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身延町専属ライターの梅津です。皆さんこんにちは!

7月30日から4回にわたり、紙漉き職人・笠井一洋さんのお仕事をご紹介しています。
今日はその3回目です。


よきもの made in Minobu.
2.
家族でつくる「甲州画仙」
西伝製紙工場、笠井一洋さん

(第3話)

和紙20.jpg

漉いた紙は水気を絞り、束にして一か月間天日に干す。「甲州画仙」は繊維が細かいため、時間をかけてじっくりと乾かす必要があるそうだ。

カラカラに乾いた紙には、「干し」という作業が施される。西伝製紙で紙干しを担当しているのは母・えい子さんと笠井さつみさん。80度に熱した鉄板の上に一枚ずつ和紙を貼り、大きな刷毛(はけ)でしわを伸ばす。

「均一に熱を当てるには、最初が肝心。刷毛を当てたら中心から外側に向かって力を入れ、息を継がないように素早く伸ばすのよ」。えい子さんが要領を教えてくれた。

和紙41.jpg

言葉で聞くのは易しいが、相手は熱した鉄板と繊細な和紙。職人さんの間では「紙漉き3年、紙干し7年」と言われるように、一人前になるまでには相当の時間を要するそうだ。

えい子さんは笠井家に嫁いで来たときからこの仕事を続けている。「慣れた作業でも一人でこなすのは大変で。さつみさんには随分助けられてます」

和紙38.jpg

さつみさんは組合が6年前に行った紙干し職人の公募で採用された一人だ。

「伝統の技術を身に付けられたらと思い応募しましたが、実際に働いてみると想像以上に難しい作業で。夏の暑さも冬の寒さも、これまでずっと耐えてこられたえい子さんをとても尊敬しています」(さつみさん)

和紙46.jpg

冷水相手の「漉き」と、熱板相手の「干し」。ともにエアコンが使えない環境の中で作業は行われる。

「漉き」は、冬場は足元にストーブを置き、指先の感覚を取り戻しながら。一方「干し」は今が最も大変な季節だ。室温は40度を越す。紙が舞わないよう足元にだけ扇風機を当て、首には凍らせたタオルを巻いてせめてもの涼を得る。

和紙37の2.jpg

和紙44.jpg

和紙45.jpg

厳しい作業環境以上に、和紙作りで最も悩まされるのは「出来の良し悪しが、一か月先でないとわからないこと」と一洋さんはいう。

「質のいい紙を均一に作るには、一枚一枚に神経を注ぐことだと思っています。漉く段階で少しでも手を抜けば、苦労して丁寧に干しても、いい紙にはなりませんから」

(第4話)につづく





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最終更新日  2011.08.01 17:37:36
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