自身の自伝的な要素を盛り込んでいるのかも知れない。舞台も監督の出身地であるシチリア島(管理人も行ったことがあります!!)であるのがそれを証明しているかのようだ。 実際のロケ地は政変で長期政権が民衆の団結によって打倒されたチュニジアである点は残念だが、美術監督が実際にロケハンして当時の様子がチュニジアに残っていることからロケ地として選ばれたそうだ。 ストーリーの展開としては、冒頭の場面で少年が道端で賭け事に興じる大人に急かされて小遣い銭欲しさに用事を言いつけられるシーンから始まり、ダッシュした少年がジャンプするとシチリアの田舎町を俯瞰する場面に替わり、そこから3世代に渡るストーリーが始まり、そして、再び冒頭のシーンの続きに戻って終わる。 戦前戦後に渡るイタリア史を垣間見る展開なのだが、共産主義の台頭とベッピーノの青年時代を重ね合わせたかのような筋書きだが、そこはやはりイタリア映画。イタリア人独特の楽天守護的な生き方をしながらも、愛する家族の為に生きると言う点は貫かれていた。 151分と言う上映時間に様々な出来事を濃縮して表現しているのだが、余りにも共産主義の台頭を中心に描いているので、イタリアの戦後史に疎い管理人には、退屈と感じる場面も見受けられたが、決して長い上映時間は苦痛には感じなかったのはトルナトーレ監督の手腕だと思う。

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